第83話 (仲間の仇討ちに闘志を燃やす! 完全に主人公ムーブ!)
「くっ、よくも二人をやってくれたな! もう許さないぞ!」
「「えぇ……」」
リーフとキュティが観客席で思わず呆れるが、そのため息はキッポンには届かない。
むしろ、
(へへん、これは決まったな! 仲間の仇討ちに闘志を燃やす! 完全に主人公ムーブ!!)
と感無量である。
「なんだか知らんが、残るは貴様ひとりよ! 今度こそ叩き潰してくれる!」
巨大な爪が降る。
だが、今度はキッポンも読んでいる。
大蛇モードでにゅるりとかわすと、クーロンの右腕に絡みついた。
「鬱陶しいわっ!」
「あつつっ!?」
クーロンの鱗が赤熱。
キッポンは慌てて身を離す。
(むむ、これは直接接触はNGだなあ。関節、絞め技、呼吸器を塞いでの窒息……。このあたりは使えないな。ってことは……)
キッポンは強酸を合成し、ぴゅぴゅぴゅと噴射。
クーロンの全身を濡らすが、それもすぐに蒸発する。
「酸だか毒だか知らんが、そんなものが儂に通用すると思うなよッ!」
「うひゃっ、これもダメか!」
「当然だ! 神代の戦いではあらゆる奇跡が飛び交ったのだ。我が闇鱗の鎧は酸も毒も、高熱も冷気も一切を無効化する!」
まさしく鉄壁の防御である。
いかに激情に駆られたとはいえ、クーロンとて勝算もなしに三対一の戦いを受けたりはしない。手数で押されることは計算の上で、それでも打ち勝つ自信があったのだ。
「全部無効化しちゃうなんて、勝ち目ないんじゃない……?」
「でも、キッポン殿ならひょっとして……」
リーフとキュティが目を合わせて頷く。
キッポンなら何かをやりかねないと思っているのだ。
別に「勝ってほしい」とかはまったく思っていない。
めちゃくちゃをやらかして、これ以上のトラブルを招かないことだけを祈っていた。
だが、
(リーフとキュティは諦めてない! これは期待に応えないと!)
都合の良いことだけは聞こえるのがキッポンの聴覚である。
カクテルパーティ効果をフルに活用する幸せな耳をしているのだ。耳という器官はないが。
「くくく、どうした。もはや打つ手もなかろう。降参するのなら認めてやるぞ」
勝利を確信したクーロンが傲岸に笑う。
「いや、そんなこともないんだけどね。まだ試してないこともあるし」
キッポンはドライヴァルの鱗で円形の盾を形成し、クーロンに向けて突き出す。
「なんだ? 守りに入って隙でも伺おうと言うのか。つまらんな」
クーロンがこれみよがしにため息をついたその瞬間。
キッポンはクーロンの懐に飛び込み、盾をクーロンの腹にぶち当てた。
「むう? 破れかぶれか? 痛くも痒くもないぞ」
ドリルさえも弾いた鱗だ。その程度でダメージが入るはずもない。
「これをくらっても、余裕でいられるかな?」
キッポンの全身がバネ形に変形し、ぐにゃりとたわんだ。




