195話 村の古い伝承では
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「イルさん、そこの煉瓦を取ってください」
「はいよ〜」
一方…イルとフィアロア、オセは
壊してしまった家屋の修繕を手伝っていた。
…と、言ってもフィアロアは口を出すだけだったのだが。
「フィアロア〜!お前も少しは手伝えよ〜」
「嫌じゃ!儂はか弱い老人なのじゃ!」
「ったく、こんな時だけ老人かよ〜」
「自分で壊した物は自分で直すのじゃ」
「分かってるよ〜」
イルは口を尖らせながら、煉瓦を運ぶ。
「それにしても…この地方の家には、
木は使われて無いんだね〜?」
イルは乾いた煉瓦を運びながら、修繕をしている村人の少年に話し掛ける。
「そりゃ、そうですよ!
この辺に木なんて育たないですから」
「そうなの?水源はあるのに?」
「ええ、地質なのか…なんなのか。
荒れた土に強い植物しか育たないです」
「…そっかぁ、それは色々大変だね〜」
イルは顔を曇らせるが、慣れてしまえば案外なんとかなると少年は笑う。
「それに、大昔に採れた大木ってのがあって…今でも、どうしても木が必要な時は保存してあるので、それを使うんです」
少年曰く、何百年も前の古い木だとか…
「ええ?そんな古い木が使えるの?」
「不思議ですよね?
この村に伝わる伝承で…世界樹の加護を授かった木なんだとか」
この村では、数多く…世界樹が存在していた時代の伝承が今でも受け継がれているらしい。
「ロマンがありますよね、東の砂漠が大昔は
豊かな森で…巨大な世界樹があった、なんて!」
少年の母親がオセと共に、茶を運んで来た。
イル達は、小休憩しながら村に伝わる伝承に
耳を傾けていた。
数百年前の昔は、東に豊かな森が広がり…
その恩恵でこの村も大層栄えていたらしい。
今では、魔物に襲われ見る影もなく衰退しているが…と、村人は寂しそうに語る。
「我が国は幸いじゃったのじゃのぅ…」
フィアロアは、自国を想い独り言を漏らした。
魔王が存在する事による魔素流出の影響…
勇者の失脚による影響…
この数百年で世界各地に様々な影響が出てしまったのだと、改めて勇者達は身の引き締まる思いを自覚するのだった。
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