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第42話『みんな、ないた日。』
何もかもおかしな世の中。
お寺の鐘がゴォーンと鳴いた。
空を黒くしてカラスがカァーと啼いた。
赤ん坊がオギャーと産声あげて、つられて大人がわんわんと哭いた。
みんな、ないた。
夜になれば野球はナイター。
泣いたー?鳴いたー?ナイター? 何のこっちゃ、ボールも笑うわ。
先日から、春一番が髪をくしゃくしゃにして、夏日は気ぃ早すぎて半袖で走り出す。
冬は置いてけぼり、迷子の迷子の白い猫。
季節まで道に迷うてる。
どないなってんの、この世界。
今日は雨模様やけど、そのうち陽炎までゆらゆら泣いて、アスファルトの上で現実まで溶け出すやろ。
異変や、異変や言うてみたら――
胸がむかつく? それは胃炎や。
咳が出る? それはえへんや。
秘密の話? それは人には云えんや。
ちゃうちゃう、
ぼくの言うてるのは
そんなんと違う異変や。
笑うてるのに、どこか寂しい。
泣いてるのに、ちょっと可笑しい。
何もかもおかしな世の中で、まともな顔して立ってるほうが、ちょっと変かもしれん。
もうエエわ――
そう言いながら、
今日もまた鐘が鳴る。
ゴォーン。
…ほら、また誰か泣いとるやないか(笑)




