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新CPU構想 MANDARA3 から TEIOU3023 の開発へ

アランの奈良めぐりの旅で、新たな着想を得た 新3次元CPU MANDARA 3 は、ゴードンの元に送られて、新たな進化を遂げていた。ゴードンは、この着想を、MITの先生や仲間に、話してみたが、理解してくれる様子がない。

一人興味を示してくれたのが、イスラエルから留学生のエバだった。エバは、イスラエルで、プロトタイプを作ってもいいかと、ゴードンに聞いた。MITで興味をしめてくれない以上、タンバ国で、生産できるわけもなく、ロジャー校長に、どうすべきか、相談した。後ろ盾も、産業も育っていないこの国での収入源は、ほとんどないタンバ国にとって、ゴードンたちのちょっとした思い付きに、イスラエルの会社は、破格の条件を提示して、製品化したいといってきた。ゴードンやアランたちが、3次元CPUを設計できるわけではない。3次元集積化と高速化のアイデアを思い付いたに過ぎない。


そのアイデアを具体化しようとしているのが、イスラエルの新興会社 TEI 社で、エバは、その女性社員に過ぎなかったのだが、思わぬことになったのだ。

なんで、こんな思わぬことに書くのかというと、国連地球温暖化防止委員会で、イスラエルとタンバ国の共同研究で、中国で製造をしようとしている 新CPU TEIOU3023 が登場することになっているのを、作者は最近知ったのだった。まさかの展開で、イスラエルTEI社のOU3023 CPUが、こうして完成し、中国での量産がいよいよ開始されることになったのであった。


もし、このことに成功すれば、タンバ国にもそのロイアリティとして、少なからずの利益をもたらし、ハイッテイル社のCPU牙城を突き崩しかねないことになる。それは、世界のコンピュータの有り方を根本的に覆しかねない可能性もあった。

しかし、コンピュータ業界の戦いは、簡単に覆るものではないのだ。OU3023が実現できたという事実は、それを実現できるという環境が、既に存在していたことを示していた。その優位性を維持するのは、単に特許という法的な力であって、技術の力ではないのだ。OU3023が、量産化されば、ハイッテイル社が、100個、1000個、10000個と購入して、分解し、テストし、あらゆる試験をすることは確実だ。そして、些細なミスをつつきだして、計算ミスをするとか、発熱が多くて、高速化できないとか、いろいろあらゆる欠点を見つけだすはずだった。宇宙船には、使用できないとか、つまらない欠点まで、言い出すに決まっているのだ。


TEI-OU3023 の最大の問題は、発熱処理だった。十分な性能を発揮するには、やはり、液体窒素のプールに沈めるしかないようだった。常温空冷では、想定速度の500分の1も出せない。それでは、到底ハイッテイル社の量産CPU の5分の1の能力になってしまい、CPUの冷却は大問題だった。そして、この問題は、国連地球温暖化防止委員会の格好の餌食になりそうだった。もちろん、ハイッテル社が、自分たちの脅威になりそうな新興企業の存在を許すはずもない。そこを生き抜くには、なんらかの独自の技術を待つ必要がある。


スコットが、タンバ国の代表として、イスラエルのTEI社と、特許、ロイヤリティなどの交渉を取りまとめていた。そのような席には、必ず、バージルが同席していた。

バージルの特殊能力は、イスラエルのTEI社が、契約書類の中に密かに忍ばせた、不可解で、タンバ国に不利益な条項の存在を、的確に指摘するのだった。バージルが、契約書を読んでいると、意味不明な文章が、赤字になって、見えてくるのだという。そこを、いろいろ聞いてみると、TEI社のたくらみが、おのずと明らかになるのだった。

バージルは、魔法使いのようでもあり、なんでも知っている賢者のようでもあった。


TEI社は、OU3023の量産化は難しく、特殊用途にしか、利用できないだろうといった。すると、バージルは、OU3023を空冷とか、水冷で冷やすのではなく、ペルティエ素子上にCPUを載せて、直接冷やす方法をどうかと突然提案した。TEI社は、本社で検討するとその場では返事をしたが、後日、液体窒素ではなく、ペルティエ素子とCPUを組み合わせた OU4023 型を研究すると言ってきた。


TEI社は、タンバ国の若造たちと、単なる契約の打ち合わせをしているだけなのに、次から次へと、新しいアイデアが飛び出しているので、驚いている。どうして、未開の国のようで、何の工業も技術もないタンバ国から、最新技術も飛び越えるような技術やアイデアが次から次と飛び出してくるのか、不思議だった。TEI社では、いろいろな問題が発生すると、タンバ国に行って、聞いて来いという冗談が、毎日のように聞かれるようになった。


タンバ国でも何か起きているのか、どうしてそのようなアイデアが出てくるのかは、まったく不明であった。どうやら、魔法使いがいるらしいという噂までたってきた。邪な心で、タンバ国にいくと、呪い殺されるかもしれないというので、タンバ国に出張する場合は、邪心の心がないか、瞑想してから、出張するのが、TEI社の習慣になった。





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