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Sランクモンスターの《ベヒーモス》だけど、猫と間違われてエルフ娘の騎士(ペット)として暮らしてます  作者: 銀翼のぞみ
第三章

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84話 みんなで連携

「あれは……まずいですね。ミノタウロスが群れを形成しています」

「んにゃ、それにあの装備……変異種も混ざっているにゃん」


 さらに進むこと少し――


 アリアとヴァルカンが岩陰からそんなやりとりを交わす。

 その先には、彼女たちの言う通り八体のミノタウロスが群れていた。


 四体は通常の戦斧を装備したミノタウロスだが……残りは弓を装備した個体が二体、それに杖を装備した個体が二体だ。

 ミノタウロスの変異種である〝ミノタウロス・アーチャー〟に〝ミノタウロス・メイジ〟である。


「タマちゃんが本気を出せばそれで片は付くにゃ、でも……」

「はい、いつまでもタマに頼っているわけにはいきません。ここはわたしたちで突破しましょう!」


 Aランクモンスターであるトロールですら圧倒するタマの力を使えば、ここを突破することも簡単だ。

 だが、それではアリアは成長することはできない。

 なので、ヴァルカンの言葉にアリアは大きく頷くと、タマの力はなしでこの場を切り抜けようと提案する。


「今度は油断しないわ!」

「さっきの失敗を返上してみせます〜!」


 ヴァルカンとアリアのやり取りに、リリとフェリも鼻をフンスフンスと鳴らして、やる気を見せる。

 先ほどの油断がよほど悔しかったようだ。


「我はやるべきことをやるのみなのだ」


 余裕の笑みを浮かべながら、ステラはグレートソードで肩をトントンと叩きながら、守りは任せておけと遠回しに伝える。

 そんなステラに、アリアは小さく笑いながら「ありがとうございます、ステラちゃん」と応える。


「そういうわけにゃ、タマちゃんは手出し無用でお願いするにゃ」

「にゃん(了解だ、ヴァルカン嬢)!」


 彼女たちがここまでやる気を見せたのだ。

 ならば自分が前に出るのは無粋だろうと、タマはヴァルカンの言葉に可愛らしい声で鳴いて頷く。


(とはいえ、もしもの時はサポートするがな……)


 と、心の中で呟く。


 アリアの騎士、そしてパーティの守り手として、仲間にもしものことがあってはいけない。

 いざとなれば、タマは全力で守りに入るし、それでも足りなければ躊躇なく進化も使うつもりだ。


「では、まずはリリちゃんが《フェアリーバレット》で奇襲をかけてください。その隙にフェリちゃんが《ブランチュウィップ》で撹乱を、できそうであれば後衛を一体でも多く潰してもらえると助かります」

「了解よ、アリア!」

「お任せください〜!」


 アリアの指示に、リリもフェリも元気よく応える。

 うまくいけば、タマの《獅子王ノ加護》の効果も継続中であるし、敵の後衛を何体か潰すことも可能だろう。


「ステラちゃんはタンクとしての役割に比重を置いてください。ヴァルカンさんはステラちゃんが押さえられなかった敵の前衛の相手を。わたしは敵の隙を突いて奇襲をかけ、もしそれでも足りなければ《セイクリッド・ブレイド》を使います」

「ふんっ、アリアに使われるのは癪だが、従ってやるのだ!」

「んにゃ!? ステラちゃんが大人しくいうことを聞いたにゃん! まぁ、それよりも作戦は了解にゃん!」


 不満そうにステラは応えるが、前と違って本当に嫌がっているわけではないことは、表情を見れば一目瞭然だ。


 そして、アリアの言うことに従うステラの姿を見て、ヴァルカンは驚きつつも、いい作戦だと満足そうに頷く。

 やはり自分が戦いの術を教え、それを習得し、さらに応用しているアリアの成長が嬉しいのだ。


「じゃあいくわよ、《フェアリーバレット》!」


 リリが敵の一体、ミノタウロス・メイジに向かって《フェアリーバレット》を放つ。

 見事に敵の土手っ腹に着弾し、ミノタウロス・メイジが『ブモォォォッ――!?』と叫び声を上げる。


 突如腹から血を流し、絶叫する仲間の姿を見て、他のミノタウロスどもが狼狽える。


 その隙に――


「《ブランチュウィップ》〜〜っ!」


 フェリが足元から《ブランチュウィップ》を二本伸ばし、さらに敵の後衛――ミノタウロス・メイジの二体に、強力な打撃を与える。


『ブモッ!』


 さすがに攻撃を受けていることに気づいたのか、ミノタウロスの一体がアリアたちのいる岩陰を指差して声を荒げる。

 そしてそれぞれ戦斧を構え、猛スピードで向かってくる。


「させるかなのだ!」


 ステラがメガシールドを構えて躍り出る。

 そしてそのまま、先頭の二体に強烈なチャージアタックをぶつける。


 とんでもない膂力を誇るミノタウロスであっても、ドラゴニュート化したステラの前では無力も同然。

 そのまま大きく後方へと吹き飛ばされる。


「ヴァルカン、今なのだ!」

「……! 了解にゃん♪」


 ヴァルカンは一瞬驚いた様子を見せると、すぐにステラに応えてバトルハンマーを手に飛び出した。


 今までのステラであれば、そのまま吹き飛ばした敵を追って叩き潰していただろう。

 しかし、今は追撃せずに他の一体を盾で押さえ、残りの一体をヴァルカンに任せた。


 グラッドストーンで、まさかここまでステラが成長していたとは……想像以上のタンクぶりに、ヴァルカンはさらに驚いたのだ。


「ナイスです、ステラちゃん! 《アクセラレーション》――!」


 ステラとヴァルカンが前衛を抑え、道を作ってくれた。

 アリアは、今だ! と判断し、お得意のスキル《アクセラレーション》で弾丸のように加速する。

 狙いは、今まさに矢を番えようとしている、ミノタウロス・アーチャーだ。


『ブモッ!?』


 あまりのアリアのスピード――

それに驚愕し、ミノタウロス・アーチャーの動きが一瞬止まる。


その隙を見逃すアリアではない。

そのまま速度を緩めず跳躍し、すれ違い様に敵の首に斬撃を叩き込む。


ミノタウロス・アーチャーの首、それがあらぬ方向へと飛んでいく。

アリアの速度、タマの《獅子王ノ加護》、そしてヴァルカンによって鍛えられたオリハルコンと玉鋼合金のナイフをもってすれば、ミノタウロスの筋肉の鎧も切り裂くことは容易だ。


アリアは止まらない。

着地すると、スピードを殺すことなく、ステラのチャージアタックに吹き飛ばされ、起き上がろうとしている二体へと迫る。


両手にナイフを持ち、二体の間に飛び込んだ。

左の個体の心臓部に、そして右の個体には目玉にナイフを突き刺す。


両方とも心臓、それと脳にナイフが達したようだ。

二体ともガクガクと痙攣すると、その場に大きな音を立てて崩れ落ちる。


 アリアもまた、グラッドストーンでの森林型迷宮の攻略。そして、レイスの操る大量のアンデッドたちとの市街地戦で経験を積み、驚くほどのスピードで成長していたのだ。


「リリ、一体弾き飛ばすから任せるのだ!」

「了解よ、ステラ!」


 ステラがミノタウロスのうちの一体を、メガシールドを器用に捌いて横に弾き飛ばす。


「《フェアリーバレット》っ!」


 その瞬間に、リリが《フェアリーバレット》で敵の左胸を貫いた。

 そして残った一体の頭に、ステラがグレートソードを叩き込み、こちらも片が付く。


「ヴァルカンさん、助太刀します〜!」

「フェリちゃん、ありがとにゃん!」


 後方の二体を滅多打ちにして、行動不能まで追い込んだところで、フェリが《ブランチュウィップ》を操作し、ヴァルカンと交戦していたミノタウロスの動きを封じる。

 ヴァルカンはバトルハンマーを振るい、その頭を――ドパンッッ! と叩き潰す。


「トドメです!」


 フェリが行動不能まで追い詰めた後衛二体の喉元を、アリアがナイフで切り裂くことでトドメを刺す。

 敵の死を確認するまで、気を抜いてはいけないのだ。


(ふむ、素晴らしい連携だ! これであれば、並の騎士隊と比べても見劣りしないだろう)


 なかなかの戦闘結果に、タマは満足そうに頷くのであった。

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― 新着の感想 ―
[一言] 連係プレーはとても大事…。
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