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情けない色無し

家の内装は白の壁紙に黒いソファーが二つ、ガラステーブルを挟んで置いてあるだけだった。

殺風景な気がしないでもない。

「適当にかけてて。飲み物は何がいいかしら?」

「ああ、じゃあコーヒーで」

そう言うと俺はソファーに腰かけた。

「わかったわ」

キッチンから水道の水が出る音がした。ここも水道整備区画かと思い安心する。

“破棄”された街には水道が無い区画もある。浄水システムはある程度オートメーション化されているがそれでも全ての街をまかなうことはできない。

水道の無い街ではどうしても生活に支障が出てくる。

「電気は通ってない、か」

室内に置かれたランタンを見て言う。その昔この世界は電気と言うもので動いていたらしい。

と、言っても15年前までは普通に普及していた物らしい。俺が2歳の頃か。

「電気なんて防衛都市でしかお目にかかれないらしいわ」

「そうだよな」

発電ができるならこの街は“破棄”されてはいないだろう。

ちなみにガス何て言うものもない。火は術式を使うかかまどを作るかだ。ガスも15年前まではあったらしい。

フレイム

燐はどうやら火の術式を使えたようだ。じゃあ燐は炎の術者なのか?

術者は属性によって虹の7色に分けられる。

赤の炎。橙の土。黄の光。緑の風。青の水。藍の氷。紫の闇だ。

だが実はもう1つ属性はある。無属性だ。

他の7色と比べ誰でも使える無色の属性だ。当然特殊な効果はない。それ故に最弱の属性とも言われている。

自分の属性だけでなく初歩の術式なら他の属性の術式もある程度は扱える。

フレイムは炎の術式の初歩の初歩だ。

誰でも使える。のだが・・・

「辻村くん、火起こし手伝ってくれるかしら」

そう言われ俺はギクッとなった。

「ああ、えーと・・・」

「どうしたの?」

実は俺は術式の才能がないのか無属性以外の術式が使えないのだ。

「実は俺、色無しなんだ」

「色無し?」

おうむ返しにされてしまった。

色無しとは、無属性のみしか使えない術者や術者以外の者をさして言う、言わば差別用語なのだ。

「全く、ダメじゃない。いいわ私一人でできそうだから」

「すみません」

俺はただただ情けなく思うだけだった。

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