79 渾身の一撃
「くそっ!当たれっ!」
ヒュンヒュン…!
「…遅いですねぇ…」
サッ…ササッ…!
くっ…!やっぱり無理か…!ダメ元でいろんな攻撃アイテム…最近覚えたばかりの低威力の魔法を撃ち込んでみたが…さっぱりだ…。
俺の実力不足…実践不足も原因だが、バルコスの回避アクションが洗練されている。やっぱり…真っ向勝負は不利か…!
このままだと…こっちのじり貧でやられるのが目に見える…。
「ひっひっ…そんじゃま…いつも通り…」
ザシュッ…!…ビュンッ…!
うげぇっ!?バルコスのやつ…さっきまでの斬撃よりもでけぇのを飛ばしてきたっ!こんなん当たったら…ヤバイだろ!ふざけんな!
…と思ったが…
このまま避けまくっても…あいつの思う壺…。何か…奇策を使ってあいつに一矢報いないと…。
…よし!こーなったら…出たとこ勝負!
「うぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
ダッ…ダッダッダッダッ…!!
俺はバルコスの攻撃に対し…そのまま『真っ向から』突っ込んでいった…。
「…?」
バルコスのやつは困惑…。俺の行動に疑問の表情を浮かべている…。とりあえず…その隙に…
「…『相殺スキル』!」
瞬間…俺の前まで迫っていたでけぇ斬撃は一瞬で…
パアンッ…!!
「…っ!」
「はっ…!わりぃな!バルコス!」
完全に霧散…。塵ひとつ残らず消え去ってしまった…。さすがのバルコスもこれには衝撃を受けたらしい…。
さっき使ったスキルは…
『相殺スキル』
このスキルを使用した場合、敵からの攻撃を消し去ることができる。
ただし、ダメージの総量が使用者のHPを越える場合、スキルはリセットされる。
また、無効化できる攻撃は単体のみであり、複数の攻撃に影響を与えることはできない。
このスキルの使用後、2分経過まで再使用はできない。
まー…よくあるチート能力みたいなもんだな。攻撃を無効化するとか…反則もいいとこだ…。
一応使用条件として、
・単体の攻撃のみ防げる。
・ダメージの大きい攻撃は防げない。
…というものがあるため、使用するときは限られるが…攻撃を防ぐ方法としては優秀だ。
一応…即死級のダメージであるか心配だったが、ゲームの設定ではそうではないらしい…。
まぁ…ティナの傷口を見ての判断なんだが…ここら辺のダメージの定義ってまだわかりきってねぇわ…。
一瞬怯んだバルコスはそのまま回避行動に移ろうとするも…ワンテンポ遅かった…。そこを…
「喰らってろ!」
「…っ!」
握りしめた拳をそのままあいつの顔面に…。俺程度の力じゃ気絶はおろか…大ダメージなんて狙えねぇが…まずは…
「こいつは…ティナの分だ!」
ゴッ…!
「ブッ…!!」
ドッシャァァァ…!
ふぅ…スッキリした…。こっちもやられたまんまは…特に幼い幼女を傷つけられたらムカつくしな。
俺の渾身のパンチを喰らって、バルコスはそのまま後ろへとひっくり返る…。派手に転んだ音は結構気分がいい…。
ざまぁみろってんだ!
「…ひっひっ…まさか…一度ならず二度も…。こうしてダメージを受けるのは…久しぶりなもんで…」
ムクッ…
バルコスはそう言うと、そのまま起き上がる…。爆発や転んだ衝撃で衣服は相当にボロボロ…。口の中を切ったのか…血が流れている。
さすがに疲労困憊なようだ…。これは…こっちに分がありそうだな!おっと…油断大敵っと…。
「…ちょっと…本気出しますかねぇ…」
バルコスがそう言った瞬間…
フォンッ…!
「…!?きっ…消えた!?」
俺の前にいたはずのバルコスが…一瞬にして消失…。これは…どうなって…
…ブシュッ…!
「…いっ…てぇぇぇ!!くそっ…!どっから…!」
くっ…!いつの間にか…腕の方を切りつけられちまった…!傷が浅いのは幸いだが…何が起きてるのか…!
そんなことを思う中…さらに戦況は大変なことに…!
ガッシャァァァ…ン…!!
バキッ…ゴロゴロ…!
「…!あちこちボロボロに…滅茶滅茶になってる…!」
俺だけじゃない…。立派に建てられていた建築物が一気に崩壊…。まるで地震でも起きたのか…と錯覚するほど…。
これは…バルコスの仕業…なのか…?
それにしては…見境なく攻撃しているかのようだ…。極限まで移動速度を上げる代わりに、一切の思考を停止したような…。
んでも…これはあんまりにも脅威…。こっちの防御も攻撃も通じない…。バルコスの動きを止めない限り…俺は右往左往するしかない…。
…完全に手詰まりの状態…
…というわけでもないんだけどな!
確かに…今の俺にバルコスの攻撃を対処することはできねぇし…速い動きを捕らえることもできねぇ…。
んでも…バルコスには大きな弱点がある…!
「『武装解除スキル』!」
俺はその場でスキルを使用…。その瞬間…
「…ひっ?」
あれだけ動き回っていたバルコスが足を止めることに…。原因は…自らの違和感…そう…
その手にあるはずの『大鎌』が…『消失』していることに困惑したからだ!
このチャンス…無駄にするわけにはいかねぇ!
「ウォォォォォォォォォォォ!!」
俺はバルコスへと一直線でダッシュ…。右手を固く握りしめて…あいつが反応する直前に射程圏内へと一気に詰め寄る…!
「ひっ…!」
やっと…俺に気づいたようだが…もう遅いぜ!バルコス!
「もう一発だッ!喰らってろぉ!」
バキィッ…!
グシャッ…!
俺の渾身の一撃が…再びバルコスの顔面へと打ち込まれた…。




