拠点暮らし23
「先生、今回のはなかなか良いんじゃないか?距離を離せばそれなりに使えそうだぞ」
「村長、粉挽作ってくれよ、俺もう麦粥飽きたわ。パンが食いてぇ、パンが。水車出来たんなら粉挽きももう出来るんじゃねぇの?あ、軟い石で作るなよ!麦粉なのか砂利なのかわかんねぇ、酷い粉が出来るからな」
「村長、今年はもう家畜は買わなくても良いから、嫁が養えるように少し蓄えに回せないか?故郷の娘が街に出てきてて、今いい感じなんだが?」
久々に研究室から出てきて歩き回れば、ガイ君を通さない直接の陳情が方々から飛んでくる。
「パンは邪道だ!ソイツを吊れ‼︎麦粥をクサすヤツは水場の補修一週間の刑に処す!刑期を終えたら粉挽も考えてやらなくも無くはない、かもしれない」
「それはやる気が無さ過ぎだろう…俺たちはパンが食いたいんだぁ…」
パン派閥をここで駆逐しておかなければ‼︎あんな保存食を至高と捉えてる連中は蒙を啓いていかなければならない!
しかし聞き捨てならない言葉が散見されたな。まるでパン食が多数派なような発言だったり、俺を村長と認識しているようだったり。
ここは教会付属の宿坊なんだが?自称司祭(正式任命は助祭)の俺が、寂れた教会を復旧して、勝手に住み着いたらお前らも勝手に住み着いた。そうだよな?
「いや、村長のおかげで命を救われたから、俺はアンタへの恩返しだと思ってここで働いてるんだが?」
多数派ではないけど、無視できない人数がウンウンと頷いてる。
やめて、恥ずいから…
ほら、老紳士もイイ笑顔を浮かべちゃってるし、めっちゃ恥ずいんだが?
「なんかお偉いさんが視察に来てるんだろ、村長?俺らに任せろよ!アンタの素晴らしさとか賢さとか、信心深さとか、色々語っておくよ‼︎あと、村長の強さもよ!だから粉挽きを頼むわ!」
「おい、貴様も邪教徒か!吊れ‼︎パン派閥を赦すな!麦粥を神に捧げるんだ!おい、やめろ、離せ‼︎」
パーン、パーンの合唱に囲まれて、不承不承、粉挽きの開発を承諾させられる。
ただ、パン派閥には重い罰として、水路の補修を義務付けて、俺は仕事を一つ減らす事に成功した。それと同時に、やはり研究室を工場にさせられそうで今から震えていた。
「騎士様!おれはココで無理矢理働かされています!助けて下さい!」
あー、あの子かぁ、あの子ならそう言っちゃうかぁ…
お、従者のヨハン君はさっきの卍k…挽回の機会をやっと見つけた!見たいに顔を輝かし始めたぞ。これは面白い展開になるか⁉︎
「ランスさ」
「おい、ネズミ‼︎言うに事欠いてなんだ、その言い掛かりはよ!村の前で行き倒れてたから、助けてやった。仕事もやった。飯も食わせてやった。街でコソ泥の真似事してたから真っ当に生きたいってほざいてた口で…助けてやってたってのに…今直ぐに此処から出ていけ‼︎村長は成り行きを楽しそうにしてるけど、俺らは普通にトサカにキてるわ!出ていかねぇなら今直ぐ叩き殺すぞネズミ‼︎」
過激派がそこらの棒を一斉に拾い上げて、ネズミをボコし始める。まぁ仕方ないし、助けないよ。あの日改心しきれなかったなんて哀れな子だね。じゃ、サヨナラ。
「紳士殿、すいませんね。此処に有るのは自警団くらいなもんで、皆気の短い連中なんで。ただ、コレも必要な措置なんでね。おーい、邪魔だから、後で河に投げとけよー。墓で弔う価値もないから、魚の腹にでも住んでもらうぞ」
おん?従者君どしたん?人が殺されて死ぬの初めて見たんけ?顔真っ青でえづいてるやん?此処じゃぁよく有る事だから、気をつけな。田舎の農民て気性が荒いんやで?




