表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/3

ラブレターのお届け物です


「なんで…私が」


いくら私がシスコン気味とはいえ、これは酷いんじゃないだろうか。


なんて悪態をついても仕方がないので私は姉のいう通りに黒の将隊が訓練している森場にへと赴くこととなった。


「どこにいるんだよ…ジューク隊長…」


……あ、そもそもジューク隊長の顔を知らない。


やっべぇな~なんて思いながら雑草と木を蹴散らしていると、休憩をしていると思われる黒い服の兵士たち何人かが岩にいるのを見かけた。


よし、あいつらに適当に渡してやろう。


「あの~」


フードを深く被りつつ、そろりと話しかける。

気づいた兵士たちがギロリと睨み付けて来た。怖い。


「何だ…貴様は」


口を開いたのは…大柄の兵士。

それに睨み付けられ…。


「…ぁっ…」


思わず絶句した。


兵士の顔には無数の傷があり、体はかなり大きくて鍛え上げられているのがわかるし背がかなり高い。


更に特筆すべきは顔だ。非常に整っているが、まるで熊を思わせる凶暴性がありありと出ており『武骨』とか『無精』とかが出てくるような男だった。


もうコレは熊だ。熊だとしかいいようがない。


なんて呆けていると、熊さんは怪しむように片眉を上げた。だから怖ぇよ。


「貴様、何しに来た?ここは遊び場ではな……む!?」


熊さんは私の顔を覗込むと同時に目を見開いた。あ?


「き、君は…あの時の…」


どの時の?


「ん?何々どうしたの?」


赤茶の髪色をしたチャラ男さんが面白そうに聞いてきた。


「俺が敵の捕虜として捕まりながらも脱走した時…飢えで倒れていたら、君がパンを俺の口の中に入れてくれたんだ」


「……」


ん?そんなことしてたっけ?んー…と一応頭を回転してみる。で、一つヒットした。


あぁ、そういえば実家のパン屋のパンを隣国の戦時に販売してた。戦時というのは非常に金になるのである。


しかし、一つカチコチになってしまい…捨てるのも勿体ないから適当な死体の口に突っ込んで棄てたんだった。


あの死体がコイツかぁ…と見当はついたが、流石にそれをいう訳にもいかないので一応相手に合わせる。


「はい…あの時は…すぐに助けたかったのですが…ひ弱な私ではアレが精一杯だったのです」


嘘八百。多分私は口から生まれたんだと思う。

相手に合わせて適当な嘘をつくのは得意なので、今回も適当に嘘をついた。


「あ…いや、その…私は嬉しかった」


熊さんは顔を酷いほどに真っ赤にさせながら俯かせる。

厳つい武骨の美青年の照れ顔というのは酷く萌えさせるものがあるが、我慢我慢。


「それで?今日は…どのような用件できたんだ?」


仕切り直すように熊さんはいった。

私も用件を思い出してスカートのポケットをまさぐって目的のものを出す。


「あ~…いや、これを届けに」


私はさっさと手紙を彼に渡す。

『愛しのジューク様へ』と宛名書きをしたものだ。


「なん…だと…!?」


「ジューク隊長に!?」


「大胆だな…」


黙っていた他の兵士たちが口を開いた。

呆然とその手紙を見ている。


「うっひょ~!!」


軽薄そうな兵士がピョンピョン跳ねてる。元気だな~


「どうしたらよいのだ…結婚?…いや、まず考えるべきことは新婚旅行…」


熊さん(勝手に命名)はなんかブツブツ言ってる。


「じゃあ!!そういう訳ですので…」


「え、おい待て!」


いや、待ちませんよ。すたこらさっさっさーのーさ~♪







…あ、シャルラ姉の名前を書くのを忘れてた。まぁ、いいか。


良い訳がない。


ジュークは結構初恋をこじらせてます。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ