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絶対に進化できないスライム転生  作者: 瘴気領域


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83/105

第83話 (仲間の仇討ちに闘志を燃やす! 完全に主人公ムーブ!)

「くっ、よくも二人をやってくれたな! もう許さないぞ!」

「「えぇ……」」


 リーフとキュティが観客席で思わず呆れるが、そのため息はキッポンには届かない。

 むしろ、


(へへん、これは決まったな! 仲間の仇討ちに闘志を燃やす! 完全に主人公ムーブ!!)


 と感無量である。


「なんだか知らんが、残るは貴様ひとりよ! 今度こそ叩き潰してくれる!」


 巨大な爪が降る。

 だが、今度はキッポンも読んでいる。

 大蛇モードでにゅるりとかわすと、クーロンの右腕に絡みついた。


「鬱陶しいわっ!」

「あつつっ!?」


 クーロンの鱗が赤熱。

 キッポンは慌てて身を離す。


(むむ、これは直接接触はNGだなあ。関節、絞め技、呼吸器を塞いでの窒息……。このあたりは使えないな。ってことは……)


 キッポンは強酸を合成し、ぴゅぴゅぴゅと噴射。

 クーロンの全身を濡らすが、それもすぐに蒸発する。


「酸だか毒だか知らんが、そんなものが儂に通用すると思うなよッ!」

「うひゃっ、これもダメか!」

「当然だ! 神代の戦いではあらゆる奇跡が飛び交ったのだ。我が闇鱗の鎧は酸も毒も、高熱も冷気も一切を無効化する!」


 まさしく鉄壁の防御である。

 いかに激情に駆られたとはいえ、クーロンとて勝算もなしに三対一の戦いを受けたりはしない。手数で押されることは計算の上で、それでも打ち勝つ自信があったのだ。


「全部無効化しちゃうなんて、勝ち目ないんじゃない……?」

「でも、キッポン殿ならひょっとして……」


 リーフとキュティが目を合わせて頷く。

 キッポンなら何かをやりかねないと思っているのだ。

 別に「勝ってほしい」とかはまったく思っていない。

 めちゃくちゃをやらかして、これ以上のトラブルを招かないことだけを祈っていた。


 だが、 


(リーフとキュティは諦めてない! これは期待に応えないと!)


 都合の良いことだけは聞こえるのがキッポンの聴覚である。

 カクテルパーティ効果をフルに活用する幸せな耳をしているのだ。耳という器官はないが。


「くくく、どうした。もはや打つ手もなかろう。降参するのなら認めてやるぞ」


 勝利を確信したクーロンが傲岸に笑う。


「いや、そんなこともないんだけどね。まだ試してないこともあるし」


 キッポンはドライヴァルの鱗で円形の盾を形成し、クーロンに向けて突き出す。


「なんだ? 守りに入って隙でも伺おうと言うのか。つまらんな」


 クーロンがこれみよがしにため息をついたその瞬間。

 キッポンはクーロンの懐に飛び込み、盾をクーロンの腹にぶち当てた。


「むう? 破れかぶれか? 痛くも痒くもないぞ」


 ドリルさえも弾いた鱗だ。その程度でダメージが入るはずもない。


「これをくらっても、余裕でいられるかな?」


 キッポンの全身がバネ形に変形し、ぐにゃりとたわんだ。

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