1話 とりあえず、ワタシは天使じゃない!!
久しぶりの執筆なので、あまり自身はありませんが、楽しんで読んで頂けると幸いです。
感想・評価、お待ちしております!!
魔法王国シンフォニア…
魔法王国と言われるだけあって、この国は魔法が発達した国家である。他国から『魔城』と称される、天空の王城『フォルテ城』。この城は魔法技術の最高傑作と言われており、本当に天高く浮かんでいるのだから驚きだ。その文字通り城下に、この活気に満ちあふれた街、王国の首都・プレリュードはある。
城下の大通りに面した場所にある、少し妖しい雰囲気の店。
他がレンガ造りの建物なのにも関わらず、この店だけ木造だ。
掲げられた看板には、『酒場』と、無骨な文字で書かれている…
(そりゃ、酒場だけどさ…もっと、店名考えようよ…)
この酒場の前で頭を悩ませる黒髪の少女が一人。
彼女の名前は、『キリエ』。
いろいろな事情があって、目の前の酒場を切盛りしなければならなくなった哀れな少女である。
溜め息を吐きつつ、店へと入る。
しーん、と静まり返った店内。
誰も居ないカウンター…
ザ・酒場!! と、言った感じの内装だ。
他の街の酒場なら、例え昼間であっても冒険者や傭兵達などによって酒場は賑わっていることだろう。
しかし、こと、魔法王国においてそれは無いに等しい。
まず、この街にはわざわざ冒険者が来ない…いや、このような酒場を好む冒険者が来ないのだ。魔法王国と銘打っているだけあって、この国には魔法使いや魔女などを生業にする者が多い。彼等は比較的小綺麗な店を好むため、この店のような『漢の酒場』みたいな場所は好まない。
あと、傭兵だが、この街では傭兵家業は儲からないのだ。理由は、街に『傭兵ギルド』が存在しないことにある。各種ギルドの中で、王国には『傭兵ギルド』だけが無いのだ。それは、国王が傭兵を好まないことに起因するのだが…
だから、まぁ、この店は流行ってない。
入り口から風が入り込み、テーブルに積もった埃が風で舞い上がって、彼女に直撃した。
キリエはこみ上げて来る笑いが抑えられなかった。
「…ワタシ、本当についてないなーーーーー!?」
キリエがそう呟き顔を上げた先に、『彼』は忽然と何も無い空間から現れたのだ。
店の中央に立ち尽くす彼に驚き腰を抜かしたが、次の瞬間にはそんなこともどうでもよくなった、店内に…店内一杯に忽然と人間が現れたのだ。
(まるで噂に聞く、転移魔法みたい。だけど、何故に転移魔法でこの店?!)
状況が把握出来ていないのは彼女だけでは無かったようだ。
現れた人間達も皆、動揺した表情を浮かべている。
「おい、確か俺、『キリエの酒場』で飲んでたよな?
なんでいきなり、こんな寂れた酒場に来てんだ?」
「なによ、もう!!
私、仲間とキリエちゃんの酒場で待ち合わせてたのに!!」
「おい、これまさか、酒場の限定イベントとかじゃ無いよな?」
いきなり現れた人間共は、口々に何事か呟いている。
なんか、ちらほらワタシの名前が出て来るんですけど…
「…あれ!!
キリエちゃんそこに居るじゃん、キリエちゃ〜ん」
その内の一人が、床に倒れたワタシを指差し叫ぶと…
「おっ!!
マジでキリエちゃんじゃん。
あれ? いつもより少し小ちゃくね?
なんか、ロリな感じがプラスされてる」
「馬鹿な事いうなよ、俺の天使キリエちゃんはそんなキャラじゃ…
…おい? コレ、なんていうイベント?
キリエちゃん、マジ、天使!!
公式でなんか発表あったか? 知ってるヤツ居たら教えてくれ!
あと、この大天使を何時まで床に寝かしておくつもりだっ!!!」
もう、訳解らん。
とりあえず解った事が1つ…
この人達のワタシに向ける視線が、城下の娘達がイケメンと名高いクレド公爵に向けるモノや、絶世の美女と名高い王女・グロリア様に向けるモノと、何故か同じということが…いや、あの視線より粘っこい感じもするのだけど…
何人かによって抱きかかえ上げられ、近くの椅子に座らされる。
もう、何が何だか…
「設定より、2歳…いや3歳は若いな…JCか!!」
「くそ…なんで、なんで、キリエちゃんはバーチャルの世界にしかいないんだ!!」
「キリエちゃん、大丈夫ぅ?
少し顔色悪いよ? ポーション飲む?」
「流石、『より人間に近いNPC』を目指した作品だな。キリエちゃんの動揺が肌で感じられるぜ…」
「おい!! お前の顔が恐いからキリエちゃん怯えるんじゃねーの?」
「はぁ? キリエちゃんは外見で人を判断しない天使なんだよ!!
なに巫山戯たこと言ってんの?」
「おい…なんかログアウト出来ないんだけど…」
「「「「そんなことはどうでもいい!!!」」」」
「それも…そうだな…」
1つ解ったことがある、コイツ等、馬鹿だ。
外に助けでも呼ぼうか?…まぁ、とりあえず…
「ワタシは、天使じゃない!!」
ワタシが叫ぶと、ヤツ等は固まった。
そして、一人が驚きの表情で呟いたのだ。
「なん…だと…
もともと、声も天使だったのに、さらに磨きが掛かっているだ…と?」




