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21.事実/サラス


 王都にやってきたクライバは、騒ぎっぱなしの宮廷を見て頬を引き攣らせていた。

 いつもは静粛で、宮廷を走り回ることさえ品がないと叱られるような場所だ。


 宮廷の規律の門番として最も厳しいユーステス侯爵ですら、走っていた。


 クライバが思う。


(ユーステス侯爵が走ってるところなんて、初めて見たな……)


「ユーステス様!」

「おぉ! 来たかクライバよ」


 ユーステス侯爵は、王都の中でも慎重派と呼ばれ国王に忠誠の厚い人物だ。

 クライバもある一定の信頼を置いており、数少ない上司とも言えた。


「す、すごい騒ぎですね。僕、こんなにバタバタしてる宮廷は初めてですよ」

「当然だろう! 七つの魔神を監視する魔法球から今度は水神が姿を消したのだ! しかも、唐突に王宮の上空に人が現れ、大量の雨を振らせたのだ!」

「へぇ……不可解ですね」


 クライバは至って冷静に分析する。


「なにを悠長に構えておるのだ! だが、若き天才であるお主ならなんとかできるだろう!」


 心を躍らせるように、ユーステスが拳を握る。


 だが、クライバにとってはいい迷惑だった。


「僕はアルムくんともう少し話をしていたかったんですけどね……」


 どこから来たのかすら、聞き出せなかったからなぁ。

 アグニっていう女性も、相当強そうに見えたし……一緒に連れてくるべきだったかな?


 いや、アルムくんを危険な目には合わせたくない。


「クライバよ、まずは王国の存続だ」

「分かっております、ユーステス侯爵。あとよかったら、お使いください」


 侯爵は、走っていたせいで汗をかいていた。

 エーティア家の紋章が入ったハンカチを手渡す。


「焦っていては、判断が鈍ります」

「おぉ、これはすまぬ。ふぅ……」


 クライバが思う。 


(みんなが焦る理由はわかるけど、国なんて軽く滅ぼせる魔神だ。水神は王都を滅ぼすつもりはないんだろ)


「ところで、肝心の水神はどこに?」

「それが……分からないのだ」

「……はい? 王都の上空に来たのでは?」

「あぁ……だが、雨を降らせた報酬として白金貨をもらって消えたのだ……」


 クライバは余計に困惑する。

 

「ど、どういうことですか? 王都にきて、雨を降らせてお金をもらって帰ったと……?」

「実際、王都ではここ数ヶ月ほど雨が降っておらず、農作物に壊滅的な打撃が出る可能性があった。それを考えると天からの恵みには間違いなのだが」


 今の農民にとって、雨に感謝していた。


「恐ろしい力だ。雨を降らせるなど……」


 ユーステス侯爵も水神の姿を遠くでしか確認することができず、誰も顔をはっきりとは見れていない。

 その後の行方を掴むために、辺境の地へを伝令を飛ばしていた。


 さらに兵士を王都の外壁へ集め、守りを固めている。


(……人間に対して、友好的な態度を? 圧倒的な力でねじ伏せることだって出来るはずだ。しかも、人間社会のお金をもらうなんて使い方を知らなきゃ意味が……)


 クライバは思わず、はっと顔を上げた。


 まさか……。

 

「ユーステス侯爵、今すぐ王都の街に兵を送ってください」

「なぜだ? まずは水神の雨を浴びて病が治ったという者たちの話を聞こうと思っていたのだが……」

「水神は、おそらくお金の使い方を知っています。まだ、王都内にいる可能性があります」


 魔神が人間社会を知っている。

 誰も、そんな風に考えたことはなかった。


 ゆえに、見逃していた。


 お金をもらって、まさか王都にまだ残っているとは。


 *


 王都にある食堂で、青髪を揺らしながら豪勢な食事をとる女性がいた。


 水の都とも呼ばれる【天水山(レニア)】から、はるばる王都へやってきた。


 その者の名を────サラスといった。


 運ばれてくる料理を全て口に含みながら言う。


「この辛いお肉! おいしいですわ〜! やはり、食事は人間の食べ物に限りますわね!」


 店主の女将が言う。


「あ、あんた若いのによく食うねぇ。特にそれ、男どもですら根を上げた激辛料理だよ」

「あら、そうかしら。ふふっ、初めての味もあって楽しいですわよ?」

「と、とんでもない嬢ちゃんだなぁ……」


 サラスは自身の唇を触って、妖艶に笑う。


「でも、赤色は許せませんわね。赤は嫌いですの」


 サラスが思う。


(水の私は何色にでも染まれますけど、赤だけは気に食わないのです)


 ため息を漏らしながら、サラスは料理を口に運んだ。


「はぁ……あむあむ……美味しいですわ」


 はぁ……。


 いますぐアルム様の元へ参りたい。

 そうして思いっきり甘やかして、私の虜にしたいのですが。


 ですが、あのクソ女……アグニが一番最初に戻っていたとは。


 アルム様の元へ向かう途中にアグニの存在を感知できて幸いでした。


 こうして王都へ寄り道することができましたの。


 このまま手ぶらで戻ったところで、アルム様の気を引くことはできません。


 せめて、何かしら大活躍して成果を持ち帰らねば。


 そうすれば、きっとアルム様も『サラス大好き! 一緒に二人っきりで過ごそう!』とおっしゃってくれるはず!


 でもでも? アルム様の気を引こうとしているだけなのに、昔からアルム様から『気分屋』と思われているのは非常に心外なのですが?


 いえ……ある種、ミステリアスな女と捉えられるかもしれませんね。


 ふふっ……アルム様、もう少しの辛抱です。

 このサラス、必ずやアグニよりも優秀であることを証明しますわ!


明日(30日)の11時に投げます


【とても大事なお願い】


 総合ランキング入りを目指しています‼︎


 最初の読者様一人の力は凄く大きいです!


「面白い!」

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 そう思って頂けるよう頑張っています!

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 それほど読者様一人の10ポイントはめちゃくちゃデカいです……!


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― 新着の感想 ―
[気になる点] 「ユーステス侯爵も水神の姿を遠くでしか確認することができず、誰も顔をはっきりとは見れていない。」 それなら白金貨は誰から貰ったのでしょう? 誰かがサラスに依頼したのなら、一体どうやっ…
[一言] アグニもサラスもほじくり倒してやりてぇなぁ〜
[一言] 本質的にはどっちも甘やかしお姉さん体質か 属性もあり相性が悪いとは言えるね
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