20.第二の仲間、王都へ
フェイド王国の王都へ移動するために馬車に乗っていた。
ただクライバと同伴することができなかったため、アグニとシアンたちがそばに居た。
一緒に行けない。行けるはずがない。
だって……原因が俺が【擬人化】した水属性のサラスらしいんだ。
「おい……どうなってるんだ。なんで王都にサラスがいるんだ……」
俺が【擬人化】した水属性のサラスは、ちょっと性格に難のある人物だった。
確か、世界の最果てにある【天水山】に修行へ行った。
随分と長いこと会っていないが、まさか、人間に害をなしているんじゃないだろうな。
てか、水神ってなに。
そういえば、気にも留めていなかったけど……ヴェルファイアでの戦闘の時でも、アグニのことを『炎神』と呼んでいた。
あれ、もしかして俺の知らないところで、世界がとんでもないことになってるの?
いや、いやいや。まさかそんな……ないよね。
とアルムが考えていた。
研究に没頭していたからこそ、世界情勢にアルムはあまり詳しくなかった。
「アルム様、少し横になられてください」
そういって、アグニが俺のことを無理やり膝枕する。
なってほしい、と言いながらしてるじゃないか。と思うも口を閉じる。
太ももの柔らかさを頭で感じながら、俺は唸る。
「本当に王都での騒ぎの原因がサラスなら、ちょっと厄介だなぁ」
サラスは、俺が擬人化した魔法の中で、最も厄介な性質を持っている。
サラスは【真実の水】という魔法を好んで使う。
嘘や大罪を犯したものは、その水を飲んだだけで数日は倒れ、熱と嘔吐に悩まされる。
王都は政治による汚い工作や悪意、権力の争いごとが多い。そんな場で、【真実の水】をばら撒いたりしていたら、大量虐殺待ったなしだ。
それ以外にも、普通に雨を降らせたり、やる気になれば津波も起こせるだろう。
魔法の使い勝手はいいんだけど、性格がなぁ……。
しかも、サラスは……俺をたった今溺愛しているアグニと滅茶苦茶仲が悪い。
「あんなアバズレ女、迎えに行かなくてもよろしいのでは? サラスなんかいなくても、私一人で十分です。アルム様」
「ダメだよ、サラスも大事な家族なんだ。それに、サラスが俺のところではなく王都にいるのには、きっと理由があるはずだ」
「サラスはあの顔と頭だけが取り柄の女ですよ。大方、【魅惑の水】でも使って豪遊してますよ」
「それなら余計に止めないと。人の暮らしている国を滅茶苦茶にしていい道理はないよ」
うん、そうだよ。
もしも、俺の倫理観から大きく外れたような行動をとっているのなら、親的な立場にいる俺が止めなければならない。
アグニだけじゃない。
他の擬人化した仲間たちだって、大きな問題を起こしたら俺が責任を取る。
「アルム様……安心してください。このアグニ、アルム様が困るような真似は絶対に致しません」
「ありがとう、アグニ」
一番最初に戻ってきてくれたのがアグニでよかった。
まぁ……最も忠実なのがアグニなだけなんだけども。
シアンが言う。
「アルム、王都で問題を起こしちゃった子って知り合い?」
「まぁ、そんなところ。俺のところに来ないで、一体何をしているんだか……」
クライバからの態度を察するに、事は急を要している感じではない。
「でも、王都で暴れたりしていないだけ、まだよかったかもしれない」
「アルム様、もしもサラスが暴れていたら、王都など数時間で陥落しますよ」
「それは言い過ぎじゃない?」
王都の人たちだって、そんなに弱くない。
それに、サラスが小さかった頃は、魔法だってちょろっと水を出す程度だったんだ。
数時間で陥落なんて、ないない。
「ふむ……そうですね。やはりアルム様は流石です。私があえて低く見積もったことを見抜くとは」
「え……」
「サラスであれば、30分もあれば壊滅させられるでしょう」
なにそれ、余計にやばいじゃん!
急がないと……王都が本気で危ないかもしれない……!
あの気分屋のサラスがなにをするのか、少し不安だった。
大丈夫だとは思うけど……思うけど!
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