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Sランクモンスターの《ベヒーモス》だけど、猫と間違われてエルフ娘の騎士(ペット)として暮らしてます  作者: 銀翼のぞみ
第四章

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120話 王都ウルと新たなステータス

 夕刻――


「着きました。ここが王都――〝ウル〟です」


 馬車から降りてきた皆に、シエルが言う。


 アリアたちの目の前には、花の咲き乱れる都市が広がっていた。

 迷宮都市のように外壁には囲まれておらず、開放的な都市であった。


「なんて綺麗な都市でしょう……」


「にゃあ〜、石造りの建物と、綺麗な花々が調和しているにゃん」


 目を見開き、美しい都市の姿に見惚れるアリアとヴァルカン。


 青を中心とした花々に囲まれる建物や広場、そして都市の奥の方には王城と思しき白塗り建物が……。

 それらがオレンジ色の夕陽に染まり、幻想的な雰囲気を醸し出しているのだ。


(ウルスクラ王国の王都、ウル……。美しい都市だと噂には聞いていたが、まさかここまでとは……)


 アリアの胸の中で、タマですらそんな感想を抱くのであった。


「さっそくですが、私の屋敷に案内します。今日は皆に私の屋敷で泊まっていただきます」


 シエルはそう言いながら、アークボールの中に、ノールとフレイア、それに馬車を収納すると歩き出す。


 都市の中を馬車で移動すれば早いのだが、アリアたちがあまりに都市の姿に見惚れているので、ゆっくり歩いて堪能させてくれるつもりのようだ。


「シエル様、このお花はなんていう名前なの?」


 歩きながら、道の隅に咲き連なる花を指差しながら、マイが問いかける。


「その花は〝ルス〟といいます。今はただの綺麗な花ですが、日が暮れて夜になると、薄らと光を放ちます」


「ふぁ〜! そんな花聞いたことがないの! 夜が楽しみなの!」


 昼間は大魔導士の娘として凄まじい力を披露したマイ。

 しかし、美しい花を前にすれば、ただの愛らしい美少女だ。


 そんなこんなで、美しい都市の中を堪能しつつ、シエルの屋敷へと辿り着くアリアたち。


 シエルの屋敷、それは三階建ての趣のあるものだった。

 しかし、アリアたちの目を引いたのは建物ではなく、その庭だった。


 庭の面積は広大で、ここでもルスの花が咲き乱れており、さらに人工的に作られたであろう十メートルほどの湖まで擁している。


「キング、ノール、フレイア、長旅ご苦労様でした」


 そう言って、アークボールを放るシエル。

 蒼の光が展開し、湖の中にキング、そして屋敷の前にノールとフレイアが現れた。


 キング……もしくはアークボールに特殊な機能が備わっているのだろうか?

 三十メートルはあったキングの姿が、今は五メートルほどに縮んでいる。


 それはさておき。


 シエルが屋敷の扉の方へと歩いていくと、その扉が開く。


「お帰りなさいませ、シエル様」


 屋敷の中から、そんな声とともに一人のメイド服を着た少女が現れた。


「ただいま戻りました、〝マリ〟」


 小さく頷いて応えるシエル。

 そのまま皆に向かって、彼女の紹介を始める。


「私の世話をしてくれている、メイドのマリです。滞在中、何か入り用があれば彼女に言ってください」


 シエルの言葉とともに、頭を下げるメイドの少女マリ。

 さすがは勇者。屋敷が立派であれば、メイドも雇っているらしい。


 マリの案内で、客間に通されるアリアたち。

 部屋は二人用になっていたので、それぞれ部屋割りされることとなる。


 マイはセドリックと一緒の部屋がいいと言い、彼と一緒の部屋になる。

 女嫌いのセドリックが大丈夫だろうか……? と、アリアたちは心配そうな表情で彼を見るが――


「そうだね。時代は違えど、家族みたいな者だし、一緒に寝るとしよう」


 ――などと、セドリックはそれを受け入れた


(あれ? セドリック様……)


(もしかして父性に目覚めたにゃん……?)


 嘘みたいな変化を迎えたセドリックに、アリアとヴァルカンはそんな感想を抱くのだった。


 その後は女同士で屋敷の大きな風呂場で背中を洗い合い、食堂でマリの作った豪華な食事を食べると、明日の戦いに向けてアリアたちは眠りにつくのであった。


 ◆


(ふむ、眠れぬ……)


 深夜――


 一人窓辺で外を見つめるタマ。


 明日の戦いを思うと血が滾って、なかなか寝付けないのだ。


(ヴァサーゴとの決戦、そしてその後の修行を経て、我が輩は新たな力に目覚めた。しかし、魔王相手にそれがどこまで通じるものか……)


 そんなことを思いながら、ステータスを開くタマ。


 彼の今のステータスは以下の通りだ。


==============================

名前:タマ


種族:ベヒーモス(幼体)


固有スキル:《属性咆哮》《スキル喰奪》《属性剣尾》《獅子王ノ加護》《属性弾》《属性操作砲》


喰奪スキル:《収納》《ポイズンファング》《飛翔》《ファイアーボール》《アイシクルランス》《アイアンボディ》《触手召喚》《粘液無限射出》《異種交配》《ドラゴンファング》《ドラゴンクロー》


進化可能:▷ベヒーモス第二形態

     ▷ベヒーモス第三形態

==============================


 新たに固有スキルの欄に《属性操作砲》、そして進化の欄に、ヴァサーゴとの決戦で使ったベヒーモス第三形態の文字が刻まれている。


 固有スキル《属性操作砲》はヴァサーゴとの決戦の後に、そしてその後、夜中に迷宮で経験値を稼ぐことで、ベヒーモス第三形態を再び使えるようになったのだ。


(いざとなれば、正体がバレることも覚悟の上で、最大火力を誇る第二形態も使うことを覚悟せねばな……)


 窓から眼下に咲き乱れ、青の輝きを薄らと放つルスの花を見つめながら、タマは一人決意を固める――

コミック④巻が3/27に発売します!


ぜひよろしくお願いいたします!

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