19話 勇者の涙
マコトはビューネの言葉を受け、顔を青く曇らせ、その場で崩れ落ちた。
「何故・・・どうして俺が・・・俺は勇者だ・・・勇者なんだ・・・」
途切れ途切れに呟くマコトの言葉にビューネ達は顔を見合わせ、マコトへと顔を向け
「私たちは、間もなくここを引き払います。貴方はどういたしますか?」
ビューネの言葉にマコトは顔を向け口をパクつかせると再び顔を下げた。
「姫様、ここに放置して行きましょう。彼を助ける義理は我々にはありません。」
「そうだぜ姫さん。こいつは挽回のチャンスを自身で不意にしただけの間抜け、俺らの足を引っ張ることはあっても助けになんかならね~」
ビューネは部下2人の言葉に考え込みマコトを見据え
「・・・そうですね。ここに放置するにしても寝ざめは悪いけど・・・我軍に対しても損害を与えていますからね。」
ビューネの言葉にマコトは更に項垂れ、ビューネがマコトへと背を向け歩き出すのをその場で見送った。
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どれくらい時がたったのだろうマコトのお腹が鳴り響く
「・・・何も・・・誰か! 誰かいませんか~」
耳を澄ませても返事は帰ってこない。
「・・・くそっ! くそぉぉぉぉ!!!!」
マコトは力いっぱい格子を殴りつけた。すると格子は音を立て割れる。
「! 良しこれで出れる!」
マコトは何度か格子を殴りつけ、自身が這い出るくらいの穴をあけ牢屋から出た。
出たマコトはまず武器になりそうなものを探し、洞窟内を彷徨うと、ここに連れてこられるまで自身が身に着けていた【騎士服】と【ショートソード】が2本、そして【レザーブーツ】を発見して急いで身に着ける。
騎士服は【スケルトン】との戦いで破損していた個所が修復され縫われており、また裸足であったにもかかわらず【レザーブーツ】が置かれていたことに涙した。
「・・・うぐっ【ショートソード】も手入れがされて居る。それにこれは・・・」
【ショートソード】を鞘から抜き放ち確認し終えると、それらが置いてあった場所に小さな袋が確認できた。袋の入り口を開けるとそこには油紙にくるまれた干し肉と水筒が1本、それに銀貨1枚、大銅貨5枚、銅貨10枚、計1600ブロン入っていた。
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シルドナを目指す大隊規模の一団の中心にビューネは居た。
「・・・アレで再起を図ってくれればよいのですが。」
「あれでも私はやりすぎだと思いますが・・・」
ビューネの言葉にネルビルが答える。
「この世界に呼んでしまった私たちのせめてもの慈悲です。」
ビューネは呟き【シルドナ】の騎士王国の旗がひらめく城門を見据えた。




