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時の旅人  作者: ユウ
8/21

第八話

僕は時の旅人。

ある旅の最中、僕は一人の少女と出会う。

少女の名前は相原里美。

里美のおにぎりは・・・地獄だった・・・。

僕はいらぬ誤解をうけた。

雨の降る日、里美は来なかった。

僕は還る決意をした。

再び、彼女は僕の前に現れた。



相原里美と別れた。

彼女は部屋に遊びに来てほしい、と頼んできたのだが正直迷っていた。

あまりこの時代の人間に情は移したくない。

いや旅人である以上は感謝こそすれど情は移さないようにする。

そうしないと別れが辛くなるからだ。


考え事をしていると見知らぬ男が目の前に現れた。


「・・・このっ、馬鹿野郎がっ!!」

「な、何だよ?」

「お前がっ、お前が・・・うぅ・・・くそっ!!」


男は暴言だけを吐いてどこかへ行ってしまった。

一体なんだというのだ。

別に酔っぱらっているわけでもなかったような感じはするが。

しかし、そんな男の表情はどこか悲しそうな表情だった。


とりあえず暴言を吐かれてはさすがにちょっと嫌な感じはする。

気を紛らわす為に明日は相原に会いに行ってみよう。

会うのはこれが最後だ。

明日にはその旨の話をして別れよう。

一応、彼女にも世話にはなっているから。


とりあえず寝よう。

いい加減にこのベンチも安らかなマイベットになってきた。

そして次の日の朝を向かえた。


僕は相原里美がいる病院にいた。

とりあえず朝早くはさすがに迷惑だろうと思ったから昼あたりに来てみた。


「あの・・・106号室の相原里美さん、いますか?」

「はい、相原里美さんですね」


受付の看護婦さんが何やらデータを見ている。


「え~っと・・・ときどきさん?」

「と・き・じ、ですっ!」

「あ、はい、時時さんですねっ、聞いています、中へどうぞ」


ったく。

この時時という名前。

自分では結構気に入っている名前なのだが、いかんせんまともに読める人があまりいないのが困る。

106号室だから1Fにあるのがありがたい。

いちいち階段とかエレベーターとかは使いたくないからな。

106号室の前に来る。

知ってる人の部屋なのになぜか緊張する。

当然ながらノックをする。

着替え中だったらやばいからな、それはそれで嬉しい気もするが。


「はい?」

「時時だけど」

「あ、時時さん、どうぞ」


中に入って部屋を見回す。

別に変な考えがあるからではない事を伝えておく。

別に不思議な物はないけど・・・唯一あるとしたら病弱な少女に似合わない自転車か。


「これは?」

「あっ、それ・・・パパが勝ってくれたんです・・・まだ私が元気だった頃に、私・・・自転車好きだから」

「へ~、それは意外な趣味だな」

「だって良いと思いませんか、風を切って走っていると・・・まるで風になったようで」

「ならバイクのが良くないか?」

「バイクは環境に宜しくないです!」


少し安心していた。

昨日見たときよりは体調も良さそうだった。

何より1ヶ月前に会っていた頃のようにお互いにすんなりと会話できていた。


「私もいつか乗りたいなぁ・・・」

「乗れるさ、元気になればさ」

「・・・なれるかな?」

「なれるさ、病は気からっていうだろ」

「・・・そうですね!」


こうやって話をしているとやはり別に急いで還ろうとしなくても良いのではないかと思えてくる。

事実、そう思わせる魅力が彼女にはあった。

今までこんな感情を人に持った事はなかった。


「今日は時間だから・・・また良かったら明日にでも来るよ」

「良いんですか?」

「あぁ・・・」


その日は病室を後にした。


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