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僕らは天才じゃない  作者: 七寒六温
19/31

(鈴木 俊哉)

「はぁ? 芽郁ちゃんに決まってんだろ?」

「あの透明感、可愛さに気付けないとかまだまだお前は子どもだわ。まあ子どもだとは思っていたけど」


「あ、芽郁ちゃん? あ、あの人はね、好みが分かれる顔してるよね? 好きな人は好きなのかもしれないけど」


「はぁ? お前の好きな環奈ちゃんの方こそ、可愛いとは思えないけどな。正直 どこが可愛いの? 一回落ち着いて見てみろって」


「全てだろ!」

「あの大きな目に白い肌、笑った時のえくぼ!」

「可愛い以外にどう表現すればいい?」


「そ、それは、芽郁ちゃんも同じだろ!」 

「芽郁ちゃんを可愛いと思えないなんて、本当にお前は男か?」

教室に入ると岸と尾崎が好きな芸能人の話を巡って揉めている。2人が喧嘩したところで、その芸能人たちには何も影響はない。2人が喧嘩していることを知ることもない。


「分かった!」

「鈴木に決めてもらおう! 芽郁ちゃんと環奈ちゃんどっちが可愛いかをな!」


「ああ。まあ、2対1で芽郁ちゃんに軍配が上がるだろうけどな」


「なあ鈴木、お前はどっちが可愛いと思う?」

2人の喧嘩に巻き込まれた。どっちが可愛いか話し合っても、らちがあかないと思い、俺を含めることで、多く票が入った方を勝利にすることにしたんだろう。


「だからさ、芽郁ちゃんと環奈ちゃんのどっちが可愛いと思うんだよ?」

いや、俺は千春ちゃん派だ。

2人の女優さんたちはどちらも可愛い。けど芸能人っていうのは、別の世界にいるものと思っているから、芸能人の中に本気で好きって思えるような人はいない。可愛いとか綺麗とかそういう感覚は普通にあるけど。


「なあ、どっちなんだよ?」

「お前も男なら、どっちが可愛いとかあるだろ?」

どちらか答えなければならないが難しい。芽郁ちゃんに投票したら喜ぶのは岸。環奈ちゃんに投票したら喜ぶのは尾崎。どちらを選んでもどちらかには文句を言われるだろう。


「じゃあ、芽郁ちゃんで」

芽郁ちゃんにしたのは、芽郁ちゃんの方が少しだけ千春に似ているから。そして母が、彼女が主演していたドラマの大ファンで俺も一緒に見ていたから、どちらかというと芽郁ちゃんの方がよく知っている。


「だよなー、そーだよな芽郁ちゃん派だよなー。分かってる、さすが分かってる」

「可愛いよな、可愛いよな 芽郁ちゃん」


「はぁー?」

「鈴木の目も節穴かよ、普通は、環奈ちゃんだろうよー 意味分かんないわー」

喜ぶ岸と悔しがる尾崎。

恐らく世界一 小規模で、どうでもいい争いが終わった。


「何でだよ、環奈ちゃんの方が可愛いだろ!」

尾崎が悔しがっている意味が分からない。

俺が、芽郁ちゃんに投票しただけ。

これで勝敗が決まる理由も分からない。第一どちらとも可愛いのは変わんないし。

岸は芽郁ちゃんが好きで、尾崎は環奈ちゃんが好き。それだけのこと。それでいいじゃないか?何が不満なんだ。


男は、くだらないことでも何かと競いたがる生き物ではある。おまけにコレクション欲も男の方があるから、トレーディングカードやソーシャルゲームは、男の方が受けがいい。

欲しくなくてもレアって聞くだけで、なんか当ててみたくなるし、手に入れて自慢したくなる。そして後で凄く後悔する。


「2人は、彼女欲しいとは思わないのか?」


「彼女?」

「芽郁ちゃんが彼女になってくれたら死ぬ気で勉強する。いい大学に入って、いい企業に入って、大金持ちになって、芽郁ちゃんのことを幸せにする」


「へ? お前が?」

「この学校でも下から数えた方が早いお前の成績でいい大学になんかいけるわけないだろう? 大金持ち? 無理無理、そんなの夢のまた夢」

愛しの環奈ちゃんが負けたことが気に入らなかったのか、けんか腰に話す尾崎。


「何だと? まあお前はいいよな!」

「環奈ちゃんレベルならそこら辺に山ほどいるだろ? 似たような子を彼女にしておけばそれで満足だろ? でも、芽郁ちゃんレベルの子はそこら辺にはいないからな。芽郁ちゃんは、ザ・芸能人って顔しているから、なかなか見つからないからな~」


「なに~~!」

「おい、訂正しろ、今の発言を訂正しろ! 環奈ちゃんをそこら辺の女たちと一緒にするな! 環奈ちゃんだって、ザ・芸能人って顔しているだろ? それにな環奈ちゃんは、演技力もあるんだぞ!」


「いや、演技力も芽郁ちゃんの方が上です~。今年のブラックリボン賞は……今年のブラックリボン賞は、芽郁ちゃんでした~」


「はい残念!」

「それをいうなら、ブラックリボ賞 環奈ちゃんは1年前にすでに受賞済みです~」

「それに、環奈ちゃんは性格もいいからな」


「は?」

「何でお前が、彼女の性格を知ってるんですか~? 知り合い? 違うよね? 違うのに、何で分かるん?」


「バラエティ番組出てる姿やコマーシャル見てたら、性格いいの普通に分かるだろ?」


「勝敗はつきました~!!」

「あなたの環奈ちゃんは負けたんです!!」

熱くなった2人は止まるどころか、言い争いがヒートアップしている。解決したんじゃなかったのか。まあ、自分の好きな芸能人にそれだけ誇りを持っているというわけか。でも、俺が聞きたいのはそういうことじゃない。


「終わり終わり、とりあえずその話は終わりで。俺がしてるのは、芽郁ちゃんや環奈ちゃんが彼女になるって話じゃなくて、現実に彼女とか欲しいのかって話で、芸能人の話は今はしていないよ」


「彼女? そういうのなんか実感わかないっていうか、環奈ちゃん見てると他の女子が可愛く見えないっていうか、なんていうか、普通じゃん。ここで決めていいのか俺?」 

「妥協で決めるくらいなら、本当に好きだと思える人が出来てからでいいかなって。ほら、岸も鈴木も彼女いないし、今が楽しいからそれでいっかなって感じ」


「俺は、彼女は欲しいとも思わないけど、欲しくないとも思わない」

「告白されたら考えるけど、残念ながら俺が、告白されるとは思えないし。だからといって、自分から告白してまで付き合いたいと思うような人はこの学校にはいない」

「芽郁ちゃんのような可愛い子がいれば恥を忍んででもすぐに告白するよ、フラれようが、傷付こうがすぐにね」


「2人ともすぐすぐには、彼女は欲しくないってことか」

2人は好きな芸能人のことは熱く語っていたが、本気で今すぐには彼女を欲しいってわけではなさそうだ。これは、ただ強がっているのか、本心なのか、どちらなのかは分からないが。


「鈴木は結局どうすんの?」

「前に、あんなこと聞いてきたってことは、好きな人いるんだろ? でその好きな相手は他の人が好きなんだろ?」

好きなことがいるんだけど、どうした方がいい?という質問を2人には前にしていた。その時はテキトーな回答しか返ってこなかったけど、気にはかけてくれていたんだな。


「そうだよ、それどうなったんだ?」

「結局その相手呪い殺すのか?」


「今、急いで告白しても無理だろ?相手にも好きな人がいるっていうなら」


「いや、そうとも限らなくない?」

「仮に好きな人が相手にいたとしても鈴木が告白して断られる確率は100%ってわけではないんじゃないか?」

「本当は好きな人が他にいるけれど、鈴木に告白されて、鈴木も悪いやつじゃないから、鈴木でいっかって、OKしてもらえるかもよ?」


「え? そりゃ、ダメだろ? なんも嬉しくねーじゃん。妥協でOKもらえても嬉しくねーよ」


「ふん、これだから甘ちゃんは……」 

「大事なのは結果だ結果。YesかNoかのどっちかだよ」

「それにな、最初から両思いで付き合うカップルなんて少ねーんだから。最後どうなるかだから、始まりはどんな風でもいいんだよ。犯罪行為じゃなければな。OKをもらえれば、それだけで十分」


「はぁ?」

「付き合ったこともないお前に何が分かるんだよ?」

また、尾崎と岸が言い争うことになった。

なぜ2人はこんなにも意見が食い違うのは相性が悪いのか?いや、こんなに言い争いをするのに一緒にいるってことは仲のいい証拠だな。


「分かった、分かったどちらの意見も参考になったから、それくらいにしといてくれ」

俺に好きな人がいると知っていて、その相手を誰かは聞かずに相談に乗ってくれているのは、2人の優しさか。


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