再戦要求!
「トーラス・ロンベスター、俺と勝負しろ!」
教室へ入るなりアレックスの声が教室中に響きわたった。
「昨日は油断したが次はそうはいかない。次やれば俺が勝つんだ。だから今すぐ勝負だ」
僕はアレックスの言葉に少しイラッときた。
「あの勝負が本当の試合だったとして君は油断したからやり直してくれと言うのかい?」
僕の言葉にアレックスは動揺を見せた。
「もちろん。真剣勝負の時は俺もそんなまねはしないさ。だがあの時はデモンストレーションだろ。実はお前の事を思って手を抜いていたんだよ。本気を出せばお前なんか瞬殺だからな」
アレックスの言葉に僕は失望していた。
「そうなんですね。ならもう一回勝負しようか。今度こそ真剣勝負だ。手を抜かずに本気でやってほしい」
勝負を挑んでくるのはいいが、手を抜いていたと言い訳をするのはいただけない。ここで彼の小さなプライドを粉々にしとくのも彼のためかもしれない。
「もちろんさ。次やれば俺が確実に勝つからな。それでいつやる?」
「そうだね。次の武術の授業の初めに試合を出来ないか先生に聞いてみるよ。いけそうなら連絡するよ。だめならまた考えよう。それでいいかな?」
「それで大丈夫だ。決まったら連絡してくれ」
その後、午前の授業が終わり、昼休みになったので教員室に向かった。
『失礼します』と言い、教員室に入りガイウス先生の元に向かった
「ガイウス先生、お昼ご飯中失礼いたします。一学年Aクラスのトーラスです。お話があり参りました。お時間よろしいでしょうか?」
僕の言葉にガイウス先生は食事を止めた。
「大丈夫だぞ。どうした? 何かあったのか?」
「実は次の授業の時に僕とアレックスとで試合をさせていただきたいんです」
僕の言葉に先生は何か納得したように頷いた。
「なるほどな。アレックスがあの模擬試合に納得がいかなくてトーラスに再戦をしろと言ってきたってことで合ってるか?」
さすが大人の先生は僕の言いたいことをすぐ察してくれた。
「はい、その通りです。アレックスが本気でやれば自分が勝つと言ってきましたので一度、その甘い考えをボキッと折って上げた方が彼のためかと思いまして、どうでしょうか先生? やらせていただけますか?」
先生は僕の言葉に笑っていた。
「あぁ、いいよ。次の授業の最初に再戦を行う。ルールは模擬試合と一緒で行う。それでいいか?」
「かまいません。それでお願いします。お手数かけてすみません」
「気にするな。アレックスには良い経験になるだろう。相手の力量を見極めるのも軍人になるものにとっては不可欠だからな。今回で学ぶだろう」
先生は僕の思惑をしっかり理解してくれていた。
「トーラスは前の模擬試合の時も思ったが、相当腕が立ちそうだな。誰か師匠でもいるのか? 俺の目に狂いがなければ君の剣術の構えに見覚えがあるんだが」
先生の問いに僕の師匠がばれていると思ったのでどういう風に説明するか考える個とにした。
「はい。師匠はいますよ。先生の心当たりがある方のお名前を聞いてもよろしいですか?」
「ウィルフリート・ルッテンベルクなんだが」
やはりドンピシャだった。さてどうしようか?王宮で出会い習ったとは言えないし。そう考えていると妙案が思い付いた。
「はい。その通りです。実は僕の実家のロンベスター子爵領に軍の仕事で来ていたウィルフリートさんに武術を習う機会がありましてその時、みっちり稽古をつけていただいたんです。ウィルフリートさんが帰られてからも先生の指導を思い出しながら稽古していたので似たのかもしれませんね。それにしてもよくわかりましたね?」
実はウィル先生から昔、ロンベスター子爵領に武術指南で訪れた事を聞いていたのでうまく話を作ることが出来た。
「実はウィルフリートとは同級生だったんだ。小さい頃からよく勝負したんだが、一度も勝てなくてな。彼の事はいろいろ研究したからね。まぁ結局、卒業まで一度も勝てなかったけどね」
まさかガイウス先生がウィル先生の同級生だったとは驚きだ。ウィル先生の学園での無敵伝説は聞いていたけど、やはりすごいなぁと改めて思った。
その後、先生とウィル先生の話で盛り上がった後に教員室を後にした。
クラスに戻りアレックスに了承を得たことを報告した。
「3日後を楽しみにしておけ。ちゃんと鍛練しておけよ、俺がお前を瞬殺しても場が白けるからな。少しは粘れよ」
やはりアレックスには挫折が必要だなと改めて思った。
そして時は流れて再戦の時がやってきた。その間も毎日アレックスが構ってきて少しわずらわしかった。




