6話 パーティ結成、魔王と対峙…しかし⁈
◇◇◇◇◇
仲間を探す旅を続けて、もうかなり経過した。
世界を隅々まで歩き、様々な人種と出会い
そして…
俺…いや、我(一応聖女だから一人称を変えた)
に従ってくれる優秀な仲間を探し出せた。
「リーン様、支度はできましたか?」
この世界で我はリーンと名乗った。
仲間が集まり、我を呼ぶ…
遂に魔王と直接対峙する時が来たのだ。
魔王軍も魔界から、この世界へ進出し
今、止めなければ世界を闇が覆ってしまう
だろう。
魔王討伐用に集めた仲間は優秀だった。
(時間をかけて集めた甲斐があった)
稀有な能力を発掘し、
自分の前世の戦闘経験を仲間に伝授して、
共に成長していった。
メイン火力の剣士と魔術士、
サポート火力一人、
回復術者一人に、後方サポート一人…
そこに、壁役の結界術者の自分。
万全なパーティだった。
能力値も全員レベルカンストしている。
満を持して魔王に挑む!
「魔王…!お前はこの世界にはいらない!」
魔王との対戦は…
終始こちらが有利だった。
圧倒的な火力、優秀な回復、
サポートが上手く戦況を操り
我もヘイトを集めながら皆を防御シールドで
守っていた。
大して苦戦することもなく、
魔王の体力をトドメ寸前までもっていった。
「あと一撃だ!皆、総攻撃だ!」
前世では、中部隊の指揮を執った事もあった。
我ながら戦い慣れもしている。
勝機があった…と確信していた。
しかし…
瀕死だった魔王が苦し紛れに打ち出した
呪で状況は一変した。
それは…
高度な大呪文では無かった。
魔王の特殊スキルでも無かった。
それは…
初級中の初級、単なる"状態異常"を
引き起こすだけの呪文だった。
しかし、魔王の持つ全ての魔力を投じ
放たれたその呪文は…
万全に張られていた我の防御シールドを
貫通し、個々の魔法防御を貫通し…
仲間の精神を蝕んだ。
心の隙を突かれた仲間達は、
次々と闇堕ちし、我を失い暴れ出す。
「くっ…仲間を止めないと…被害が拡大する…!!」
自分は結界術者だ。
唯一、魔王の呪が効かなかった自分は
仲間を止める為、やむ無く仲間に術を使う。
「封印…!!!」
自分の持てる全ての力を注ぎ込み、
仲間達を水晶の結界へ封じた。
この結界は、常時魔力を投じ続けなければ
ならないが、何より強力な結界で…
しかし、
封印を続ける限り魔力を使い果たす事になる。
そして…
そんな我らの隙を利用し、魔王は逃亡した。
だが、奴もまた魔力を使い果たし、
当面は復活できないだろう。
魔王との対戦は…相打ちだった…
いや、
魔王は時が経ち魔力が回復すれば復活する
だろう。
だが、我らは…闇堕ちした仲間を癒す方法を
先に探し出さなければ、ならない分…
切迫している。
何故…あんな簡単な呪が刺さったのだろう?
我の防御シールドは全ての状態異常も
退ける効果がある筈だった。
我は独り残され、ずっとその事を考えていた。
ただ一つ、思い当たるのは
あの呪は…心の隙間に直接入り込む呪
なのかもしれない、という事…
魔王に対抗できる強いパーティを集める
その事にばかり気を向ける余り、自分は
仲間との絆を育んだのだろうか…と自問する
「前世では、あんなに仲間と呼べる存在が
欲しかったのにな」
逃亡した魔王の行方を追いながら、
自問自答を繰り返す。
ふと、前世の最期に見た子供達の無垢な
瞳を思い出す。
我は…仲間達の目をちゃんと見たことが
あっただろうか?
心を通わせていただろうか?
答えは分からない。
前世の我は…俺はそこまで人間じみた
人生を送った事が無かったから…
だから、もう一度。
もう一度仲間に会いに行こう。
今度こそ彼らの瞳を見てみよう。
今度こそ隙を突かれないように
きっと次こそ…
◇◇◇◇◇




