第7話 欠片 ——神代重工第三保管庫 収蔵品記録
≪登録番号 KM-0003-F に関する完全記録≫
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≪第三保管庫 収蔵品記録 — KM-0003-F / 最終更新:(日付は墨塗り)≫
| 項目 | 内容 |
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| 名称(仮称) | 八咫の鏡・欠片。通称「水鏡の破片」 |
| 保管状態 | 特製の木箱(桐材・漆塗)に収蔵。直接接触禁止。観察は木箱越しに行うこと。 |
| 接触時の記録 | 複数回の研究員による接触実験を実施。全員が「水のような冷たさ」を報告。物理温度は常温(18〜22℃)を示す。矛盾する。 |
| 特記事項 A | 鏡面に「映らない影」が観測される。光源・角度・環境に関係なく、鏡面の中央付近を動く影のような変動が断続的に記録されている。撮影困難(映像には記録されない)。 |
| 特記事項 B | 羽鳥家の血筋を持つ者(陽子、澪、雫の三名で確認)は、接触なしで本破片への反応を示す。具体的には「破片が近くにある時に方向を感知できる」と報告。メカニズム不明。 |
| 特記事項 C | 「境界体質」と記録された非羽鳥家の人物(対象者名:七海雫を除く当該人物)に対しても、軽度の反応が確認された。詳細はΔs記録との照合が必要。 |
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この破片が「鏡淵事件」との関係を持つかどうかは、現時点では確定できない。
ただし、破片の反応が強まった時期と、Δs値の急上昇時期の相関については、無視できない一致がある。
> 考察:この破片は「測定装置」ではなく、「接続装置」として機能している可能性がある。
>
> 羽鳥家の文献が言う「鏡は映すのではなく間を測る器」——
> それを現代的に言い換えるなら、「境界の状態を示すセンサー」ではなく、
> 「境界そのものの一部」であるということだ。
>
> 欠片が反応する時、境界が動いている。
> 欠片が沈黙する時、境界が固まっている。
> 欠片が——何かを映す時、境界は開こうとしている。
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> ★ 梓の手書きメモ(保管庫の扉に貼付されていた)
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> これを持ち出してはいけない。
> 研究の対象にしてはいけない。
> ここにある理由は、「管理するため」ではなく、「動かさないため」だ。
>
> 姉さんはそう言っていた。
> 「鏡の欠片は、どこにあっても境界を探す。
> それが集まろうとすることが、一番危ない」
>
> だから、ここに、一人でいてもらう。




