8話 蜘蛛戦リベンジ
感想・評価、よろしくお願いします!!
いろいろと戦闘描写書いてるんですけどねー
まだまだ、苦手です。
お手柔らかにお願いします。
再び舞い戻って来た《酒場》。
時刻は既に午後六時となり、薄暗い店内に夕日の赤い光がさしこんでいる。
流石に今回はキリエを外で待機させ、プレイヤー3人での入店。
シュウは、《装備ウィンドウ》を開き、自身の装備を確認する。《武器》の項目に表示されている、《ロングソード》と言う文字が黒くなっているのは、破壊されたということを意味している。この状態の武器は使い物にならないので外し、所有している武器から、今自分の持つ最強のモノを選び装備する。そうすると、何も無い空間から一振り、紅い柄の刀が現れた。
《妖刀【紅葉】》…
紅葉…その名にちなんでか、本当に紅葉の様に紅い柄の色。
光の加減で、刀身も赤みを帯びている様に見える…
ALOの世界で、《妖刀》と呼ばれる武器は4つ…【桜葉】、【青葉】、【紅葉】、【枯葉】…その中の1つがこの刀【紅葉】だ。
これは昔、限定イベントの4人の上位者限定で配られたものだ。俺はそのイベントで第3位という高成績を残したため、妖刀の内の一振り【紅葉】を得る事が出来た。かなり性能の良い武器で、長い事使わせてもらっている。他の妖刀は、他の上位入賞者が持っていることだろう。
まぁあ、前回は余裕こき過ぎたからな…今回は全力で潰させてもらおう…
「【紅葉】かぁ…やっぱ、綺麗だよなぁ…
おいおい、本気だな、久しぶりに見たぜ。
まぁ、アレだよな、天使からの頼みで手を抜くとか神が許しても、俺は許さんがな…」
横から覗き込んで来る黒鉄さん。
肩や腰を回し、身体を解しながら覗いて来る。
図体がデカイので少し窮屈だ。
彼の武器は背中に背負った、禍々しい装飾の大剣だ。高い攻撃力を誇るがどうしても動きが鈍くなる武器だが、彼曰く、敵を切った時の爽快感が溜まらないのだとか…
彼には今回、タンク役をやってもらうつもりだ。
そして、もう一人の仲間に目を向ける。
「あれれ? どーしたのシュウ君?
お姉さんの顔に何か付いてるのかなぁ?」
ポニテの美女は、いつも通り和やかな笑みだ。
緊張感の欠片も感じられない。
この人はコレでも、『状態異常の申し子』とか、『毒殺女王』とか物騒な異名をプレイヤーに付けられる程、状態異常系の魔法に特化した《魔法使い》だ。
敵を毒状態にする魔法とか、麻痺状態にする魔法とか、睡眠状態にする…etc
そういった魔法を、最大まで熟練度を上げて使っている。
この世界において魔法が何処まで有効かは解らないが。ゲームの世界では、通常状態異常の利かないボス系モンスターに対しても、状態異常系の魔法が通るスキルを所有していた高レベルプレイヤーはこの人だけだった。流石に即死系と石化系の魔法は通らないらしいが、十分に凄いからヤバいよな…
この人には後衛から魔法を使ってもらうとしよう…
さて、マップで敵の位置を確認。
…居るな。位置からして、店中央の天井に張り付いているか、あの初登場の様に床下に隠れているか…
平面マップではソレは確認出来そうに無いな。
「んじゃ、俺が出ますかね。
キリエちゃんの為、最初に蜘蛛に一撃入れるのは俺だからな」
黒鉄はそう言うと、店中央へと移動した。
大剣を構え、臨戦態勢だ。
「おーーーーーーーい!!!
蜘蛛野郎、さっさと出て来い!!!
テメェーのせいで、酒場に入り浸れねぇじゃねぇーか!!!」
黒鉄がそう叫ぶと、天井で物音がした…上か?
そして、黒鉄は天井から何かが落下して来るのを視認した。降りて来たか…
「けっ、来やがったな、直ぐに俺の剣の錆に…!?」
しかし、黒鉄は大剣を構えたまま回避行動に移り…次の瞬間、黒鉄の立っていた位地が盛り上がり、床下から大きな蜘蛛が飛び出して来た。シュウが初めてこの蜘蛛と対峙した時と同じ状況だ。そして、上から落下して来た《テーブル》が床に叩き付けられ砕けて散る。
黒鉄は間一髪で避けたものの、ダメージ無しとは行かなかった、少しばかりHPが削られている。
黒鉄は起き上がると蜘蛛と目が合った。
テメェー、キリエちゃんの酒場をよくも散らかしてくれたな?
シュウは刀を構え、ただ一人危機感を感じていた。
賢くなっている…落下して来たテーブルを囮に、下からの奇襲…確実に仕留める動きをして来ている。
…あまり、長期では戦いたく無いな…
シュウは飛び出し、刀を振るう。
ロングソードが折れたのは、敵の防御力が高すぎたからだと推測出来る。ならば、もっと攻撃力の高い武器で叩けばどうなる?
蜘蛛の後ろから振り下ろされた刀は、蜘蛛の腹部を簡単に切り裂く。否、語弊だ。簡単にではない、モノを切ると言う感覚が直に手に伝わって来る、決して心地いい感覚ではない。なるほどココはゲームでは無くリアルなんだな。ゲームなら、何の感覚も無しに敵を切る事が出来たのだ。
しかし、そんな事を言っている暇はない。攻撃が通ることが解った以上、敵を倒すまで戦闘を続行させねばならない。そうしなければ、こちらが殺られる。
切られた所から紫色の体液が噴き出した。これもゲームでは有り得ない事だよな…
蜘蛛の意識がこちらに向くのが解る。蜘蛛から溢れ出る殺気が、後ろに居る俺に向けられたのが解ったからだ。
何が来るのか解らない為、とりあえず距離を取る為に後ろに下がる。
蜘蛛は体液をまき散らしながら飛び上がり一度酒場の壁に張り付いた、蜘蛛がその八つの目が俺を捉えると一気に俺に向かって跳躍し、俺を圧し潰さんと蜘蛛の巨体が飛んで来た…
しかし、コレくらいは想定内。俺も、転げながらそのプレスを避けた。
刀を構え直し、切先を蜘蛛に向け、腹に突き立てる…また、鮮血。
今度のは先程のより痛いだろう?痛い筈だ、そういうスキルが発動している。
妖刀【紅葉】の持つ、専用スキル。
連続攻撃強化【大】、状態異常属性【出血】、出血ダメージ補正【大】、鮮血の妖刀【効果:敵に攻撃を通す度に、攻撃力強化中。強化上限:無限】、HP上限低下・呪【大】。
なんつーか、アレだ、この武器チートなんだ。
通常の武器では、武器にスキルが付いていても3つが良い所なのに、強力なのが5つも付いてるんだ…
まぁ、1つは使い手のHPの上限を大幅に削ってくれる呪いなんだけどね(装備している時だけ)…
だから、俺、この刀使うの、なんか凄く嫌なんだ(清々しい笑顔)。
まぁ、いい、突き立てた刀を抜いてもう一撃入れてから一端離れよう…ん?
刀…刀、抜けなくね?
その一瞬の隙を蜘蛛さんは見逃してくれなかったみたいで。
俺へと振り下ろされる、脚が1つ…
ヤバイ…只でさえコイツ攻撃力高いのに、HPの上限を削られている俺が攻撃を受けたら…非常にヤバい…
おい!!
なんで、刀抜けねぇーんだよ!!
ゲームじゃ、こんなん無かったよな、おい!!
嗚呼…駄目だ…深く刺さり過ぎてて抜けね…
俺が諦めたそのとき、俺と蜘蛛の脚との間に禍々しい鎧の戦士が身体を滑り込ませた。
黒鉄さんは、大剣を盾代わりに使い振り降ろされた脚をガードする。しかし、如何せん、大剣は盾として使用する機能は持ってはいるが防御力がそんなにある訳では無い。威力を殺し切れず、大剣と共に吹き飛ばされる黒鉄さん…その反動で俺も飛ばされ、床に叩き付けられた。
HPがレッドゾーンまで一気に減った…しかも、刀は刺さったまま…詰んだ。
よろよろと立ち上がりながら、黒鉄さんの居場所を確認する。
彼も立ち上がっていた。良かった、俺よりダメージは少なそうだ…
蜘蛛も幸い黒鉄さんの方を向いている。黒鉄さんから、後ろに下がれと手で相図された。言われなくても逃げさせて頂きます…
しかし、蜘蛛は俺に反応しこちらに身体を向けて来る…ヤバ。
「ちっ…『インピード・ディフェンス』」
黒鉄さんの身体から黒いオーラが現れる。
蜘蛛はそのオーラに引きつけられる様に、俺から意識を外した。
インピード・ディフェンス…対象の注意を自分に向けさせるスキル…
すいません、黒鉄さん!!!
次の瞬間には前足を振り下ろし、その攻撃を黒鉄さんが避けていた。
俺は入り口に向かって走り出す、蜘蛛の体液が床中を濡らし、非常に走り難くい。思わず、蜘蛛の方を向く…状態異常【出血】のアイコンが見えた。
状態異常【出血】…マイナーな状態異常の1つ。一定期間毎にHPが削られる状態異常。基本的に毒状態と変わらないが、出血の場合、防御力が低下する。その分、毒より加算されるダメージが少ない。
入り口付近に目を向けると、杖を構えたケイさんが何やら魔法を発動させる瞬間だった。
なんか、ケイさんが笑っているような気がした…
『ブリード・ブラッド!!!』
滴る紫色の体液が妖しく輝き、蜘蛛の身体を包み込む。
ブリード・ブラッドは、出血状態の進行を加速させる魔法。より、早いペースで敵にダメージが入る様になる。唱えた瞬間、蜘蛛の身体から体液が噴水の様に噴き出した。動きが止まる…
続けざまにケイさんが魔法を唱えた。
『カース・ブラッド!!!』
床に広がった蜘蛛の体液が妖しい光を放ち、蜘蛛の元へと動きだす…
カース・ブラッドは、《出血》により流れた血量分のダメージを対象に与える魔法…通常、そこまでダメージは入らないのだが、今回の出血量はかなり多い。
蜘蛛の下に集まった体液は、赤黒く変色し、まるで蜘蛛の身体を逆流する様に傷儀から血が入りだした。苦痛にもがく蜘蛛…なんか、敵なんだけど可哀想になって来た…
しかし、ケイさんは止まらない。
『ポイズン!!!』
このゲームは、複数の状態異常の重ねがけが有効だ。
つまり、幾らでも状態異常を掛け放題なわけだ…
蜘蛛が力つきるまでそう時間は掛からなかった…




