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Sランクモンスターの《ベヒーモス》だけど、猫と間違われてエルフ娘の騎士(ペット)として暮らしてます  作者: 銀翼のぞみ
第二章

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57話 猫乳はさみ

「はぁ……」

「つ、疲れたニャン……」


 迷宮の入り口付近で、アリアとヴァルカンが深いため息を吐く。二人とも肩を落とし、疲労困ぱいといった様子だ。

 無理もない。あの後もステラの暴走は続き、アリアとヴァルカンは注意を促したが、それが改善されることはなかった。


 アリアもヴァルカンも、ステラが連携を乱したせいでローパーの触手に捕まりそうになったり、ローパーの体から滴り落ちる粘液塗れにされたりと悲惨な目に遭った。

 その他にも、複数のオークに囲まれそうになり、窮地に陥る寸前にまで追い込まれるような場面もあった。

 それらは全て、タマが機転を利かせて《触手召喚》や《属性咆哮》を駆使することで、突破することに成功したが……。


 もう少し危険な階層に進めば、それも間に合わない危険性もあった。それらを考慮し、今日のところは引き返してきたわけである。

 せっかく手に入れた素材も、無理な戦闘と疲労で、ほとんど捨ててこなければならなかった。今日の儲けはほとんどなしだ。


「むぅ……我はまだ暴れ足りないのだ……」


 疲れを露わにするアリアたちに対し、好き放題動き回っていたステラに疲労の色は見えない。それどころかまだ戦いたいと、不満げな表情を浮かべる。


「ふぅ、やっと外に出れましたっ。タマ、こっちにおいで?」

「にゃんっ!」


 迷宮を出て陽の光を浴びたところで、アリアがタマに向かって腕を広げる。いつもどおり、抱っこして帰るつもりだ。

 タマは元気よく鳴くと、アリアの豊かな双丘に向かってピョンっとジャンプする。彼女の胸を痛めないように、注意を払っての跳躍だ。


「はぁんっ! やっぱりタマを抱っこすると癒されます! 今日はたくさん守ってくれてありがとうございます、タマ♡」

「にゃっ!?」


 タマが胸に飛び込んでくると、アリアは相好をにへらっと崩す。そのままタマに今日の礼を告げると彼の額に、ちゅっ――と、軽い口づけをする。

 突然のスキンシップに、タマは少々驚いた声を上げるも、お返しとばかりにアリアの頬に自分の頭をスリスリと擦りつける。


「ふふっ、タマってば、くすぐったいですっ」

「ニャ〜、アリアちゃんが羨ましいニャン!」


 くすぐったいと言いながらも、自分も頬をタマにスリスリするアリアの様子を見て、ヴァルカンは「いいないいなっ」といった様子で声を上げる。


 そんなやり取りの中……。


 ――おい、タマ。我にもお前を抱っこさせてほしいのだ!


 そんな声が、タマの頭の中に直接響き渡る。言わずもがなステラの念話によるものだ。


 ――断る。我が輩が抱擁を許すのは、ご主人が認めた相手だけだ。どうしても言うのなら、ご主人に許しを得るのだな。


 冷たく念話を返すタマ。彼の言ったとおり、タマはアリアの命令以外で誰かに抱っこされたことはない。

 それに、今日はステラに散々な目に遭わされた。反省してもらう意味も込めて、少々ステラに冷たく対応したのだ。


「おい、アリア。我にタマを抱っこさせるのだ」

「……? お断りです、ステラちゃん。タマはわたしの騎士様です。そう簡単にタマの貞操を狙う相手に渡しはしませんっ」

「なぁ……ッ!?」


 ステラのアリアへの呼び方は〝そなた〟だった。それが呼び捨てに変わっていることを、アリアは不思議に思うも、そんな言葉でステラの要望を拒否する。

 それを聞き、ステラはショックを露わにする。アリアは優しい心の持ち主だと認識していたステラは、まさかタマを抱っこすることすら断られると思ってなかったのだ。


 たしかに、アリアは心優しい少女だ。普段であれば、他の者もタマを抱っこすることを許す。

 しかし、彼女の言ったとおり、ステラはタマの貞操を狙う者……。つまり、女としては

敵なのだ。

 ステラは大人の色気漂うハイレベルな美女だ。愛するタマがその色香に誘惑されてはたまったものではないというわけである。


「タマは……強き者は、お前のような弱い女に相応しくないのだ!」

「なッ……!? 何を言い出すんですか、ステラちゃん!?」


 呼び捨てどころか今度はお前呼ばわり。そのうえ、タマに相応しい女ではないと口にするステラに、アリアは驚愕する。

 ここまでアリアのことをコケにするとは……いったいステラの中でどんな心境の変化があったのだろうか。


「今日の戦いを見て分かったのだ! お前は我が思っていたよりも弱い。オークごときに後れをとるような女に、タマが仕えるべきじゃないのだ!」


(あぁ、そういうことニャン……?)


 ステラの言い分に、ヴァルカンは心中で憶測を立てる。つまり、ステラがアリアに従っていたのは彼女がタマほどの強者を赤子のように扱っていたから。

 それ即ち、アリアがタマ以上の強者だと思ったがゆえのことだ。だからこそ、初めて会った時、ステラはアリアに怯えた様子を見せていたのだと――


「タマよ、我の胸の中に来るのだ! そして、我との間に強い子をもうけるのだ!!」


 そう言って、ステラはアリアの胸の中に収まるタマの前まで来ると……むにゅんっ!!

 アリアほどではないが十分に豊満と言える柔らかなバストをタマに向かって押しつけた。


「にゃあ(ひぃっ)!?」


 アリアとステラ、二人の豊満なバストに挟まれ、タマが戦慄の声を上げる。突然の出来事に彼は自分の幼い本能に従い、アリアのバストに顔を埋める。


「ふふんっ♪ 分かりましたか、ステラちゃん? タマはわたしのおっぱいが好きなんです。色仕掛けをしても無駄ですよ?」

「ぐぬぬぬ……! タマよ、そんなにアリアがいいのか!? こうなったら意地でも我に振り向かせてみせるのだ!」


 たしかに、アリアはステラの言うとおり、まだまだ戦闘面おいて未熟な部分が多々ある。だが、そんなことは関係ない。

 アリアはタマのことを、これでもかというくらいに愛し、タマもまた、アリアに絶対の忠誠を誓っている。


 挑発するような視線で小さく笑うアリア。悔しげに顔を歪ませながらアリアを睨むステラ。二人の視線の間で、バチバチと火花がぶつかり合う。


 そんな二人の柔らかバストの間で、タマはむにゅむにゅと押しつぶされながら、自分はこの先どうされてしまうのかと、恐れおののくのだった。

「ヤングアニマル嵐」にて漫画版の連載が開始しました!

ぜひ一度ご覧ください!

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