少年期7
井戸地の選定が終わった。水場の近くで平場な好立地。
周辺に家を建てるのには、まさにうってつけな立地。よし、此処に穴を掘るか!
収穫期が過ぎて畑作業を半分以上、草ちゃん精霊任せにしながら井戸掘りに従事する。草ちゃんは木ちゃんにしばかれて、何度かこき使ってたら、いつの間にか契約してた。
食える草の面倒、お願いねー。なんなら病害虫に強い種とか選抜もお願いねー。余った物を食用にまわすんで。良個体は種籾にするんで。
さて、穴掘りだ。穴掘りか?普通は垂直に穴を掘って行ったら、掘られた土砂はどうするか?
答えは垂直に持ち上げられ、穴から排出されるだ。
非力な俺が?無理っすわ。
手伝いを要請する?有るかどうかも分からない水脈のために、井戸掘りを手伝えと?
色々無理がある。なんで、土ちゃんと石爺のタッグで頑張ってもらう。誰も見てない僻地なんで、やりたい放題よ。とはいえ、業務委託は夜にしてるんだけどね。日中は日中でやることも多いので。
開墾だったり、水場の拡張だったり。着々と実家からの独立準備を整えてる。
年々親父との確執は深まっている。まぁね、容姿が両親と違うのが歳を経る毎に顕著になってきてるのよ。それに比例する様に、弟のマテオを可愛がること可愛がること。
勝手に勘違いして、勝手に嫌ってる親父に愛想を尽かしてる俺としては、さっさと独立したい。
ということで、奥の手を使う事にした。コレだけは使いたくなかったのだけど、最近のいえの居心地が悪すぎて、どうにも我慢が…
「母さん、あの特別な糸ってどこ?」
コッソリとママンに尋ねるのは、毛艶兎の毛で縒った糸の事。アレを行商人に売る。そんで家を建てる!
「アレなら、マテオの産着にしたわよ?凄く良い物だから、次の子が産まれてもずっと使えるし、孫の代でも使えるわよ!」
母よ…
俺の完全無敵なパーフェクトプランが…
母は強すぎた、諦めよう。コレばっかりは仕方ない。となると、家とかはしばらく無理だ。デカい山でも当てるか、雑木で造った兎小屋をバージョンアップしたみたいな自作の荒屋をこさえるか…どうしたもんかな…
デカい山とかこんな行商人もほぼ来ない様な寒村である訳無かろうに!
そんな事を思っていたらデカい山が向こうからやってきた。
「魔物の氾濫の予兆が出た!この村からも兵を募る!我こそはと思う者は、三日後に出発する!」




