第五話
僕は時の旅人。
ある旅の最中、僕は一人の少女と出会う。
少女の名前は相原里美。
里美のおにぎりは・・・地獄だった・・・。
僕はいらぬ誤解をうけた。
その日は朝から雨が降り続いていた。
この雨に何を勘違いしたのかカエルやカタツムリがひょっこりと現れていた。
「おいおい、お前ら出てくるのが少し早いぞ」
だがカエルやカタツムリが返事を返してくれるわけがない。
雨の日だからか公園には人気も無かった。
当然だ、雨の日にまで公園に来たいと思う奴なんているわけがない。
現に相原だって来る気配もない。
やっぱり昨日の一件で引かれてしまったかな。
それはそれでちょっとショックだが、これでいつでも時空間に戻れる口実ができたわけだ。
しかし時空間へはまだ還れなかった。
このベンチは良い場所だ。
近くに大きな木があるから傘代わりになってくれている。
これで雨はしのげる。
腹も減ってはいたが時空界の人間は空腹では実は死なない。
それは人間にして人間にあらず、というところからだ。
僕たちの体はこの世とあの世の狭間に生きる。
生身の人間であり、その存在は幽霊と同じ。
だが別に不老不死なわけではない。
とりあえずは餓死はしないって事だけを覚えておいてほしい。
空腹の苦痛だけはあるけどね。
・・・・・・。
・・・。
いつもの時間を大幅に過ぎていたが相原は来なかった。
何もする事もないし少し寝るかな。
意外と疲れていたのかすぐに眠る事ができた。
とある夢を見たのだった。
男と女がいる。
理想実現の為に戦い続けている物語だ。
男は武士で女は姫だろうか。
お互いの身分により叶わなかった恋。
身分がない差別のない国を創ろうと彼らは邁進していた。
しかし身分や差別なんてものは消える事はない。
身分や差別なんて小さいものから大きいものまであるのだ。
彼らの理想はただの綺麗事だ。
いや・・・僕が彼らを避難する事はできないか。
その夢の中の二人を見ていて思い出した事がある。
いや数日前までは覚えていたはずなのだが何故か忘れていた事だ。
僕の時の旅人としての旅の目的。
それは時空間に伝わる伝説の時の女神と呼ばれる「メグトキルの少女」を捜す事だった。
メグトキルというのは時空間に伝わる伝説の呪文。
その呪文を唱えると現在、過去、未来、ありとあらゆる時間を支配できるという伝説がある。
勿論だがそんなものは、ただの伝説かもしれない。
それに僕自身、仮にメグトキルの少女を捜し当てて何をしたいのかも答えをだせていない。
ただ僕には一つの望みがあった。
その望みをメグトキルの呪文で叶える事ができるのではないか。
そんな淡い期待を抱いていた。
しかし仮にも伝説の少女、ただのいっぱしの旅人がそんな子を見つける事ができるとは思えない。
・・・・・・・・・。
・・・・・・。
・・・。
目が覚めた時には雨も上がっていた。
辺りは真夜中だ。
公園の時計を見ると深夜3時。
おいおい、寝過ぎだろう・・・。
まだ寝ぼけているその頭で一人の少女の事を思い出していた。
終