3話 殺戮の傭兵、麗しい聖女となる
◇◇◇◇◇
異世界の神々が創った世界へ降りる。
「ふむ、ちゃんと本物の世界だな…」
森の中へ降りた俺は、辺りを見回す。
木漏れ日が各所に差し込み、木々の隙間を
風が柔らかく通り抜ける。
どこからともなく鳥の囀りも聞こえ…
穏やかで良い森だった。
「さて…どうするか…と?これは…」
ふと、己の手のひらを見ると
手から宙に浮かぶ文字盤が出現した。
「天界の神々から聞いたな。
これがステータス画面というものか」
この世界では人類に、自身の能力値を
数値で表せる表が内蔵されているらしい。
さすが異世界…前世のゲームのような世界だ
…と思いながら自分のステータス画面を
見てみる。
「堕天後は…職業:聖女…か」
この世界へ降りても、やはり姿は女のまま。
しかし、
…神の能力は大半が失われ、
所謂、半神半人の存在になったらしい。
聖女:〈特殊スキル・不老不死〉
〈通常スキル・結界系魔法〉
〈パッシブスキル・カリスマ〉
HP:350 MP:290 力:1 魔力:30
※現在レベル1
…というステータスらしい。
「魔法…?凄いな!この世界では使えるのか」
物語の中でしか存在しないと思っていたが…
ここでは使用できるらしい。
俺は興味に駆られ、試す事にする。
手のひらに意識を集中し、魔法を想像する。
すると…
手のひらが仄かに熱くなり、光りが灯る。
その光りは宙へ上がり、シャボン玉のような
形になって、やがて弾けて消えた。
その瞬間、どっと疲労感に襲われる。
MP:230/290
「こんな程度でMP(体内魔素量)が減るのか」
深呼吸し、体調を整える。
聖女(半神半人)とはいえ、
どうやら特別なのはスキルだけで…
中身はただの人間らしい。
「鍛えないと、魔王と対峙すらできないな」
と、ふと…内蔵されていた特殊スキルを
思い出す。
不老不死…とあったが…
本当に死なないのだろうか?
これもまた、興味に駆られ試してみたくなる。
敵…獣なぞいればいいが…
辺りを見回すと、木々の間から
茶色く動く存在が確認できた。
「あれは…野生の猪か?」
丁度良い。
腕試しには手頃な敵だろう。
上手く仕留められれば、今夜の食糧にもなりそうだ。
「試してみるか」
小娘が戦うには、やや大きい獲物な気もするが…
半神半人のこの体だ…何とかなるかもしれない。
そう自分に言い聞かせ、
そおっと、猪の背後へ近づいて行く。
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