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鳥獣戯詩  作者: 妻戸裕次


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第18話「クラゲからはじまる話」

人生という、なんとも不思議な散歩道  

風に輪郭をもらい くっきりと立つ富士山


戦争も 平和も 黙って見つめてきた顔で 

今日もそこにいる


伝書鳩は何も語らず 木々はざわめきで噂話 いにしえから未来まで 時間は勝手に行ったり来たり


日常から少しはみ出したオバサン 買い物かごを揺らし 自転車で人生を横切る


父と少年のキャッチボール

投げたボールは 世界の出来事みたいに 

ちゃんと 受け止められる


この世で起こったこと おそるるにたらず 

公園のベンチは 今日も人を休ませる


空は善人のように青く 山端の雲は 悪人顔でにやりと笑う


歎異抄をひらけば 難しい言葉のすき間から なぜか 肩の力が抜けてくる


赤貝から女が生まれ 男は貝殻になったという そんな一節が

海で本当に起きていたかもしれない


バーチャルからリアルへ

リアルからバーチャルへ

行ったり来たりしながら

人はメッセージを受け取る


人はクラゲから生まれ 形を変え 名前を変え 

輪廻転生のヒストリーを ぷかぷか漂っていく


人生は 深刻そうな顔をして

実はかなり オモシロおかしい


だから今日も 風を感じ 山を見て 

ボールを受け止め 笑いながら 生きていく

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