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Sランクモンスターの《ベヒーモス》だけど、猫と間違われてエルフ娘の騎士(ペット)として暮らしてます  作者: 銀翼のぞみ
第三章

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96話 テンペストブリンガー

「かしこまりました。お供させていただきます、殿下!」

「すまないな、またお前たちの力を借りることになる」


 帝都を発って数日後――


 騎士団の兵舎で、ダニーがジュリウス皇子に応える。

 四魔族の元へ辿り着くまでに、なるべく消耗を抑えたい。

 そんな狙いから、騎士たちの力を借りることにしたのだ。


 隊長であるセドリックは他の四魔族の討伐に赴いているため、今回は副隊長であるダニーとハワード、ケニー、マリエッタと……お馴染みのメンバーが同行することになった。


「私たちは何かと縁があるね、アリア」

「そうですね、ケニーさん。またよろしくお願いしますっ」


 魔族ベリルの件に続いて、グラッドストーンでの戦い、そして今回の四魔族討伐任務……大きな戦いの場面には必ずダニーたちを始めとした騎士たちの存在がある。これも何かの運命なのかもしれない。


「それにしてもである、ジュリウス殿下とヴァルカン嬢が一緒にいるということは……」

「もしかして、ヴァルカンさんの身分をアリアちゃんに明かしたのですぅ?」

「ハワードさん、マリエッタちゃん、その通りにゃん。アリアちゃんたちには私がアーティファクトスミスであることを明かしたにゃん」


 ハワードとマリエッタの言葉に苦笑しながら応えるヴァルカン。

 やはり騎士隊の皆はヴァルカンの本来の職業を知っていたようだ。

 恐らく魔神の黄昏で共闘する機会もあったのだろう。


「よし、それじゃあさっそく行くとしよう。なるべく早く四魔族の元に辿り着きたいからな」

「了解です、殿下」


 ジュリウス皇子の指示に、ダニーを始めとした皆が頷くと、一行は迷宮へと向かう。



「グギャッ!」

「ギギッ……!」


 迷宮に入り少し――

 一行の前に数体の異形が現れた。緑の肌に人間の子供程度の身長、醜い顔に頭に小さなツノの生えた下級モンスター、ゴブリンだ。


「新しい武器の実戦練習にはちょうどいいですね。ここはわたしが引き受けてもいいでしょうか?」

「そうだな……よし、まずはアリアからいくとしよう」

「むむっ! ジュリウス殿下! 我も新しい武器を試してみたいのだ! です!」

「我慢しろ、ステラ。それにお前のアーティファクトはパワーのある敵を相手に真価を発揮するのはわかっているだろう」

「むぅ……わかったのだ、です」


 アリアが戦うと聞いて、自分もと言うステラをジュリウス皇子が嗜める。

 彼の言う通り、ステラの新たな武具は強力な敵を相手にした時にこそ、その性能が輝く類のものだ。詳しくは……まぁ、実戦の時に説明することとしよう。


「私も早くアーティファクトの力を使いたいわ!」

「リリ。ジュリウス皇子様の指示があるまでは我慢です〜!」


 リリも早く実戦でアーティファクトの性能を試したいと言うが、こちらもフェリが嗜めるのだった。


「それではいきます!」

「にゃんっ(気をつけるのだぞ、ご主人)!」


 タマの声に微笑むことで応えながら、奥の方から近づいてくる二体のゴブリンに向かって、アリアが軽やかなステップで飛び出した。


「いきますよ、〝テンペストブリンガー〟!」


 両太もものベルトに装備した二本の装飾ナイフ型のアーティファクト、〝テンペストブリンガー〟の名を叫びながら両手に抜く。


 アリアの叫びに応えるように、テンペストブリンガーは白銀の刃から閃光を放つ。

 次の瞬間、ゴブリンに向かって振り抜くアリアの腕が、ビュオッ! という音ともに急加速した。


 その速さは常人の出せる域を超えている。しかし、アリアはまだ固有スキルである《アクセラレーション》を発動していない。


 では何故、アリアの放つ攻撃が急加速したのか?

 理由はもちろん彼女の新たな武器、アーティファクトであるテンペストブリンガーの性能のおかげである。


 テンペストブリンガーを振り抜く刹那、アリアはその性能を発動した。振り抜くのとは逆方向に強力な〝風〟を発生させたのだ。

 風の恩恵を受け、アリアの放った攻撃が急加速したわけである。


 テンペストブリンガーは、今までアリアが使っていたナイフと同様に、素材に玉鋼とオリハルコンが使われている。そしてそれに加え、鉄の代わりにマナダイトを合金したのだ。


 通常、マナダイトはマナを蓄積することはできても、せいぜいコンロ程度の火を起こしたり、緩やかな風を発生させるなど、家庭用品として使うことくらいしか用途のない鉱石だ。


 しかし、アーティファクトスミスであるヴァルカンの手にかかれば、マナダイトの出力を調整し、強力な武器の素材として加工することが可能なのだ。


 スキルを発動してもいないというのに、それに匹敵するような攻撃を繰り出したアリア。

 そんな攻撃をゴブリン程度が躱せるわけもない。アリアの攻撃に反応することも許されず、テンペストブリンガーによって首を撥ね飛ばされる。


「グギャァァァァッ!」


 仲間をやられて、怒り叫びながらもう一体のゴブリンがアリアに向かって短剣を突き出した。

 対するアリアは、テンペストブリンガーを地面に向けて、再びその性能を発動させる。


『グギャッ!?』


 ゴブリンが驚愕の声を上げる。当然だ、何せ今まで目の前のいたアリアの姿が突然掻き消えたのだから。


 そして次の瞬間――――ドスッ! という音とともにゴブリンの脳天に白銀の刃が突き刺さった。


 テンペストブリンガーが風を起こす方向は自由自在だ。アリアは地面に向けてテンペストブリンガーで風を放ち、上へと超高速で浮き上がり、そのまま頭上から急降下。落下の速度を活かしゴブリンの頭を貫いたのだ。


(ふむ、迷宮都市までの道中で何度かアーティファクトの性能を試しただけで、ここまで使いこなすとは……さすがご主人だ!)


 数回しか使ったことのないテンペストブリンガーの性能を十分に活かした戦い方をするアリアに、タマは心の中で称賛の言葉を送る。


《アクセラレーション》による超高速の戦闘を得意とするアリア。テンペストブリンガーを使いこなすことでさらに高速、そして変則的な動きを手にいれることに成功した。


 派生スキルを習得するには至らなかったとはいえ、ここまでの動きをできるのは、修業の賜物と言えるであろう。


「すげーな、アリアちゃん!」

「であるな、前に共闘した時よりも格段に腕を上げているのである!」


 ダニーとハワードを始めとした騎士たちも、アリアの動きを絶賛するのだった。


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