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【完結済】異世界召喚されたら魔王を倒す勇者なのに何故か恋人になったんですけど、何か?  作者: ユズ(『ラジ裏』修正版・順次更新中)


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2/11

第二話 初仕事は手を繋いで え?これ、本当に仕事なんですか?

気づけば、魔王とふたりで城下の通りを歩いていた。

今朝、王城に呼び出され、「魔王の視察に同行せよ」と言われ、仕方なく来たはいいが——

二人きりだなんて、聞いてませんけど!?


「良い天気だな! 絶好のデート日和だ!」

「はい? 視察ですよね?」

「細かいことは気にするな! おっ、あの店、串焼きを売ってるようだぞ。行ってみよう!」


手をぐいっと引っ張られ、気づけば露店の前。

……いや、ちょっと。腕、掴む力強すぎるんですけど!?


「はい、あ〜ん♡」

「いえ、自分で食べられますから」

「余が食べさせたいのに……」

肩を落としてしょんぼりする魔王。


「え、そんなガッカリしなくても……わ、分かりましたよ……」

「本当か? はい、あ〜ん♡(チョロいな……)」


今、何か聞こえたような……。


「どうだ? うまいか?」

「はい! 美味しいです!」

「ぐはっ……。笑顔が……笑顔が眩しすぎる……!」


鳩: クル〜(鳩2号:俺も後で買ってもらおう)


***


露店を抜け、一本脇道に入ると、魔王が足を止めてショーウィンドウを覗き込んだ。


「これはどういう店なんだ?」

「ここは宝飾品を扱っている店ですね。指輪やネックレスなど、着飾るためのものを売っています」

「着飾る? これに魔力などはあるのか?」

「ありませんよ? 自分のために買う人もいますけど、大切な人に贈ることも多いですね」


「大切な人……か。よし、入るぞ!」

「え? ちょっと待って!」


カランカラン♪


「ここにあるもの全部貰おうか!」

……出た。

そう、出たよ。こういうところ、ほんとに躊躇がない。


「そんなに贈る相手がいるんですか?」

「決まっている。お前だ。」

「え? 貰うの俺ですか!? しかも全部って!」

「お前以外の誰に贈るというんだ」

「は!? ちょっ……待って! せめて一つで!」

「余が選んでいいか?」

「それは……殿下が買うのですから」


そんな仔犬のような目で見られたら……

ますます断りづらいじゃないか……はぁ〜……。


「そうか!(本当にチョロいな、こいつは)」


鳩: クル〜(鳩2号:結局もらうんかい)


***


右手には、少し緑がかったブルーの紙袋に、光沢のある白色のリボンが上品に結ばれた紙袋。

結局、宝飾品を一つ選ぶのに三時間もかかるなんて……。

店の人に申し訳なかったな。


で、店を出てからはなぜか、魔王と手を繋いだままなんだが……。

なぜこうなった。


「おい、あの目の前のかわいい店はカフェか?」

「え? ……そう、みたいですね」

「入るぞ」

「また唐突に!?」


カランカラン──


ドアを開けた瞬間、店内に明るい音楽が流れていた。

どこか聞き覚えのあるような、賑やかで妙にテンションの高い曲だ。


(……いや、なんでこんな曲が流れてるんだ?)


店員「いらっしゃいませ! 本日のおすすめは、季節限定のふわふわパンケーキです!」

「本当なのか?」

「いや、俺に聞かれても……! 俺、召喚されてまだ二日ですよ!? そんなの分かるはずないじゃないですか!」

「なら、一番派手なやつにしよう」

「いや、なんでそうなるんですか!」


──そして数分後。


「美味しかったな」

魔王が満面の笑みを浮かべる。

「まぁ……そうですね」

思わず目を逸らしたその瞬間、

そっと指先が触れた。

絡められた手を振り払うこともできず、

ただ、胸の奥がくすぐったくて視線を落とした。


鳩: クル〜(鳩2号:記録・魔王、ふわふわに敗北。勇者、魔王の笑顔に敗北)


──それにしてもこのBGM……。

誰がどういう意図で流してるんだ。

いや、間違いなく狙ってるだろ。


 ♬ BGM:「バレンタイン・キッス」/Tomita Shiori × Ladybeard




【あとがき:王妃の執務室にて】


魔王がやってくる。

「勇者がまったくデートしてくれないんだ」


王妃は優雅に紅茶を飲みながら一言。

「そんなもの、仕事にしてしまえばいいのですわ」


王「は!?」

王妃「魔王が人間界を視察したいと仰るのでしょう? 護衛として勇者を同行させれば問題ありませんわ」

王「……まぁ理屈は通ってるが」

王妃「その代わり、貸し一つですからね」


鳩:クル〜(鳩2号:記録:魔王、デートのために大きすぎる代償)


王(小声で)「そもそも魔王も勇者も男……」

王妃「まぁ、陛下。ご存じありませんの? 魔王に性別はないのですよ」

王「……え?」

王妃「陛下は何もご存じないのですわね」



次回予告

王妃「さて、陛下。賭けの準備はよろしくて?」

王「はぁ!? また何を始める気だ!」

鳩:クル〜(鳩2号:王、すでに負けフラグ)


──次回、『王と王妃は賭け事がお好き?』

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