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治安維持局中央本部3

 背に爆音が響く。階段を駆け上がるコウタとユリに迷いは無い。

 5分。2人に与えられた時間だった。

 予想では、今のエレベータの破壊で、建物に残っている憲兵が根こそぎ階段で駆け下りてくるはずだ。

 その連中を全て片付けて放送施設のある120階まで駆け上がら無ければならない。

 いくらリズが強いといっても時期に超高度電離陽子砲が戻ってくるだろう。その時は彼直属の殲滅部隊ハウンドも一緒の可能性が高い。

 彼女の手に負えなくなるのは明白だった。

 先行者が放送施設を占拠し、準備を整える時間も5分。駆け上がり合流する時間に合わせてある。

 リズへの負担を軽減するのも2人の役目、せめて増援が現れる箇所を1つにする必要があったのだ。

 「来るぞ」

 「分かってるわよ」

 2階へ到達した瞬間、鉄扉が開かれ現れたのは、14歳にも満たない3人の若い憲兵たち。先頭は2人の女子だ。

 有無を言わさずユリが爆炎を放つ。衝撃が3人を弾き飛ばしたが、後ろの男子はまだ意識があった。

 この若い憲兵は着地と同時にアイテールを全開に纏い跳躍すると、水を銃弾のようにユリへと発射した。

 「新米にしては反応がいいじゃねーか。だが攻撃が浅い」

 すかさす多角甲盾を展開し攻撃を防ぐコウタ。さらに容赦なく盾の一部を男子憲兵へと撃ち出した。

 跳躍中で避けられないまま腹部に多角甲盾を食らい叩き落される男子。

 恨めし気に2人を睨むとそのまま意識は深い眠りへと落ちていった。

 「悪いな。今度あったときは飯おごるから許せよ」

 「許してくれる分けないでしょ。土下座くらいしなさい」

 「だったらお前も土下座しろよ。年上の女だったらこいつに乳くらい揉ませてやれ。きっと許してくれる」

 「なんでよ。だいたいあんたの基準は下品極まり無いわ」

 「下品で結構コケコッコー。俺と戯れたいのは分かるが後だ。上からも来たぞ」

 「だからあんたに言われなくても分かるわよ。そ・れ・と、誰があんたなんかと戯れたいって?」

 ユリはそう呟くと階段から上階に向け炎球を撃ち出し、着弾する前に爆発させた。

 憲兵隊員から悲鳴があがる。しかしそれを乗り越えて続々と上階から憲兵たちが降りてきた。

 「なんだなんだ、新米ばかりじゃねーか」

 「貴様らテロリストだな。シリウスの平和の象徴である治安維持局本部を襲撃するとは万死に値する。神妙に縄につけ」

 若い憲兵隊の中でも一際目立った、銀色長髪の男が声高に叫んだ。

 「エリート風吹かせて、気に入らない相手には有無を言わさず私刑。権力を盾にカツアゲは当たり前。そんなこんなで暴力沙汰の件数はデスペラードより多いって言われる連中が平和の象徴?笑わせるなよ」

 「我々を愚弄するか」

 「お前らの九割九分がそうだからな、嫌われてるの知らないのか?まあそんな頭で目立ちたくて目立ちたくてしようも無い奴には分んねーだろうな。自尊心と野心だけは一人前ってか」

 激昂した銀髪の憲兵がアイテールを纏い飛び掛ってきた。

 「許さん。絶対に許さんからなあああ」

 ユリがすかさず反応するが、コウタがそれを制し一気に距離を詰める。

 拳にはグローブのように多角甲盾が展開されている。

 狭い階段通路の中、ユリの攻撃は威力が上がれば上がるほど爆発も増し味方を巻き込む。そればかりか、やりすぎると相手に必要以上の重傷を負わせる可能性があったため、コウタが飛び出したのだ。

 「ちょっとあんたっ」

 一人で大丈夫なの? といいかけたユリはすぐにその言葉が必要ないことに気がついた。

 眼前に迫る銀髪を綺麗なアッパーカットで迎撃すると、更に後ろに控える数名を的確かつ有効な打撃で沈めていったのだ。

 「コウタやるじゃない」

 「憲兵とは言えまだ新米だからな。体術は大したことねえし、こんな狭いところじゃ頭数も、自慢のアビリティも役にたたねーよ」

 2人は崩れ落ちた憲兵達を尻目に、改めて上階を目指す。

今の連中が最後の待機組みと思われる。

隅々まで調べれば、まだ残っている者がいるのだろうが、現時点で出てこない者はおそらく上からの指示がない限り動かないだろう。捨て置いて構わない連中だった。

 「それにしても、コウタの実力なら憲兵になれたんじゃないの?」

 「それを言うならお前もだろ。大体俺に憲兵が務まると思うか?すぐに嫌気がさすのがわかってたから辞退したんだよ」

 「ふ~んそうなのね。まあ確かにあんたらしいわ」

 「ちなみにお前はアレだろ。カナメを追っかける為に辞退したんだろ」

 「もういい加減にしなさいよ。なんでもかんでもカナメカナメってそんなこと無いわよ」

 「じゃあなんだよ」

 「そ、そんなこと言うわけないでしょ。そんなことより残り四分なんだから。本気でいくわよ」

 「へいへい」

 2人はその後も口を閉ざすことは無く、最上階を目指して階段を全力で駆け登っていった。

ご覧いただきありがとうございます。

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