↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Sランクモンスターの《ベヒーモス》だけど、猫と間違われてエルフ娘の騎士(ペット)として暮らしてます  作者: 銀翼のぞみ
第四章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

122/217

121話 魔王のもとへ

 翌早朝――


「シエル様、どうかご無事で……」


 屋敷の門の前で、悲痛な面持ちでシエルを見つめるメイドのマリ。


 そんな彼女に――


「大丈夫ですよ、マリ。魔神の黄昏の時のように、必ず帰ってきますから」


 ――優しい笑みを浮かべながら、応えるシエル。


 王都ウルハ――ここから数十キロほど離れたところに、七大魔王が一柱、ベルフェゴールがいる迷宮が存在する。


 マリに別れを告げると、一行は迷宮を目指す。


 ◆


 二時間後――


「ここがその迷宮ですか……」


「情報通り、遺跡型の迷宮みたいにゃん」


 アリアとヴァルカンが、目の前の広大な建物を見上げながら言葉を漏らす。


 ノールとフレイアが引く馬車に乗って、迷宮の前へとやってきたアリアたち。


 ヴァルカンの言う通り、今回の迷宮は遺跡――それも神殿のような見た目をしたものだった。


「ここの迷宮は低層であっても、それなりのモンスターが出現します。多いのは〝リビングアーマー〟などのBランクモンスターです」


 迷宮を見上げる皆に、シエルがそんな説明をする。


 そんなシエルの言葉を聞きながら、タマはアリアの胸から地面へと降りると――


(魔王が潜む迷宮……ならば出し惜しみはなしだ! 《獅子王ノ加護》、発動……ッ!)


 ――と、可愛らしい声で鳴いて、固有スキルを発動する。


 黄金色の輝きに包まれる一行。


「これは……すごいですね、あらゆるステータスが向上していきます」


「それだけじゃないの! 毒や麻痺、睡眠……色んなバッドステータスの抗体ができていくの!」


 驚き、そして興奮の声を上げるシエルとマイ。


 そんな二人に、タマは「ドヤっ!」とした表情を浮かべる。


「まさか、こんなに小さなエレメンタルキャットが、ここまでのスキルを持っているなんて……」


「さすがは聖獣と呼ばれることはあるの!」


 アリアの説明により、タマのスキルだと理解したシエルとマイ。


 興奮する二人に、タマの飼い主であるアリアも「ふふっ」と、少しだけ得意げな表情をする。


「それじゃあ、入るとしよう。みんな、心の準備はいいかい?」


 セドリックがいつもの爽やかな笑みを浮かべて、皆に問いかける。


 アリアとタマ、リリとフェリは緊張した面持ちで。

 ヴァルカンとステラは少し好戦的な笑みを浮かべて。

 シエルとマイは涼しげな表情で、それぞれ頷いてみせる。


 ◆


 迷宮の中――


 それは、窓はないというのに、仄かな光に満たされた不思議な空間だった。


 元々は教会か何かだった建物が迷宮化したのだろうか?

 ひび割れた天使の像や、塗り潰された絵画などが辺りに散乱している。


「この迷宮には何度か来ています。皆、私の後についてきてください」


 そう言って、先頭を歩き始めるシエル。


 その後に前衛としてステラとヴァルカン、中衛としてアリアとタマ、後衛としてリリとフェリ、そして殿(しんがり)としてセドリックとマイの順番でついていく。


 歩き出して少し経った頃――


 奥の方から金属がぶつかり合うような音が聞こえてくる。


「出ました、リビングアーマーです。皆、戦闘態勢を――」


 敵の正体にいち早く気づいたシエルが、皆に呼びかける。


 彼女の言う通り、現れたのは意思を持つ鎧、リビングアーマーだ。

 数は十体、アリアたちを取り囲もうと、散開しながら迫ってくる。


「シエル様、ここは任せてください! タマ、お願いします!」


「にゃん(了解だ、ご主人)!」


 アリアの声に応えて、タマが皆の前へと躍り出る。


 戦闘態勢に入ろうと腕を前に伸ばしたシエルだが、アリアとタマの自信溢れる表情を見て、この場を任せることにする。


 敵が広範囲に広がるならこれだ――!


 敵の陣形を把握したタマは、固有スキルを発動する。


「にゃあ(《ウォーターハウリング》)ッッ!」


 可愛らしい声で鳴くと、タマの口から水属性の咆哮が放たれた。

 高圧縮された水の咆哮は、右端のリビングアーマーの土手っ腹を貫いた。


 それだけでは終わらない、タマはそのまま一気に首を左へと振り抜く。

 迫ってきたリビングアーマーたちの群れは、水の咆哮によって腹から真っ二つに切り裂かれるのだった。


「な、なんというスキルでしょう、使い回しがいいのに、とんでもない威力です」


「それなのにタマちゃんのマナはあまり減ってないの!」


 またもや驚きと興奮の声を上げるシエルとマイ。


 と、ここで……アリアがとある疑問を抱く。


「マイ様、少しよろしいでしょうか?」


「どうしたの? アリアお姉ちゃん?」


「今、タマのマナが減ってないと言ってましたが……まさか、マイ様は他者のマナの保有量を見ることができるのですか?」


 他者の持つマナの保有量を把握する……そんな技術を持つ者はそういない。


 しかし、マイは今確かにタマの持つマナの量に関して言及していた。

 アリアの質問に対して、マイは(しまった!)みたいな顔をして、慌てて口を手で塞ぐ。


「ふむ、どうやら今の質問は、未来の世界に関わるような項目らしいね」


 マイの様子を見て、フォローするようにセドリックが言葉を紡ぎ、アリアに視線を送る。


 どうやら、聞いてはまずかったことのようだと理解したアリアは、それ以上質問することをやめる。


(おじさま、ありがとうなの! 助かったの!)


 小声で、セドリックに礼を言うマイ。


 そんなマイに苦笑しながら、セドリックは思い出す。


(そういえば……弟くんは、マナに関するトンデモナイ研究を進めてたっけ……)


 と――

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。