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加藤 正義

完全犯罪とは?


以前訪れた闇サイトで、議論されていた。


殺人に関していえば、


・自然死に見せかける。

・事故に見せかける。

・自殺に見せかける。

・正当防衛に見せかける。


と、その方法が色々と出されていたが、現在の警察捜査では、監視カメラ映像の解析や科学捜査の発達で、警察を欺くのは困難だろう。


 殺人以外の犯罪でも、防犯カメラが氾濫している街中では容易に足がついてしまう。

かといって、防犯カメラも無いような山奥では、私有地への不法侵入やゴミの不法投棄程度の犯罪くらいしかできない。


 怨恨での犯罪となれば、知人への聞き込みや携帯電話の通話記録、SNS情報等から容疑者が絞られ、忽ち逮捕されてしまうだろう。


 だとしたら、どうすれば完全犯罪を成し遂げられるのか。



簡単だ。



犯罪自体を気付かせなければ良い。

被害者に対しても、警察に対しても、第三者に対しても。

被害者がいなければ、警察も捜査はしない。

通報や目撃証言、証拠映像が無ければ、警察も動かない。


では、気付かせないようにするためには、どうするか。



木の葉を隠すなら森に隠せ。



という言葉がある通り、見つかりにくいところでやれば良いだけだ。


 殺人を犯したいならば、戦場にでも行けば良い。そこら中で人殺しをしている中に行けば、そこに関係ない人間の死体が転がっていても、気付かれ難いだろう。


 俺がやっているのは、人殺しのような物騒なものではない。ネットを利用して、金を頂くというものだ。

騙し取る方法は、クレジットカードでの支出ということにして、隠し口座に振り込ませる。


今の時代、クレジットカード決済というのは普通に行われているし、全ての支出の管理をしている奴はほとんどいないだろう。その中でも、金の出入りの多い口座を探し、その口座からいただく。


俺は仕事上、色々な会社のシステムに携わっている。その中には、クレジット会社のシステムもある。プログラムを組む中で、そのプログラムに侵入する為の裏ルートを入れておくことは可能だ。後は、入出金の頻度が高く、取り扱う金額の多い口座を探せば良い。


調べる方法もクレジット会社のシステムに侵入すれば、名前から生年月日。住所、電話番号、メールアドレスもわかるし、暗証番号だってわかってしまう。


俺は、基本的にターゲットの事は事前に念入りに調べてから行動する。

もし、相手が警察関係者だったり、俺よりもネット犯罪に詳しい奴だったら、俺の身に危険が降りかかるからだ。少しでも危ないと思えば、手を引く。狙う相手は、この世界のどこにでもいるから心配ない。


今回、狙う奴のことは調べてある。


 名前は麻生孝介。三十歳。住んでいるのは、『メゾン・ド・コント・ド・フェ』。

俺と同じアパートに住んでいる。同じアパートに住んでいる奴を狙うのは危険ではないのか?



否。



ネット犯罪をするならば、相手は隣に住んでいようが、地球の裏側に住んでいようが同じ。アパートの一室から世界中に繋がっている。ネットの世界とはそういうものだ。


ターゲットの調べ方だが、SNSをやっていれば、その名前をネットで検索して素性を知ることは簡単だ。本人がSNSをやっていなくても、仕事仲間や出身校の同級生を探れば、何かしら解ってくる。


そのSNS情報によると、この男、相当なリア充だ。生活水準は高いし、金回りも良いようだ。こんな奴には何の情けもいらない。単なる俺の僻みだが。


 仕事も相当出来るヤリ手みたいだ。こういう奴には少し警戒が必要だ。

自分が優秀だと思い込んでいる奴は、人のミスや落ち度を見つけては優越感に浸っている。むしろ、優越感に浸るために、人の粗を探しているようなところもある。


 今回は、逆にその性質を利用することにする。


こちらからの攻撃に、気付かれるようなミスをわざと残しておく。相手はそのミスを見つけ、得意になってトラブル処理をするだろう。その対応がうまくいけば、犯人を馬鹿にし、優越感に浸るはず。そこに油断が生まれる。そしたら、攻撃した場所とは全く違う場所を狙って、大金を頂く。


 実は今回は、いつもと違い自分の為ではない。

俺の親が、オレオレ詐欺に引っ掛かったらしい。らしいというのも、俺は親とは疎遠になっているから直接聞いたわけではないが、弟とは連絡を取りあっているから、そこから入手した情報だ。なんでも、弟に成りすました奴が泣きながら、


「株で大損して借金しても足りなくて、会社の金に手を付けた事がバレた」


と言っていたのを真に受けて、大金を振り込んでしまったらしい。


 俺ではなくて、弟に成りすましたのは、犯人の方が上手だった。俺が泣きながら親に援助を頼む、なんてことはありえないから、そうだったら親も警戒しただろうけど、うちの親は弟を可愛がっていたから、弟が困っていれば助けてあげようと慌ててしまったのだろう。


 弟は自分に関わりがある事を気にして助けて欲しいと俺に言ってきているし、俺も親が騙されているのに、何もしないわけにはいかない。


 ターゲットの麻生孝介はオレオレ詐欺とは関係ないが、狙わせてもらう。

調べているうちに解ったことだが、この男には表沙汰には出来ない隠し口座があるようだ。その口座には、一定間隔で大金が振り込まれているのを確認している。それも銀行のシステムに侵入して得た情報だ。


うちの親が振り込んでしまった分の金額を、そこから頂くことにする。

奴からすれば完全に、とばっちりだが関係ない。


 結果だけ言えば、完全にうまくいった。奴の悔しがる顔を見られないのは残念だったが、構わない。被害届を出している様子もない。まあ、被害届を出せないのは解っていて狙ったんだが。


 今回の経験で、完全犯罪をする為の、もう一つの方法があることがわかった。



それは、被害届を出せない金を狙えば良いってことだ。


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