ゆるい決着
何故か現場から閉め出された感のある騎士三人組は、唖然としながらその光景を見ていた。
「……何だ、あの、青い春みたいな空気は」
「いいなあ、オレも交ざりたい~」
「フェクサー、お前な……」
頭を押さえたディンセントは溜め息を吐き、とにかく二人と一匹を通常の世界に引っ張り戻そうと、青い春の空間に切れ目を入れる。
「おい、ロカっ。それに郵便屋も! まだ話は済んじゃいねぇぞ」
ひんやりとした空気が入ってくるのを感じたロカは裂けた隙間をちらりと見たが、すぐにぷいと顔を逸らす。
「もういいって言ったでしょ? 私、自分でお城に行きます。騎士さんたちは分かろうとしてくれないもの」
「おいっ、」
「それに、きっとお城にいるソラリコさんなら、クゥムーのことを分かってくれるわ」
「~~っ、あのなぁ、」
「ロカ、だったら、ぼくが城へ案内してあげるよ。城のソラリコの人と面識があるんだ」
「本当?」
「うん。それに、ちゃんとロカを城まで送り届けるって、決めているから」
「ちょっと、勝手なことを言わないでくれないか。それに郵便屋のキミ、関係ないのに入ってきてはいけないだろう」
レイブリックは食うように滑り込む。
「関係あるよ。ぼくも、港から一緒に来たんだもの。こうやって、ほら、彼女の荷物も運んできてるし、途中で投げ出すなんてしな、」
「ムルルっ」
「こら、クゥムーっ」
「あーっ、もう、分かった分かった!」
話が絡まり始めて面倒臭くなったディンセントは、頭をがしがし描きながら大声を出す。ストレートに感情を表すハイエフは低く唸り、そのドライバーも渋面のままロカとリザレオを睨んだ。
「ロカはさっさと俺のハイエフに乗れ。そのソラニルを掴まえて離すなよ。郵便屋は城まで荷物を運べ」
少し驚いた表情のロカは、クゥムーを抱き寄せながらディンセントを見上げる。
「ちょっと。いいのか、ディー?」
「もういい、まとめて連行だ。ソラニルがいるから、島外を飛行して帰城する」
「いや、一般人を乗せての島外飛行は禁止だぞ」
「それは、空を渡れないからだろう? ロカはソラリコのように空を渡れるから、万が一落下しても大丈夫だ。ソラニルは論外。郵便屋は島内を飛行してもらう」
「うーん、いいのか、それ……」
単なる都合のよい解釈の問題じゃないかと、レイブリックは苦い顔をした。ディンセントは肩を竦める。
「もちろん、彼女は我々騎士団の取締まりに歯向かっている状況だから、実力行使しても構わない。彼女を捕縛し、ソラニルを捕獲し、城に連行する手もある」
言葉を区切った彼は、紅い目で周囲を流れるように見た。
「が、こんな大勢の人がいる所で、少女一人にそこまでするのもどうかと思ってな。レイブリックが構わないと言うならやるが」
「……お前はまた、そういう言い方をする」
レイブリックは溜め息を吐くと、眼鏡を押し上げた。
「分かったよ。ディーは彼女たちを頼む。俺たちはこのままここで検証作業を続ける」
「ああ」
「デートの続きかー。いいなー、ディーは」
「フェクサー。お前、面倒臭い」
「ひどいっ」
心臓を押さえて傷付いたリアクションを取っているフェクサーを放置し、ディンセントはぽかんとしているロカたちへ呼びかける。
「おい、早く来い。城に行くぞ」
渦中の二人は互いに顔を見合わせると頷き合い、腕組みをして待つぶっきらぼうな軽騎士を案内役として城への移動を再開した。
ええ、フェクサーは面倒臭いやつです(きっぱり)




