第六話
僕は時の旅人。
ある旅の最中、僕は一人の少女と出会う。
少女の名前は相原里美。
里美のおにぎりは・・・地獄だった・・・。
僕はいらぬ誤解をうけた。
雨の降る日、里美は来なかった。
あの日以来、相原里美が僕の前に姿を現す事は無かった。
あれから1ヶ月。
季節は立派に夏と呼べる暑さになっていた。
公園の池には噴水が出ていて、そこには小さな子供が母親あるいは父親と共に楽しそうに遊ぶ姿がある。
「ったく、子供の体力は底なしだからな・・・」
そんな光景を見ていて鬱陶しく感じながらもどこか嬉しい感情があった。
いや羨ましかったのかもしれない。
僕の・・・僕の両親は、まだ僕が小さい頃に死んでしまった。
いわゆる病気や交通事故ではなかった。
立派な殺人事件だった。
まだ時の旅人ではなく人間界で普通の人として暮らしていた幼き日の僕。
両親の顔は正直覚えていなかった。
いや正確には忘れたのだ。
・・・両親は強盗に殺された。
ただの金目当ての強盗だ。
その時の惨劇の場は今でも覚えている、だからこそなのかもしれない。
あまりに酷かった「それ」を思い出さないように頭が記憶を深く深く押し込めたのかもしれない。
だから僕は両親の顔は知らない、というよりも本当に覚えていないのだ。
僕は・・・両親にただ遊んでもらいたかっただけなのだ。
そんなどこにでもある小さな夢を叶える事もなく今こうして生きていた。
古い昔話だ。
それにもう何年も前の事だし、今は時の旅人としてなんだかんだで楽しくやっている。
時空間に還れればそれなりに仲の良い友人もいる。
だからもう還れる事ならば時空間に還ろうと思っている。
確かに数日間だが、相原里美という少女に出会った。
だが、それだけだ。
こんな風に人と接する事なんて今まで何回もあった事さ。
だから・・・、だから次のチャンスには還ろう。
きっとそう遠くはないさ。
僕はそう決心した。
あの決心の日から一週間。
まるっきり時空間へ還れるような事がない。
やはり時空間へ何かあったのだろうか。
どっちにしても1年間も待てば強制的に還れるのだ。
焦る必要はないか。
確かに強制転移させられれば代償としてこの時代から5年間の間は動けなくなるが、メグトキルの少女を捜すのに5年間の空白なんて小さな事だ。
時の女神を捜すのに5年間なんて小さな時間を気にしていたら体がいくつあっても足りないのだ。
それにこれは、もしもの手段だ。
あと少しすれば時空間と人間界のパイプラインが繋がり僕は還る事ができるだろう。
それまでは暇になるが仕方がない。
いや、こんな公園のベンチで何も待つ必要なんてないか。
この時代を少し堪能してみようか。
1、よしっ、行くぞ!
2、よしっ、ベンチ野宿だ!
3、よしっ、寝よう!
「よしっ、行くぞ!」
つっこむ気もないので選択肢については気にしないでおこう。
下手につっこんだら選択肢が調子づくだけだ。
と、いっても地形がまるっきりわからないからあまりわからないとこに出歩くのはやめておこう。
知っている場所といえば学校、保育園、山などがあるが・・・。
「よし、山に行ってみよう」
何か食べられる草とか木の実があるかもしれない。
学校とか保育園に行っても変な目で見られるだけだ。
この世界では身元不明人なだけに警察沙汰だけは絶対に避けねばならん。
僕は山に向かった。
終




