175話 ダルムの町長
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ドワーフより、饗しをして貰ってから数日後…
リーンは、
ドワーフ代表に町長復帰を打診していた。
最初は、今更…己が出て来ても町民の信頼を得られまい…と、辞退していたドワーフ代表だったが…
「地下へ隠れたのは…
アーティファクトを悪魔から守る為もあったろうが…無関係の町民を悪魔の攻撃から守る為でもあったのだろう?
町民は、そんな町長の勇姿を知れば無下に跳ね除ける訳がないと思うのだ」
と、リーンに諭されてしまえば反論もできず…
「一先ず、町に出て…ギルドへ相談してみるのもいいのではないでしょうか?」
白の聖者からも後押しをされれば、もはや恥を凌いで地上へ出るしかなかろう。
「うお…眩しい…」
ドワーフ達にとっては、数年ぶりの地上だ。
種族柄、地下の方が居心地は良いのだが…
それでも、地上の新鮮な空気は美味く感じられた。
「色々準備もあるだろうからな、数日後に地上で落ち合おう」
リーンにそう約束され、
荷物を纏めて一族で地下から出て来たドワーフ代表らは…
「ランヤ町長…!」
懐かしい友人の声を聞いた。
リーン達一行が見守る中、駆け寄って来た人物は…
「おお…カーレイ館長か!」
駆け寄り、懐かしそうに声を掛けたのは、
以前、探索中に行った図書館の司書だった初老の男性だ。
「何も言わず姿を消して…すまなかった」
「いえ、良いのですよ…事情は聞きました。
…貴方が無事で何よりです」
「今度ゆっくり飲み合おう!新作のカラクリも見せたいしなぁ」
そうして、ドワーフ代表と図書館の司書の男性は握手を合していたが…
「ランヤ町長…」
また別の人物に声を掛けられる。
振り向けば、これも懐かしいギルド支部長の顔だ。
「ギルド支部長か…申し訳なかった…
町の事を押し付けてしまった…」
ドワーフ代表は申し訳ないと、頭を下げる。
「いや、状況的に仕方がなかったでしょう…
しかも町に潜伏していた悪魔が…かなりな高位悪魔だと聞き…
寧ろ、町長の判断が町を救ったとも言えますから」
ギルド支部長のそんな言葉に、ドワーフ代表はとんでもないと首を振る。
「全ては、リーン様方のお陰です」
ドワーフ代表の言葉に、ギルド支部長も肯首し…リーンに礼を取る。
虹色の冒険者プレートを持つお方…
このお方の事は…
ギルド本部から通達は来ていた。
…だが、詮索はせず、言葉も掛けず…存在を極力世間に吹聴してはならぬとの通達だった。
ギルド支部長は、リーン達へ目を伏せ礼を取った後、ドワーフ代表へ向き直る。
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