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短編エピソード9『火を吹く仲間?』
短編エピソード9『火を吹く仲間?』
土曜の午後、のんびりテレビを観ていた信吾と美沙の横で、ゴンちゃんが画面にかぶりつくようにして座っていた。
「ゴンちゃん、そんなに近くで観たら目が悪くなるよー」
美沙が苦笑しながら声をかけるが、ゴンちゃんは聞こえないふり。画面の中ではサーカスのパフォーマンスが始まり、火を操るジャグラーが大きく炎を吹き上げた。
「わあ……」
「きゅわっ!」
まるで自分のことのようにゴンちゃんが尻尾をバタバタさせる。目が輝いている。火の演出が気に入ったらしい。
「仲間だと思ってるのかな……?」
信吾が笑いながら言うと、美沙も「うん、顔が完全に“理解者見つけた”って顔してる」と吹き出した。
その日の夜。風呂あがりの信吾がリビングに戻ると、美沙の悲鳴が飛んできた。
「ゴンちゃん、やめてーっ!」
「きゅわっきゅわっ!」
ゴンちゃんが大きく口を開け、ふがふがと息を吸い込んでいる。その前には空のロウソクと、なぜかストロー。
「ちょ、まさか……!」
「火、吹こうとしてる!」
慌てて信吾がゴンちゃんを抱き上げると、ゴンちゃんは残念そうに「きゅぅ……」と鳴いた。
「テレビの真似しなくていいからな……!」
「今んとこ家が無事でよかったよ……」
その夜、ゴンちゃんはふてくされて信吾の枕を占領した。




