9 魔導機械。
九話目です。
どうぞ。
――ゴーレム。貴族でもないとそうそう見れるものではない魔導機械は、今アークたちの目の前に存在している。大きさは約3メートルといったところだった。
(なんだこれ・・・?ゴーレムか?)
「なんだこれ?なんのどうぐだ?」
「おい、勝手に近づかない方が・・・!?」
ディンが近付くと、動くものに反応したのか、その無機質なモノアイに光が灯りはじめた。
「おお~!ひかったぞ!」
3機のゴーレムはゆっくりと動き始める。ゆっくり、ゆっくり行く先は、
アークたちのほうだった。
「狙われてる!逃げるぞディン!」
「えっ?うわわわわ!?」
3機のゴーレムが放った光線がディンに迫る。
ディンは回避しようとしたが、完全には避けきることができず、腕にかすってしまう。腕からは人の身が焦げる独特な臭気が煙とともに発生する。外れた光線は床にあたり、金属でできた床が赤熱した。
「あつっ!?」
「ディン!?」
腕を押さえ蹲るディン。それも当然だ。金属を一瞬で赤熱させてしまう光線をかすっただけとはいえうけてしまったのだ。それでも叫びださないだけさすがと言える。叫ぶ余裕すらないのかもしれないが。
そしてそれを見ていたアークは・・・
(殺す!殺す!あのごみくず、僕の大切な人を傷つけやがって!全員まとめてスクラップにしてやる!!)
アークは激昂していた。他でもない、初めてできた大切な人を傷つけたのだから。
体を破壊衝動が満たす。ただただ怒りによって、アークは能力を使用した。
「マインド・リード、起動!!」
それからは早かった。
『マインド・リード』を起動したアークの中に情報が流れ込んでくる。
相手は機械、イドもエゴも存在しないが、これを作ったのは人、ならば何らかの命令が入っているとアークは考え、機械のプログラムを探し出す。
――見つけた。
ゴーレムのプログラムを発見したアークは、懐のナイフを抜き、一気に飛びかかる。狙いは、人で言ううなじに当たる場所。関節があるため他より脆く、プログラムが入力されている頭部と胴体を切り離せば、ただの木偶となるからである。
まずは腕まで跳躍し、腕から頭まで一気に駆け上る。頭部までたどり着けば落ち着いて関節部分に刃を入れ、てこの原理でこじ開け、配線を切断、すぐに隣のゴーレムに飛び移る、の繰り返しであった。
このゴーレムの弱点は、密着されると、有効な攻撃手段を有していない、ということであった。
なのでアークは一気にゴーレムに近寄ることにしたのである。
戦いが終わり、アークはディンのもとへ駆け寄って行く。
「ディン!無事か!?」
「う、うん。だいじょうぶ。」
「傷をみせてみろ。」
傷を見てみると、かすった部分が黒くなっているが、痛みがあるのでそう重症ではなさそうだ。しかし大事をとって、ここはひとまず戻ることにした。
なかなか上手にかけませんね・・・。