少年期29
12歳の夏、ひとつの目標を達成した。
水の入れ替えを水ちゃんにお願いし、何度か溜めては捨てて、溜めては捨ててを繰り返して水も随分と澄んできた。
飲み水が!確保!出来たぞーーー‼︎
まぁ、俺は使わないんですがね?
そりゃ水ちゃん居ますし。水甕に貯めてもらえば事足りますし?
でもインフラってそうじゃなくない?俺が居ないと成り立たない社会インフラとか終わってね?
という訳で、恒久的に代用可能な井戸が欲しかったんだ。
あとは使いたい奴が勝手に設備整えて使ってけばええじゃろ。一応、汲み上げる為に桶と縄、縄をかける丸太は用意してある。好きに使ってくれ。
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滑車を付けろダァ?て、テメェ、舐めやがって‼︎表出ろ!ここまで俺が自弁でやってんだ!舐めた事言ってると井戸に放り込むぞ‼︎帰れ、あほんだらぁ!二度と来るな!次来たら登窯の焚き付けにしたるぞ‼︎
村長の倅(孫のラウル君の親父)が来てなんかほざいてきたので、ゴルを嗾ける。
いけ、アイツの残り僅かな髪、全部食っちまえ!
頭を涎でベチョベチョにされて、村長倅は逃げ出した。一昨日きやがれ、ぺっ‼︎
翌日、村長とラウル君が来た。
俺は無言で手を出す。
「あー、アルス、どうも誤解が…」
更に無言で一歩前に出て、手を突き出す
「あのね、アルス君…」
ラウル君が何か言いかけたけど、手で制す。
そんで、各所を指差す。ここからは色々見える。
デカい農地と家畜小屋、下を見やれば水場と馬小屋、上を見やれば登窯とその関連設備。そして最後に井戸を指差す。
「全部、俺の財産です」
「中で話しますか、村長」
縄張りを始めたばかりの家の建築予定地を横目に、小屋に案内する。心を鎮めるために神棚に祈りを捧げて、石造りの椅子っぽいのに座ってもらう。
「金は出せないけど、使いたいは駄目でしょ、村長。出すもの出してもらわないと。一回直接、話は持っていきましたよねぇ」
悪い顔でニチャついてく
「あー、あの時叩かれた頭が痛いなー。骨が折れてて、変な形でくっ付いてるかもなー。慰謝料も上乗せで請求しないとまずいかもなー。ここで話纏めないと、村での求心力落ちちゃうかもなー」
圧をかけてイクゥ
「あの時ちょっとでも手か金でも出しててくれたら、こんな事にはならなかったのになー。あまつさえ、あんな倅じゃ次代はヤバいだろうしなぁ。ラウル君が心配だなぁ。財政的に俺が村一番になっちゃったから、俺の影響力無視出来なくなる一方なのに、ガキだと思って舐めてくるあんな倅じゃなぁ」
村長苦い顔。でも事実ですしおすし。村長とラウル君の前に土で机を作り出し、空のコップを置く。
「俺も村の発展のためを思ってやってたんだけどなぁ。ただ、村の発展の為に俺の財産を奪うのは違うよね?俺自身は井戸を必要としてないですし」
そう言って、2人のコップに水を満たしていく。
更に俺はそこら辺の石を拾うと、コップに整形して、水を満たしてく。1杯目は捨てて、2杯目の水を飲んでみせる。まだちょっと砂利っぽいの混ざってたかも。不味いけどインパクト的に吐き出すのは悪手なので、澄まし顔で飲み干す。
「それじゃぁ、その辺も踏まえてお話しましょうか、村長」




