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流れを真似るもの


 四眼の民が地面へ描いた横線を、私は何度も思い返した。


 越えてはいけない線。


 そして、その向こうを示して発した言葉。


「まだ」


 粒子源まで、残り一・四キロ。


 目的地が見える距離まで近づきながら、粒子濃度六八パーセントで身体が重くなった。


 撤退すると、濃度の低下に合わせて症状も消えた。


 現在の装備では、その先へ進めない。


 では、何が足りない。


 偽装防護服は枝や傷から身体を守る。


 宇宙服の外気浄化フィルターは呼吸を維持している。


 だが、この惑星の未制御粒子へ対応するために作られた装置ではない。


 残量表示が正常でも、粒子を完全に遮断できている保証はない。


 高濃度領域へ入った時、身体へ影響が出た。


 必要なのは、さらに厚い服ではない。


 粒子を吸気から選んで取り除く仕組み。


 あるいは、外気浄化フィルターへ届く前に粒子を処理する前段装置。


 私は研究ノートを最初から開いた。


「今まで、粒子だけを捕まえたものはなかったか」


 白灰土。


 補修材。


 粒子へ明確な反応なし。


 赤粘土。


 容器の素材。


 粒子を選別しない。


 骨粉。


 強度を変える。


 赤紫果。


 柔軟性と接着性。


 銀脈根。


 粒子を安定化する。


 だが、周囲から集める性質は弱い。


 黒光実。


 そこで手が止まる。


 粒子水と黒光実。


 凝縮粒子。


 高濃度粒子を内部へ入れた時、銀色殻へ変化した。


 黒光実壺は粒子を集め、濃縮した。


 黒光実そのものも、粒子へ反応する。


 私は「反応」と記録してきた。


 だが、反応する前に何が起きている。


 黒光実は、粒子を内部へ取り込んでいる。


 そして、もう一つ。


 最初に黒光実から得た保水繊維。


 粒子を含む川水を繊維へ通すと、青白い粒子が繊維側へ残り、通過後の水からは光が消えた。


 最初に確認していた。


 保水繊維は、水だけを保持する素材ではない。


 水中の粒子を吸着する。


「これだ」


 谷へ行けないなら、無理に身体を慣らすのではない。


 谷へ入れる装備を作る。



     *



 保水繊維を作業台へ並べた。


 改めて性質を記録する。


 水を保持する。


 細い。


 編める。


 保温性がある。


 ろ過材として使える。


 粒子水から粒子を吸着した実績がある。


 ただし、呼吸装備へ使う場合には別の問題がある。


 空気を通さなければならない。


 粒子を捕まえるために密度を上げれば、吸気抵抗も増える。


 宇宙服の外気浄化フィルターは、現在も生命維持に必要。


 新しい素材を直接置き換え、流量不足を起こせば危険だった。


 そこで、最初から主フィルターを外さない。


 外気取り込み口の前段へ、着脱可能な試験用カートリッジを追加する。


 失敗しても、外せば元の状態へ戻せる。


 まず、保水繊維だけを厚く重ねた。


 試作品一。


 竹枠へ詰め、外気取り込み口の前へ固定する。


 装着前に、手動送風で抵抗を調べる。


 空気は通る。


 だが弱い。


 宇宙服へ取り付ける。


 吸気流量表示がすぐ低下した。


《AIR FLOW:LOW》


 息苦しさを感じる前に外す。


 粒子を捕まえても、呼吸を妨げるなら使えない。


 試作品一。


 不採用。


 次に、繊維を粗く編んだ。


 試作品二。


 空気は通りやすい。


 流量表示も正常。


 しかし、粒子を含ませた霧を外側へ当てると、内側の試験布にも青白い点が現れた。


 通気性はある。


 捕集能力が低い。


 これも不採用。


 必要なのは厚さだけではない。


 繊維の向き。


 層。


 乾燥状態。


 空気の経路。


 水をろ過した時、粒子を捕まえた繊維は湿っていた。


 乾いた繊維と、薄く湿らせた繊維では結果が違う可能性がある。



     *



 試作品三。


 竹で薄い枠を作る。


 外側へ粗い保水繊維。


 内側にも同じ層。


 その間へ、薄く湿らせた繊維を挟む。


 三層。


 外層。


 湿潤層。


 内層。


 粒子水を直接吹き付けない。


 細い竹管と加熱した石を使い、粒子を含む水を弱い霧へする。


 風上から少量だけ送る。


 外側の乾いた層は、ほとんど変化しない。


 中央の湿った層。


 青白い点が一つ。


 次に二つ。


 少しずつ光が集まる。


 内側の層へは、ほとんど届いていない。


「捕まえている」


 完全ではない。


 だが、粒子は湿った中央層へ集まっている。


 水分が粒子を引き寄せるのか。


 繊維が湿ることで構造が変わるのか。


 両方かもしれない。


 次に、繊維をさらに細く裂いた。


 同じ方向へ並べない。


 縦。


 横。


 斜め。


 層ごとに向きを変える。


 自然の不織布に近い構造。


 試作品四。


 粒子霧を通す。


 中央へ光が集まる。


 内側へ抜ける量は、試作品三より少ない。


 銀色装置が初めて材料を認識した。


《FILTRATION MATERIAL》


《PARTICLE ADSORPTION:21%》


 粒子吸着率、二一パーセント。


 性能は数値になった。


 だが二一パーセント。


 濃度六八パーセントの谷へ入るには足りない。


 さらに、粒子を捕まえ続ければ繊維は飽和する。


 青く光った中央層は、自動では元へ戻らない。


 使い捨ての前段フィルターとしては機能する。


 長距離調査には不十分。


 私は銀脈根壺で作った安定化粒子液を取り出した。


 粒子を生命へ適合する状態へ整え、衰弱中の植物を安定させた液体。


 これを粒子吸着層へ、ごく少量だけ染み込ませる。


 多すぎれば通気性を失う。


 薄く。


 均等に。


 そのまま使わず、表面の余分な水分が消えるまで乾燥させる。


 もう一度、粒子霧。


 外側から入った光は、中央層へ集まる。


 そこまでは同じ。


 しかし今回は、集まった光が少しずつ薄くなった。


 消えている。


 内側へ抜けたのではない。


 内側の試験布は光らない。


 中央で捕らえた粒子が、安定化液によって処理されている。


 装置表示。


《FILTRATION MATERIAL》


《PARTICLE ADSORPTION:46%》


《SELF REGENERATION:ACTIVE》


 粒子吸着率、四六パーセント。


 自己再生、作動。


 単に捕まえるだけではない。


 繊維が粒子を吸着する。


 銀脈根由来の成分が、捕らえた粒子を少しずつ安定化する。


 中央層が完全に飽和するまでの時間を延ばせる。


 私は竹枠を、宇宙服の外気取り込み口へ固定できる形へ仕上げた。


 元の外気浄化フィルターは残す。


 新しいカートリッジが前段で粒子を減らし、処理する。


 装置が名称を表示した。


《FIELD FILTER》


《PROTOTYPE Mark-I》


 粒子フィルター。


 試作一型。


 これによって、墜落直後から減り続けていた外気浄化フィルターだけへ負担を集中させずに済む。


 保水繊維のカートリッジは交換できる。


 安定化液を再び染み込ませれば、再生も可能。


 最初に示された七十二時間という期限を、完全に消せたとはまだ言えない。


 それでも、地球製のフィルターが尽きれば終わるという一方向の時間からは抜け出せる。


 この惑星の素材で、外気浄化系を維持できる可能性が生まれた。



     *



 四六パーセント。


 前回、身体へ異変が出た濃度は六八パーセント。


 数値だけを単純に引き算することはできない。


 吸着率が四六パーセントなら安全、という意味ではない。


 粒子濃度。


 流量。


 曝露時間。


 フィルター飽和。


 外気浄化フィルター本体の能力。


 複数の条件がある。


 まだ満足できない。


 保水繊維は粒子を捕まえる。


 銀脈根は安定化する。


 では、黒光実は何をしてきた。


 粒子から生まれたものを、改めて並べる。


 保水繊維。


 物理素材。


 銀色殻。


 機械部品。


 凝縮粒子。


 エネルギー媒体。


 生命の雫。


 生体媒体。


 安定化粒子液。


 制御媒体。


 一次媒体。


 中間素材。


 すべて粒子を利用した結果。


 粒子を捨てたことはない。


 黒光実へ高濃度粒子を与えた時、最後に銀色殻が残った。


 施設はそれをフィルターとして認識した。


 ならば銀色殻は、粒子を吸い切った黒光実の最終形なのかもしれない。


 殻がフィルターになる前、最初に粒子を受け止めているのは何だ。


 黒光実の内部。


 ゼリー状の内容物。


 傷を付けると流れ出る。


 水へ入れると保水繊維へ変わる。


 高濃度粒子では銀殻化の過程で消える。


 銀脈根ペーストを入れると中心へ集まり、育成反応を始める。


「ゼリーは、燃料じゃない」


 粒子を一時的に取り込み。


 保持し。


 条件がそろえば次へ渡す。


 媒体。


 肺や血液に近い役割。


 もし果実から分離しても、その性質を維持できるなら、粒子を蓄えるタンクにできる可能性がある。



     *



 新鮮な黒光実を一つ選んだ。


 今回は果実全体を壺へ入れない。


 ゼリーだけを取り出す。


 ただし空気との接触をできるだけ減らす。


 黒光実は傷を付けた瞬間から反応を始める。


 空気が条件になっている可能性がある。


 細い竹を火であぶる。


 内部を清掃。


 冷ます。


 先端を斜めに削り、簡易的な導管へする。


 反対側は指と柔らかな保水繊維で塞げる構造。


 黒光実へ、ごく小さな穴を開ける。


 開けるのと同時に竹管を差し込む。


 空気が入る隙間を作らない。


 果実を強く押さない。


 内部のゼリーは予想より粘度が高かった。


 吸い上げるというより、自重とわずかな圧力差で竹の中へ移動していく。


 透明ではない。


 淡い銀色の微粒子が漂っている。


 竹の中へ必要量が入ったところで、入口を保水繊維と樹脂で塞ぐ。


 装置表示。


《BIOLOGICAL MEDIUM》


《ISOLATED》


《VIABILITY:94%》


 生体媒体。


 分離完了。


 活性、九四パーセント。


 黒光実から離れても、ゼリーは生きた性質を保っている。


 十分後。


 固まらない。


 乾燥しない。


 竹の中で、ごくゆっくり脈打っている。


 一方、ゼリーを抜いた黒光実は完全には枯れていない。


 だが表面の銀色模様が薄くなり、装置が示す反応性も低下した。


 黒光実の主要な粒子機能を、内部ゼリーが担っている可能性は高い。



     *



 ゼリーが粒子を保存できるか確かめる。


 黒光実壺で作る一時的な青白い結晶。


 壺から出せば、三十秒ほどで消える不安定な粒子。


 それを、ごく少量だけ竹管へ入れる。


 空気が入らないよう、入口をすぐ塞ぐ。


 粉はゼリーへ触れた。


 消えない。


 表面へ乗ったままでもない。


 ゆっくり内部へ溶け込む。


 水へインクを落としたような拡散ではない。


 ゼリーが粉を包み、自分の内部へ引き入れている。


 装置が反応する。


《BIOLOGICAL MEDIUM》


《PARTICLE STORAGE》


《INITIALIZING...》


《12%》


 数十秒後。


《PARTICLE STATE:STABILIZED》


《LIMITED CAPACITY》


 粒子保存を開始。


 状態、安定。


 容量に限界あり。


 五分。


 十分。


 粒子は消えない。


 竹の中のゼリーは少し青みを帯びる。


 脈動は続く。


 活性も失われない。


 粒子は一か所へ凝縮せず、ゼリー全体へ均等に保持されている。


 変換ではない。


 保存。


 黒光実のゼリーは、天然の粒子タンクになり得る。


 ただし無限ではない。


 満杯になった時の反応は不明。


 銀殻化。


 破裂。


 放出。


 活性停止。


 どれも可能性がある。


 容量表示の監視が必要だった。



     *



 机の上へ、試作粒子フィルターを置く。


 繊維は吸着する。


 ゼリーは保存する。


 ならば、二つをつなぐ。


 これまでのフィルターは、捕まえた粒子を中央層で安定化していた。


 処理速度を超えて粒子が入れば、繊維は飽和する。


 もし繊維が捕まえた粒子を竹管でゼリーへ送り、中央層を空けられるなら、連続使用時間を延ばせる。


 私は断面図を描いた。


 外気。


 保水繊維の吸着層。


 細い竹導管。


 黒光液を入れた保存竹。


 内側の保水繊維。


 宇宙服の外気取り込み口。


 捕まえる。


 運ぶ。


 蓄える。


 一本の太い管ではない。


 繊維の間へ数本の細い竹を通す。


 植物の葉脈。


 根。


 水路。


 この惑星で何度も見た、細い流れを集めて太い場所へ送る構造。


 竹管の反対側を、黒光液の保存筒へ接続する。


 粒子を含む霧を、外側へゆっくり送る。


 最初の三十秒。


 以前と変わらない。


 中央の繊維が少し光る。


 一分後。


 光が薄くなる。


 内側へ抜けたのではない。


 竹管の中へ、青い点が移動している。


 保存筒の黒光液が、少しずつ青くなる。


 繊維が捕まえた粒子を、竹管を通して黒光液へ渡している。


 装置表示。


《FIELD FILTER Mark-I》


 文字が変わる。


《BIOLOGICAL FILTER》


《PARTICLE TRANSFER:ACTIVE》


 生体フィルター。


 粒子転送、作動。


 さらに。


《FILTRATION:74%》


 ろ過率、七四パーセント。


 四六パーセントから、大きく上がった。


 単に繊維を厚くしたのではない。


 役割を分けた。


 繊維。


 捕集。


 竹管。


 輸送。


 黒光液。


 保存。


 銀脈根由来の安定化成分。


 処理。


 複数の機能が一つの流れとして動いている。


 装置は最後に警告した。


《RESERVOIR:31%》


 保存量、三一パーセント。


 まだ余裕はある。


 満杯になれば、粒子を受け渡せなくなる。


 それだけで済む保証もない。


 次に必要なのは、ろ過率をさらに上げることではなかった。


 安全な容量を増やすこと。


 交換できること。


 満杯のタンクを流路から切り離せること。



     *



 その日は探索へ出なかった。


 開発へ使う。


 最初に、太い竹を一本使った。


 容量は増える。


 だが重い。


 腰へ付けると片側へ引かれる。


 枝や岩へ当たりやすい。


 曲がらないため、歩行としゃがむ動きを妨げる。


 容量だけを増やした試作品。


 不採用。


 次に、細い竹を三本束ねた。


 一本ずつは軽い。


 身体の形へ沿わせられる。


 容量は元の約二・八倍。


 一本が破損しても、すべてを失わない。


 粒子霧を通す。


 最初は一番近いタンクへ偏ると思った。


 だが黒光液と竹管の脈動に合わせ、粒子は三本へ分散した。


 一八パーセント。


 一七パーセント。


 一九パーセント。


 大きな偏りはない。


 さらに構造を変える。


 三本を固定した一体型にしない。


 一本ずつ外せる小型タンク。


 腰の保持具へ差し込む。


 入口には竹製の接続口。


 満杯になれば、数秒で閉じて交換。


 予備タンクへ切り替える。


 装置が認識した。


《BIOLOGICAL FILTER Mark-II》


《MODULAR RESERVOIR:SUPPORTED》


 交換式貯蔵器に対応。


 最後に逆流対策。


 姿勢を変えた時、黒光液が竹管から繊維側へ戻れば、吸気層を塞ぐ可能性がある。


 細く束ねた保水繊維を、接続口へ一方向に重ねる。


 外からタンクへ向かう圧力では開く。


 タンク側から戻ろうとすると、湿った繊維が密着して流路を塞ぐ。


 単純な逆止弁。


 傾ける。


 振る。


 寝かせる。


 黒光液は漏れない。


 粒子霧を送れば、タンクへ流れる。


 満杯を想定した水による模擬試験でも、入口側へ逆流しない。


 宇宙服の外気取り込み口へ装着する。


 元の外気浄化フィルター。


 その前段に粒子フィルター。


 腰に交換式の黒光液タンク三本。


 以前より重い。


 だが歩行、しゃがみ、弓、竹槍の操作を妨げるほどではない。


 装置が最終表示を出した。


《BIOLOGICAL FILTER》


《Mark-II》


《READY》


 生体フィルター二型。


 使用可能。



     *



 翌朝。


 装備を確認する。


 偽装防護服。


 生体フィルター二型。


 交換用黒光液タンク、三本。


 竹骨弓。


 骨矢。


 竹槍。


 採取容器。


 研究ノート。


 水と携帯食。


 外気浄化フィルター本体の流量、正常。


 前段フィルターの吸着層、未使用。


 黒光液タンク、活性維持。


 逆止弁、動作確認。


 交換操作。


 一度外す。


 塞ぐ。


 予備を接続。


 手袋を着けたままでも可能。


 暗い場所でも、接続口の形で向きを判断できる。


 生体フィルターは完成品ではない。


 粒子濃度六八パーセントで実地試験をしていない。


 満杯タンクの長期保管。


 粒子の再放出。


 黒光液の活性低下。


 すべて未確認。


 それでも、前回とは違う。


 ただ同じ道へ戻るのではない。


 撤退で得た限界を、装備へ反映した。


 四眼の民たちが、施設の入口で見送っている。


 最初に出会った一人は、私の腰に並ぶ竹タンクを見た。


 次に、外気取り込み口の繊維層。


 細い導管。


 黒光液へ粒子を渡す流れ。


 四つの瞳が少し大きくなる。


 彼は自分の胸へ手を当てた。


 次に生体フィルターへ、軽く手を添える。


「シア」


 装置の翻訳。


《賢い》


 私は首を横へ振りかけ、止めた。


 まだ結果は出ていない。


 賢かったかどうかは、無事に戻ってから決まる。


 それでも、この装備は私一人の発想だけから生まれたものではなかった。


 保水繊維。


 黒光実。


 銀脈根。


 竹。


 水路。


 植物の葉脈。


 四眼の民が守ってきた循環。


 この惑星の流れを観察し、それを小さな装置へ写した。


 四眼の民は、植物の根を指した。


 次に、私のフィルター。


 装置が別の言葉を表示する。


《流れを、真似している》


 捕まえる。


 運ぶ。


 蓄える。


 処理する。


 一つの素材へすべてを求めない。


 役割を分け、流れでつなぐ。


 壊れた世界を直すために学んだ方法が、今度は私の呼吸を守る装備になった。


 私は地面に描かれた、越えてはいけない線を思い出す。


 線そのものは消えていない。


 だが、越えるための条件を一つ作った。


 次に上流へ向かう時。


「まだ」という言葉が、変わるかどうかを確かめる。



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