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この世界の敵になる迄は  作者: 鍵谷 朝霞
守護者と克己心
12/12

第12話 対話の余地

 ◇


 大槻が選んできた料理はメインがカレーライスだったようで、加えて副菜とデザートが数種類置かれている。

 食べ始めはわくわくしていた彼女だが、いざ食事になると、「こんなものかあ」と呟いていた。


「期待していた程ではなかったけど、これはこれで良いわね。あんた達もいるし、定期的に通うのもアリかしら」


 概ね満足はしているようで学生以外も利用できると知った大槻は、無視は到底できない不穏な言葉を連ねている。しかし、そこに反論はできないため、久保は大人しく温かいうどんを啜った。トッピングに入れた天ぷらは衣がふやけきっているが、これはこれで味がある。


 そんな食事を開始してから少しすると、大槻が食べながら話を振ってくる。


「では、自己紹介をしようか? 久保耀壱君」


 混み合う学生によって、周囲も比例して喧騒が広がっている。それを良いことに、秘密話のテンションでもない女子が対面に座って話しかけてくる。

 学食に入ってからはしゃぎきりだった様子は形を潜めて、少女は不敵な笑みを浮かべた。


「改めて、大槻藍莉って名前だよ。まずは、はっきり伝えておくけれど、昨夜君たちが襲われた場をアタシは見ていた人間よ」


 普通ならば隠蔽しそうな要素を、何の躊躇いもなく暴露する。堂々とし過ぎて肝心の問題まで事態が軽くなりそうな勢いだ。

 ただ、彼女が情報を公開する理由を久保は理解している。隣で久保同様にうどんを啜る存在が、彼女の逃れることのできない絶対的な目がそれを誘導しているのだ。


「久保耀壱です。何故、僕のことをご存知なのか些か疑問ではありますが、よろしくお願いします」


 久保も内心冷や汗を流しつつも、平然を心掛けて名乗る。

 機械的なものと捉えているのか、久保の自己紹介に大槻は頷くのみだ。しかし、美南からの自己紹介は続かなかった。黙々と食事に勤しんでいる。

 その行動が、更なる無言の圧力として場を停滞させる。


 大槻自身もその認識を共有しているのか、美南へと視線を向けると溜息を吐いた。


「まさか、本当に美南だとは思っていなかったよ」


「……」


 久保は現状、大槻の前では美南の名前をまだ出していない。にもかかわらず、大槻は美南を断定している。

 直前で会話を聞かれていた節があることを考慮に入れると大したものにはならないが、それでも先手を取りに来る彼女のジャブに言葉が詰まる。


 久保はチラと美南を窺う。ただ、彼女は大槻の言葉への否定を伏せるように沈黙で返している。


(別に隠すことでもないということか)


 そう判断することにして、久保はあくまでも大槻に話を合わせるようにした。


「どうして、僕と一緒にいる人が『美南深幸』だと判断したのでしょうか」


「一つは、昨夜戦闘を起こしていたアタシの上司がその推察をしたことが起点ね。それに、あんた達の会話からも美南深幸の要素が出てきていた。あんたのことを踏まえれば、それだけでほぼ確定みたいなものでしょ?」


 何とも飛躍した考察だが、大槻は確信めいた表情で、しかし、つまらなさそうに呟く。久保では想像もつかない話だ。


 まず、『美南深幸』という存在をどこまで認知できているのか、だ。

 ただの友人関係を情報収集の段階で得ていたのか、それとも別の要素を握っているのか。言葉ぶりも不可解だ。“確定”ならば、“推察”という言葉は使わない。なのに、断定で物事を進めている。


 だから、敢えて久保は踏み込む。


「大槻さんは、『美南深幸』についてどこまで存じ上げているのでしょうか」


 久保自身が踏み込むならば、連れている女性の名前を言っているようなものだ。そのマイナスを理解しつつ、更に、回答は得られないであろうとしたうえで問わずにいられない。

 普通ならば、手始めにしらばっくれでもして牽制し合い、情報戦を進めるのかもしれない。下手を打てば、自身の生死に関わるのだ。慎重を重ねるべきであろう。


 大槻も久保がここまで直情的で愚かだとは考えていなかったのだろう。顔は硬直しており、食事の手は止まっている。

 しばし、沈黙が流れる。

 久保も回答を待ったまま言葉は加えない。


 確かに愚かな行為になるかもしれないが、絶対的な間違いでもない。情報は与えるが、故に相手への牽制にもなるからだ。

 相手がどう回答しようとも都合がよい。取り繕えば改めて敵であると認知できるし、誠意を示すなら対話の余地が生まれる。

 初手で殺害しようとしてきた相手には、汲み取る意思があってこそこの場にいる彼女への計り知れない温情となる。


「ぷっ、ふふふ」


 沈黙は彼女の堪えきれない笑いによって解消された。

 ともすれば嘲笑ったと取れる。

 ただ、意図しない妄想を制止するように、大槻の否定が入った。


「ああ。気にしないでよ。あまりに隠そうとしないから面白かっただけよ」


 ひとしきり笑えば、大槻は食事の場で行儀悪くテーブルに肘をつき、弄ぶようにスプーンを揺らす。


 そして。


「あんた。やっぱり、変えちゃった? ──世界」


 悪どく笑みを浮かべた大槻が、久保へと問う。

 美南深幸の、想像上の人物の存在を認めたとすれば、当然その行為へと繋がる。


「そこはご想像にお任せします」


 どんな回答が正しいのかわからなくなり、曖昧にして返す。

 確定事項と捉えてもおかしくないが、大槻の不気味な笑みは止まずにいた。それも、どちらかと言うと、この状況を楽しんでいるようにも見えてくる。


「変に取り繕わなくてもいいよ。何なら、この場も無かったことにするように、世界を変えちゃってもいいわけだしね。アタシの存在や、アタシのバックにいる存在ごと、この世から消し飛ばしてみるかい?」


 自身の命すら天秤にかけようとする物言いは、狂気じみていた。


 だが、これは大槻からの煽りでもある。

 少ない対話の中で、久保がそんなことはしないだろうと踏んでいるからこその提案かもしれない。或いは、美南の入れ知恵を気にしている線もある。


 そんな妄想を膨らませていた久保ではあるが、大槻の方は脱線してきた話を戻すように、久保からの問いに律儀に答えていた。


「『美南深幸』は久保耀壱の作成した創造物から生み出された人間だと認識している。久保耀壱の書く小説をメインとする人物を、どうやったかわからないけれど、何らかの召喚術で現代にまで存在を確立、反映させ、そして成功した。アタシはそう考えているけれど、合っているかい?」


 正確に述べられた推測に、驚愕を隠し得ない。

 久保ですら昨夜知った話なのに、これまでの情報が揃っているということは、事前に認知していた内容なのか、それとも──。


「どうしてアタシがその推測に至ったか疑問に思うかもしれないけれど、別にあんた達を盗聴していたわけではないよ」


 話の整合性の一致から表情に出ていたのか、思考を先回りして押さえてくる。

 その優位性が好ましいのか、大槻は嬉しそうにつらつらと言葉を並べる。


「久保耀壱。あんたはこ(・)の(・)先(・)の(・)未(・)来(・)で(・)脅(・)威(・)と(・)な(・)る(・)こ(・)と(・)が(・)確(・)約(・)さ(・)れ(・)て(・)い(・)る(・)。だったら、それを憂いた未来の人間が、過去へと情報を伝えようとするのは必然だと思わない?」


 それはつまり――。


「未来予知でもしているってことでしょうか」


「そう言ってもいいわけ。手段は違えど、あんたを既にマークしている人間は何かしらの情報源は持っているものよ。そもそも、あんたがこの世界を書き換えて能力者を生み出したと仮定するなら、何が何でも対抗能力を活用しようとするんじゃないかしら」


 現在にも未来にも、未来の情報を過去へ伝達する能力を持つ者がいるらしい。

 衝撃は受けるが、自身も趣味で小説を書いているため、漫画やアニメで出てくるような定番の能力者への理解には明るい。問題はそれを「久保自身が生みだしたのか」に直結するのだが、世界改変という美南の教えにも倣えば納得するしかない。


「どうかしら。世界を変えちゃうってのは?」


 大槻の話から、未来情報を獲得できる状況を無理矢理変えてしまうのはどうかと提案を受ける。

 そうすれば、現状の打破ができるのではないかということだ。久保を狙うという状態を白紙にすると、久保を追える状況ではなくなり平穏な生活ができるかもしれない。


「わたくしは反対です」


 大槻からの誘惑に、釘を刺したのは美南だった。


「不確定要素が多すぎますし、影響も計り知れません。下手をすれば能力者、――ひいてはこの女諸共、存在を抹消してしまうかもしれません。わたくしはこの女が消えてしまっても心も痛みませんし構いませんが、それを背負うのは耀壱さん本人です」


「……そこは、構いなさいよ」


 そもそも、美南からは昨夜の段階で能力は行使するなと強く自粛を要求されている。平穏に過ごしていくならば、これ以上の能力の行使はしてはならない、と。

 久保も美南の言葉に納得している。ドミノ倒しの如く久保に降りかかる危険を踏まえるならば、何が何でも使わない方が良さそうではある。行使するならば覚悟をもって、とのことだ。


 しかし、改変にも方法を検討できる余地があれば、それらに心が動かされるものでもある。一見して有用な手であれば尚更だ。


 考え、耀壱は首を横に振った。


「現状、僕は狙われている身であると認識しています。それが僕自身に秘めているものが要因だとして、力を使うほど危険になっていくのだとしたら、潜んでいるものに楽観して進むことはできません」


 これは美南に要求されたからではなく、話を相対的に評価した結果である。

 自身の力により好転することはまず無いとしていたら、現状の打開よりもリスクが勝る。だったら、昨夜の襲撃のように、どうしようもない場面で止むを得ず行使するに留めておいた方が良いと結論付けた。


 端的に言えば、保留である。


「……あっそう」


 大槻はつまらなさそうに返し、止めていた食事を再開する。

 これでは大槻が問題を人為的に起こそうとしているようにも見えてしまうが、ただ楽しんでいるだけなのか境界線が不透明だ。


「それで、どうしてあなたは耀壱さんの前に姿を現したのでしょうか」


 沈黙が少しの間続いたところで、美南から話が振られる。

 それは、暗にそのままこそこそと監視者に甘んじていろと言わんばかりの威圧が漏れ出ていた。


 ただ、大槻は大槻で、美南の質問には威圧で返してくる。


「どうしてって。昨日の腹いせなのかは知らないけど、あんたがアタシ達を煽ってきたのが発端でしょうが」


「大変杜撰な監視体制を敷いていたそちらの責任では」


 まるで口喧嘩のように、2人の言い合いが途端に始まる。


「こちとら100メートルは離れた高台で見張っていたんですけど。大学の敷地内にも入っていないし」


「高々、その程度の距離を離したところでお粗末ですね。それに、わたくしのことを少しはご存知のはずでしょうに、粗雑な方策を選択したのはあなたではないですか。監視を命じられただけなのではないのですか?」


「うぐっ」


 取り得る選択肢が悉く悪いという美南の指摘に、大槻の言葉が詰まる。数分前までは優位性を保っていたのに、都合の悪いことを追及されれば、一瞬で立場は変わる。

 更には、返答をすぐに用意できていない時点で、指摘は図星だと回答しているようなものだった。


「つまり、監視は命じられていた、と。ただ、接触は避けよとも通達されていた、ということですかね」


 確認するために久保は大槻に問い詰める。


「そ、そうよ。でも、良いのよ、これくらい。アタシは別に正社員じゃないし」


 大槻は口元を歪め、苦し紛れの言い訳している。

 但し、久保自身は大槻を問い詰めるつもりではなく、彼女のバックの存在の方が気になっているため、相手に都合の悪い話には区切りをつけた。


「率直にお聞きします。あなた方の立ち位置はどうなっているのですか? 僕に対して、今は様子見をしているようですが、今後は? 未来のスタンスは共有されているのですか」


 その質問には、大槻は別の意味で表情を歪めた。


「下っ端が話したところでそれがうち等の見解になるかわからないし、それこそ責任の所在の話になるから言いたくない」


 取り繕わずに、大槻は純粋に拒否する。

 どうやら、どこまで話をするかで情報漏洩になるのかを天秤に掛けているようで、少なくとも彼女は自身のラインを持っているらしい。


「少なからず情報収集はされていると見ています。僕の私生活が筒抜けになっている以上、見過ごせない状況です。ですが、大槻さんがお姿を見せたことから、話し合いの意思はあると見ていますが違いますか」


「話し合いの意思があるというのは本当だけど、プライベートまでがっつり監視とまではいってはいないわよ。今回は接触が基本方針だったし」


 話せばコミュニケーションをするタイプのようで、嘘は言っていないように感じる。

 しかし、それで退き下がるには、久保のされたことは安くはない。


「その確証はありませんよね? それに、接触と言いながら戦闘にまで発展している。随分と都合が良いではないですか」


 だから、ここぞとばかりにできるだけ情報を引き出す必要がある。相手の様子から、敵となるのは個ではなく数だ。当然、手数が増えれば、いくら美南といえど全てへの対応は困難になる。そこを突かれれば、今度こそ久保の命はない。

 敵対心を煽るような言動にはなるが、それでも情報は強力なカードになり得る。


 それに、大槻は観念したように溜息を吐いた。


「……わかったわ。1つ、アタシの情報を公開する。……アタシが保持している能力は、言うなれば人体ラジオ。相手に接触することで人には感じ取れない送受信可能なアンテナを差すの。その人の持っている周波数に合わせることで音声を傍受できるし、会話も可能になる、というものよ」


 大槻はスプーンを皿の上に置くと、右手を久保の前に翳すような表現をする。

 この場合、久保と物理的な接触でもすれば、久保というチャンネルに音声通信の契約が為されるのだろう。

 条件は不明だが、それをクリアできれば盗聴など朝飯前のような能力ははっきりと脅威だとわかる。


「教えて良いので?」


「別に良いわよ。アタシ(個人)の所有しているものだし、そこまでの内容なら会社規定にも抵触しないでしょ。裏切りとかなら別でしょうけど。……結局、どうしようがアタシの勝手よ。寧ろ、これで交流の場ができたんだとしたら十分な成果になるわ」


 大槻が事を起こす意思が無いのが救いである。

 初手で大槻自身が能力を発動し、間隔のわからないアンテナを差されたら情報を抜き取られ放題になるだろう。そうしないのは彼女の良心に反するからかもしれないが、冷や汗ものではある。


「アタシは今まで、あんた達と物理的な接触をしてきていない。アンテナも差していないし、盗み聞きは残念ながらできていないわ。周波数だけはなんとなくわかるから、ざっくりとした位置情報の取得はできるけど、それきりね。あとは、この空間ぐらいの距離ならアンテナを気にせず会話を傍受することも可能だわ。精度が悪いから臨時利用が主だけどね」


 あっさりと公開された情報に面を食らうが、貴重なものではあった。

 久保等をすぐに特定できたのも周波数を記憶していたために為したものであろうし、会話が聞かれていた件もそのまま解決されるのだ。


 下手に考察を伸ばさなくて良い。

 虚偽の情報を掴まされている線やより重要なものは隠匿して公開された線もなくはないが、少なくともこういった系統の能力であると警戒しておくには十分だ。何しろ、接触の有無のような条件は公開しても損にしかならないのだから。


「これでいいかしら」


 肩を竦め、大槻が問う。

 自身の情報を身代わりにして、内部の深いところは話さないとの意思の表れだ。


「わかりました」


 久保も深部への追及は避け、頷く。都合が悪く話を逸らされたと思うならば、これでも不十分に他ならないだろうが、久保は大槻のそれを誠意と捉えることをより重視した結果だ。


「一旦、話し合いの意思はあるものとして、連絡の仲介役に大槻さんを認めます。但し、参加についてもこちらで条件を付けさせてください」


「聞くよ」


 話し合いの席は求めるとしても、このまま包囲される可能性も秘めている。何故ならば、今は矛を収めると言っても、有無を言わさない襲撃者の一員であることに間違いないからだ。


「1つ、当日の参加は大槻さんを含めて3名までとしてください。監視体制も敷くのは認めますが、少なくとも3キロは話してください。2つ、当日までの強引な接触は敵対と見做します。これは、どんな場面、状況、発生原因においても該当します」


 久保は指を1本、2本と立てて、条件を述べる。できるだけこちらの被害を最小限にできる方法を即席で考えたものだ。

 どれか1つでも破られれば、約束を反故にもできる。

 それも、こちらには美南がいることが何よりのアドバンテージとなる。索敵して包囲網が敷かれていたならば、帰る選択も1つの手となる。


「それってアタシ達に、『もし、別の勢力があんた達を襲撃する状況が発生した場合、対処できなければ取り合わない』って言ってる?」


「そもそもわたくしがいますので。戦力にならないならば、手を組む意味も廃れるでしょう」


 久保が大槻の直接的な質問に対して紡ぐ言葉を考えている中、美南も負けじととんでもないことをきっぱり言い切った。

 ただ、美南の言は一理ある。


「僕からは深幸さんほど答えられるものでもないですが、僕自身が危険視されている中で、防備の不十分な体制のところに身を置くことはできませんから」


 身を置いた場所が針の筵の状態になるのであれば、逃亡を図った方がマシかもしれない。1回の戦闘で既に説得力を持ってきた美南の進言は久保の判断を左右するのだ。


(それにしても、あの『美南深幸』がここまでなるとは思ってなかったな。自分の小説(原作)とは掛け離れすぎている)


 本人かどうかの疑いは今の久保にはない。だが、それを今後考慮に入れねばならないだろうと予測はできる。信頼の積み上げは堅実に為されていくのだろうか、と。


「その話が通るかはわからないけど、一旦、持ち帰らせてもらうとするわ。変更点があったらアタシがあんた達の前に姿を見せる。敵対意思を表明するならば、尚更に」


 大槻の回答で、脳内で話が飛んでいた途中で我に返る。

 最低限が守られれば、下手に規制をするつもりもないと考えていた久保も頷いておく。最後の言葉は彼女の裏切りを匂わせるものでもあるが、久保には他者の命を守る余裕は一片もないので聞かなかったことにしておく。


「わかりました。現状では敵対関係の認識ですが、そちらが危害を加えようとしなければ問題ありません。……正直、僕自身が何に巻き込まれていて、今後どうなっていくのか理解できていません。だったら、襲撃された事実は脇に置いても、情報を入手されているあなた方の話を聞く方を優先します」


 久保は、自身の性格が好んで殺人を行う人間ではないと信じている。

 だからこそ、超危険人物と言われるのに納得はいかないが、それぞれの立場を明らかにさせて少しでも活路を見出したいと結論付けた。


「深幸さんも構いませんか?」


「……かしこまりました」


 美南からは何やら含みのある返事で了承を得る。

 彼女は彼女で考えることも多いだろう。けれど、久保の意思を肯定した点では、彼女の対応可能な範疇であると信用している。

~小話~

美南(仮にこの女の開示した能力が正とするならば、修復能力を持っているであろう人間は、ここから離れている方だと推測できますね。戦闘メインだった男の能力は既に割れている。物質の変形を駆使すれば男の方でも修復も不可能ではないかもしれないですが、手際の良さを考慮に入れると弾けるでしょう。それに、この女は後方支援を専門としているのに無理矢理姿を現した。そして、修復能力を持つであろう方は残してきている。距離を結構離していることから察するに、こちらの方が能力として重視しているかもしれません。情報の入手には成功しましたが、今後の対策のために――――――――…………)

大槻(コイツ嫌い)

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