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22 中央広場の大きな建物達

先に伝えておきます。この話では、ストーリーが全く進みません。中央広場の描写ばっかりです。

 

 ギルドから中央広場のロータリーに出る。


「さてと、じゃあまずはタオル荘に装備置きに行くか……」


 すると凛がコートの袖をクイクイと引っ張ってきた。


「ん?どうした?」


「先に換金に行かないの?」


 ……えーっと……なんだっけ?ここで俺の物忘れスキル発動。


「……ほら。あのマッチョのおじさんの」


 ……ああ~あれか。ゴーズキの。


「ごめんごめん、忘れてた。交易所に行かないといけないんだったな……」


 俺がしっかりしてないでどうする。頭をぶるんと降って気をとり直す。

 

「えーと…交易所はっと……」


 地図を広げようとすると凛が「あれじゃない?」とギルドと大通りを挟んだところにある大きな赤レンガの建物を指差す。……確かに……そうかもしれないな…中央広場に面する大きな入り口の上に、くすんだ金色で天秤と剣が描かれた、赤い大きなな垂れ幕が掛かっている。


「そうだな……たぶんそこだ」


 馬車の流れの途切れ目を縫って赤レンガの正面に来ると、入り口の横に下がった小さな木の板に『交易所』と黒文字で書かれていた。……もうちょいデカく書いてくれよ……

 そんなことを思いながら交易所に入る。

 

 交易所もこれまた広い。ギルドと横幅は同じくらいだが奥行きは二倍近くはありそうだ。どうやら長方形の建物のようだ。

 奥のギルド一個分はあるスペースに毛皮や骨やらが積まれた所が見え、(せは)しく動き回る従業員らしき人や、大きなな気箱を搬入している人。帳簿を持ったお姉さんが行き来していて活気に溢れている。そしてその手前には建物を横で二分するような形でカウンターがあり、数人の受け付けお姉さんの所に商人?らしき人が数人並んでいた。

 俺達もそれに習って少し並んでいると直ぐに順番が来た。

 

「こんにちは。ご用件は何でしょうか?」


「あの……バズさんの要件で来たんですけど……」


 すると笑顔でお姉さん(またまた美人さん)が左手の平と右手の拳をポンッ!と合わせて


「はいはい!新人ハンターのリンさんとフブキさんでいらっしゃいますか?」


「ええ。そうですけど」


「わかりました、ゴーズキの素材代金ですね?」


 周りがガヤガヤしているために大きいな声で話すもんだから、『ゴーズキ』という名前に数人の従業員と他に並んでいたハンターが反応し、チラチラとこちらを見る視線を感じる。

 耳のいい俺にはカウンターの隅の方で「(……あれが噂の新人ハンターか?──)」「(──大して強くなさそうですけどねぇ…)」そんな事を話してる奴らがいることに気がつく。………そこまで反応することなのか?

 そんなこともつゆ知らず、お姉さんはさっさと小さな羊皮紙に判を押したり帳簿に何かつけたり、サインをしたりするとそれを渡してきた。


「はい、こちらがゴーズキの報酬金。200メガ。200,000バイトの引換書になりますので、銀行にて換金してください」


「はい。ありがとうございます」


 革コートのうちポケットにたたんで入れる


「またのご利用を!」


 お姉さんの言葉を背に、入り口から出ようとすると……


「お二人さん!こっちの方から行ったほうが早いわよ!」


 と呼び止められ、受け付けお姉さんの指差す方を見るとカウンター右端の所に下へ続く階段があり、『この先銀行』とかかれた木の看板があった。


「あ、ありがとうございます……」


 周りの視線を感じながら階段を下って行った……



***********



「へぇ~地下トンネルなんてあるんだな…」


「ギルドと交易所もこうやって繋げばいいのにね……」


「そうだな……」


 確かに。たくさんの馬車や人が行き交う大通りを通過するのは少し骨だしな。


 階段の段数は少なかったため、大して深く無いようだがトンネルの縁はしっかり木で補強され、つるつるとした白っぽい石の壁になっている。大通りの下を横断しているだけあって、少し長くてロータリーに沿うように少しカーブしている。

 ちょっと歩くと頭上からガラガラ、パカラッパカラッと馬車の行き交う音と、若干の振動が伝わってくる。


「やっぱり浅いな……」


「……崩れて……こないよね?」


「大丈夫だろ。コンクリートみたいなのと木で補強されてるし……」


 しかし凛は俺の言うことがいまいち信用出来ないのか……俺の左腕を右手で軽く掴んできた!

 わっ!チョッ!ヤメッ!心の中で腑抜けた声で叫びながら、鼓動が思わず速くなってしまうのを感じる。

 緊張しちゃうから!

 

……でも………正直嬉しいです………はい……


 そんな至福の時間は1分ほどで終わり、登り階段が現れた。

 階段を登ると、今度は交易所とうって変わってとても静かで、なぜかガラス窓もあるのに中央広場の音も全く聞こえてこない。

 ここはギルドより一回り小さいみたいだが、床はキレイな大理石のようなもので出来ていて、そのツルツルとした床にソロバンか何かをパチパチする音が響きわたる。

 

 そおっと歩い銀行の鉄格子付きの受け付けに行くと、俺がいるところと鉄格子を挟んだ所にある、机が沢山ならび職員さんが作業している中から、一人のおじいさん立ってが受け付けに現れた


「あの……換金しに来たのですが……」


……お姉さんじゃないのか……ちょっとがっかり。そんな失礼極まりないことを思いながら、貰った羊皮紙を大理石のカウンターに提示する。

 

「はい、承りました。ギルドの証明書カードの提示をお願いします」


 本人確認か……しっかりしてるな……当たり前か……

 ギルドから貰った証明書も提示する。


「カザネラ…フブキさん…ですね?珍しいお名前ですね」


「え、ああ…よく言われます」


 これは日本でもそうだった。なにせ全国に一家だけのようだし、その末裔が俺ってわけ。……そんなことどうでもいいけど。


「……はい。本人確認が出来ましたので、少々お待ちを……」


 おじいさんは奥の方に引っ込んで行ったが、直ぐに金貨が沢山乗った黒いトレイを持って戻ってきた。


「こちらが今回の報酬。200メガ。10メガ金貨20枚になります。お間違えの無いよう」


 へー…これが10メガ金貨か……1メガ金貨より一回り大きく、分厚く感じる。紋様は同じだが、左下の数字はきっちり10となっている。


「……あの……何か不足が?」


「あ、いえいえそんなことないです」


 また二人でまじまじと金貨を眺め回していた。……また同じような事言われちゃったよ……にしても20万円分か……この世界ではどうなのか分からないが、二人で何もしてなくても半月くらいは暮らせそうな額だ。


「結構な額だね……」


「まぁな…」


 まぁこんくらいの金なら普通に管理してたから、大して大きなな額だとは思わないけどな……

 するとおじいさんが


「……この際。口座を開設しませんか?多額のお金を家で管理するのも難しいでしょうし、最近なにかと物騒です」


 え?そうなの?平和そうに見えるけど…


「勿論。手数料等は一切頂きませんので、是非」


「そうだな……」


 まぁ特にこちらに負はないわけだし……安全のためにも


「じゃあお願いします……凛も作るか?」


 凛は首を横にふって


「私はまだいいや……お金の管理は風吹に任せるよ……」


「分かった……じゃ、俺の分だけで」


「ではこちらにサインして頂いて、身分証をお借りします」


 身分証を出して契約書を読んでからサラサラと羽ペンでサインをして渡す。


「はい、確かに」


 渡した契約書一瞥し奥の机にをしまうと、カウンターの奥に置いてあった手動のプレス機のようなものをガチャンッ!!として、銀色のプレートを持ってきて、俺のギルド身分証と一緒に渡してきた。


「こちらが銀行カードになります。こちらを提示して貰えれば、営業時間であればいつでもお金の預け入れ、引き落としができますので」


 へぇ~…この古い世界で銀行カードが出てくるとは思わなかった。


「ありがとう」


「早速ですが、預金致しますか?」


 そうだな……いくら服とか買いに行くっつっても二人で20万円分は多いだろうしな……


「どんくらいがいいかな…」


「5万円分くらいでいいんじゃない?」


「そうだな……じゃあ100メガ預金して後は手元に」


「承知しました」そういって100メガを持って奥に置いて戻ってきた。


 50メガづつ二人で分けてそれぞれポケットにしまう。


「それではまたのご利用を」


「ありがとう」「ありがとうございました」


 重い木の扉を開け、いきなりの喧騒に少し驚きながら今度はタオレ荘に向かった。










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