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鳥獣戯詩  作者: 妻戸裕次


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34/44

第33話『待合室で人生が一巡する件について』**

マスク越し

ぞろぞろ ぞろぞろ

誰の息かもわからないまま

院内を練り歩く 


白い迷路

待合室は満員御礼


あふれ出た人々は

ガラス越しに中庭へ流れ

すーっと伸びた

一本のイチョウを眺めている

(あれは健康優良樹)


日射しは 

冷気をぐいっと押しのけ

季節の主導権争い

勝者はいつも一瞬だ


病める人

その付き添い

よくわからない奴

ちょっと怖そうな輩

あなた

そして僕


肩書きも 元気だった昨日も

ここでは一旦保留


みんなで病んだら

なぜか こわくない


生まれて 老いて 病んで

死ぬ……


その全部を

同じ長椅子で待っている


人生は

順番待ちの番号札みたいなもの

呼ばれる時は突然で

理由はだいたい不明


それでも

ぞろぞろ ぞろぞろ

今日も歩く


摩訶不思議で

ちょっと可笑しくて

案外 悪くない

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