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ゴードンの朝の散歩

ゴードンが目をさまして、着替えをした。予定通り、近くの湖のほとりを散歩するつもりで、部屋を出ようとすると、ムーミンの人形が、「僕を連れていって」といった。「ぼくは、この辺の地理に詳しいから、きっと、役に立つよ」

「僕の朝食をねらっているだろう。」

「そんなことはしないよ」という。

ゴードンは、ときどき、予知夢をみることもあったので、なにか、このムーミンが、僕の朝食をたべるのは、確実なような気がした。


手提げバックに、ムーミンを放り込んで、バックから、顔をだせるようにした。


朝日が、鏡のような湖を照らし、荘厳なような風景の中を、ゴードンは一人散歩した。赤道直下のタンバ国やMITとは、まったく別の世界であった。妖精の世界という表現が思いつくが、ゴードンには、このような世界、風景を表現するための知識がなかった。カンカンと照りつけるタンバ国の昼間の暑さ、大草原に沈む夕日、漆黒の夜空のどんな記憶にも、当てはまらない世界であった。世界は、銀色で、しっとりしているそんななにかであった。まるで、異世界に来たような感じであった。


かなり、大きな湖であったのに、ゴードンは、1時間ほどで、一回りしてしまった。昨日、目に付けたおいたレストランを探して、入ると、真っ白な肌で、金髪の長身の女性が、まるで、女神のように笑顔をむけた。しかし、同時に、なんて、声をだせばよいのが、一瞬、とまどったようだった。


すると、バックの中のムーミン人形が、お早うといった。つづけて、ゴードンも、おはようといった。すると、長身の女性も、おはようといって、一端、止まった時間が、緩やかに動き出した。


ムーミン人形が、何を食べたいかと、ゴードンに聞いた。

ゴードンは、おいしいサラダと、スパゲティー、コーヒーというと、ムーミン人形が、注文した。

ムーミン人形を、テーブルの上において、料理の来るのを待っていると、ムーミン人形が、このレストランの名物料理を、手短に2つ、3つあげた。この湖でとれるお魚とエビの料理が有名らしい。タンバ国は、砂漠と草原の国なので、海もなく、大きな河もない。ゴードンは、魚料理やエビのようなものは、ほとんどたべたことがない。MITでも、ほとんど食べたことがない。どうも、魚やエビが、食べられるもののようにどうしても思えないのだ。だから、食べたいと一度も思ったこともないし、いままで、食べたことももないような気がする。たぶん、スープや煮物なかに混ざっているのは、たべたかもしれないが、魚の形のものや、エビの形のものをたべた記憶がなかった。


もし、魚やエビをそのままの姿で料理したものを食べたら、きっと、1週間ぐらい、夢でうなされるような気がした。


おいしい朝食をたべて、会計をしようとすると、ムーミン人形が、僕をレジの出してという。


長身の女性が、ムーミン人形の上に、なにかの機械をかざすと、認証されましたといった。

ムーミン人形が、ごちそうさまと、女性に挨拶して、ゴードンに手続終了といって、外に出るように促した。すると、キッチンから白人の長身の男性がでてきて、女性と並んで、「また、おいで下さい。」と、いって、送り出してくれた。

ムーミン人形が、「あの夫婦は、働き者だね。」と、いった。


ゴードンは、ムーミン人形が、この辺の事情をすべて知っているらしいことをなんとなく、理解した。


散歩を終わり、ノンキヤ社の研究所に出かけると、昨日、案内役をしてくれた社員が、出迎えて、いろいろ研究所の中を案内してくれた。

「ところで、我が社のトップシークレットのスマホは、びっくりしたかい?」と、聞いた?

「まだ、そのトップシークレットのスマホを見ていないのでなんともいえませんが」

「君は、今朝、トップシークレットのスマホを散歩につれていったよ。」

「え!、あのムーミン人形が、トップシークレットのスマホなんですか?」

「そうだよ。僕が開発リーダーなんだ。絶対、画期的なのに、開発会議では、製品化の話にはならないんだ。」

「ゴードン、君に貸してあげるから、次の開発会議で、絶対便利、絶対売れると、発言してくれるとうれしいな。」

「はあ、使ってみて、そう僕が思えたら、そう、発言します。」

「君って、堅物だね。MIT を追われたってきいたけど。」

「ちょっと、すごいことになってしまってね。」

「なんでも、 TEI-OU 3023 の3次元CPU の最初の原理を思いついたそうじゃないか。ここでも、なにか、画期的な発明、発見ができるといいね。」

「そうですね。この神秘な北欧の空気を吸って、このとぼけたムーミン人形を眺めていると、なにか、画期的な発明ができるかもしれません。」

「期待しているよ。しかし、このムーミン型スマホ以上の発明は、存在しないと思うけど。」

「質問ですが、このスマホは、自立型ではありませんよね。僕の行動がすべて、監視されているということは、許しませんからね。」

「その切り分けがかなりむずかしいが、基本的には、自立的で、サーバーに送られる情報は、非常に限られている。」

「そうですね。その切り分けが、一番、難しいかもしれませんね。」

「技術というより、法的な問題になってしまうかもしれないな。」

「その辺をうまくやらないと、盗聴器に扱いに区分されますよ。」

「そうだね。もうすこし考えてみるよ。」








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