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第9話 あたしがヒロインよ2

もう一人の女主人公のオレイヌ嬢が書いているうちに勝手に動き出しました。最初にこの話を書く時に決めていた道筋通りに、この先の話が進めばいいのですが…。結末が変わるかも…と思っています。


宜しくお願いします。

 そう、私が甘かったわー。


 ヒロインである私も、悪役令嬢であるあの子も、ゲームの強制力に翻弄される事になるとは思っていなかったんだよねー。


 でなきゃ、貴族の子女が通う学園に入学した途端、寮に入った私が一人で起きれなくて寝坊したから、あわてて、朝食になるパンを口に目いっぱい(くわ)えて走っていただけなのにさ、ゲームで見た通りのイケメンなレオ王子と私が出合い頭にぶつかるなんて、思わないじゃんか!


 まさに、ゲームのオープニングのまんま!!寝坊しないように、昨日も早く寝たんだよー!おかしいよー!


 レオ王子の側近候補の後ろに控えている男子もさ、あたしを見て笑っているだけで、助け起こしてもくれないんだよー、ケチ臭いわねー!

 あたしは地面に座り込んで、パンを食べてただけなんだけどー!お腹がすいたら、動けなくなるんだからねー!ご飯が食べれないのは、きついんだぞー!


 げげっ!よく見ると、あたしを笑っていたのは公爵家嫡男と伯爵家で将軍の息子じゃんか!ヤバいー!!


 どこまで、ゲーム通りになるのーーーー?!!


 これで、公爵令嬢に文句や、いちゃもんをつけられたら、まさに!ゲームの通りに完璧じゃんか!


 …あ!公爵令嬢が来た、わぁ!目の保養だわー。

 でもでも、あたしの心の方の準備が出来てないんだけどぉーーー!!


「皆様、ごきげんよう。ここにいるのは紳士ではなかったようですわね。

 朝から、ぶつかったご令嬢を助け起こさないで、その上、見世物のように女性を扱い、あざ笑うなんて、これが高位貴族なのですか?本当に最低な殿方ばかりですわね!


 そこのご令嬢、身体は大丈夫ですか?

 まったく!気の利かない男性ばかりで、嫌な思いをなさったでしょう?

 けれど、私に免じてこの場では許していただきたいのです。ごめんなさいね?」


 あたしは、公爵令嬢で悪役令嬢になる筈の彼女の手を借りた。

 彼女は私の手を握って、立ち上がる手伝いをしてくれたんだ。

 その上、彼女は、私の制服のスカートの汚れまで手で(はら)ってくれました!優しーい!


 見ているだけで、助けもせずにあたしを笑っていただけの人や、私をそのままにして知らない振りをしていた人なんかよりも、彼女の方が言う事も行動も男前だったわ!


「ありがとうございます。」

 彼女に向かって、私はすぐに感謝の意を示すように、頭を下げてお礼を告げたんだ。


「いえいえ。はじめまして。私、エンディス・キャトルフィーユ公爵令嬢ですわ。これも何かの縁ですし、宜しくお願いしますね。」


 ちょこんと恥ずかしそうに頭を下げた彼女は、それはもう、めっちゃ!可愛くてキレイだった!


 何これ!何これ!あたしよりもよっぽどキレイじゃんか!どっかで見た絵の中の女神様みたいにキレイ!

 これはテンションがぐぐっと上がるわー!朝っぱらから良いモノが見れたわー!


 はっ!

 あたしも挨拶を返さないと!

 高位貴族の方からお声がけされたんだから、しっかりご挨拶しないと!


「本当に助かりました。私もキャトルフィーユ様とお会い出来て光栄でございます。

 私、オレイヌ・ダットン男爵令嬢と申します。こちらこそ、ご迷惑をかけないように気を付けますので、宜しくお願い致します。」


 彼女の真似をして、ちょこんと頭を下げてみましたよー!


 ん?彼女から、可愛いわ、これじゃ勝てないって聞こえた気がするけど、まさか?よねー?!


 ちらっと男性陣の方を見ると、3人共、顔がほんのり赤かったよ?何だかごにょごにょ言ってたようだけど、彼女の次に発した一声で、入学式が行われる講堂へ彼女と一緒に行く事になったんだー。


「入学式がもう少ししたら始まりますわ。新入生の私達は、式の前には講堂の席に座って待ってなくてはなりませんの。ダットン様も私とご一緒致しましょう?」って。


 美少女からのお誘いに「はい!ご一緒させてください!」とあたしはすぐに答えてましたよー!役得!役得!


「わ、私達も一緒では駄目か?」すかさず彼女に声をかけて()いてきた情けなく頼りなさそうな攻略対象者達。


 え?あんた達も来るの?遠慮して欲しいなぁ。あたし、こんな美少女の友達が欲しかったんだからさー。

 その上、彼女の友達になれたら、彼女の家の格式が高いから、あたしがいじめられる心配もないんだよー?

 絶対、この()とお友達になりたいんだから、あんた達は、あたしの邪魔をしないで欲しいわー。


 私の予定が狂うじゃん!

 攻略対象者を攻略する前に、自分の足場を固めておきたいんだからねー。

 今はまだ一緒に行動するのは駄目なんだよー!結婚するなら、今よりもお金持ちの家がいいんだからー!


「皆様のお誘いは、遠慮いたしますわ。

 私、学園では女性のお友達を作りたいんですの。だから、殿下方と一緒に講堂へ行くのは辞退いたします。」


 おお!迫力ある笑顔!で、彼女が断ってくれた!ひゃー!王子相手でも、引かない姿は凄いなー。


 私がさ、見劣りするような容姿のお友達を連れ歩くと、引き立て役にしているって陰口を言う子が前世でもいたからさ、ここの学園でもそういう子が増殖すると思うんだよねー、多分。

 あたしの顔が下位貴族には少ない可愛い感じだから。

 中の上ってあたりの整った顔してるとね、やっかみも結構されるんだよねー。お母様もね、お父様と結婚してからもしばらく、やっかまれたって言ってたっけ。

 うん、自分達よりもちょっとだけ上の所がある人を自分達とは違うんだって、責めてイジメるのが女だからさ。油断ならないよ。


 その点、キャトルフィーユ様ならさ、私よりキレイなんで、そういう陰口や、やっかみも湧いてこないと思うんだなー。そんな心配がないのは、あたしも安心なんだよねー。


 彼女と一緒に講堂へ向かって歩いていると、彼女のキレイさで、すれ違う人達の目を()いているのが良く分かるわー。と、オレイヌは素で、そう思っていた。


 すれ違う人々が見ていたのは、エンディスとオレイヌのキレイ系美少女と可愛い系美少女の2人が揃って仲良く歩いていたからなのだ。

 だが、どっちも自分の容姿は、貴族には有りがちな容姿だと思っているので、あんまり気にしていないだけなのであったが、2人は気付いていないと言ったような風情でいる。それもまた人目を惹くのだが。


 レオ王子も側近候補も、2人の美少女と一緒に歩いて、男としての優越感に浸りたかったようだが、エンディスがすげなく断った為、2人の様子を見ながら、少し離れた位置から2人の後ろを歩いて付いて来ていたのだった。


 転生者と言うのは、こんなに鈍感なんだろうか?と首をひねる者がどこかにいて、見ていたかもしれない。

 その頃のオレイヌは、エンディスのキレイさをうっとり盗み見ていたけれど、エンディスもオレイヌの可愛さを盗み見ていたが。


 あたしはさ、色々な話をしながら彼女と歩いていたんだけどね、あ、講堂でも隣同士に座って話したんだよ。

 彼女の方からあたしと友人になりたいと言ってくれたし、エンディと呼んで欲しいと言われたので、あたしからも、オレンと呼んで欲しいと言えたんだー。無事、お友達になれましたー。


 そうしたらね、エンディがボソッと一言。


「乙女ゲーム」って言うから驚いたけど!

「ゲスいヒロイン」ってあたしも答えたんだー。

 エンディもびっくりした顔で、あたしを見たから、笑っちゃったよ!


 2人して、気が付いたら無言で握手してた。上手くいけば、あたしも彼女もここで幸せになれそうじゃんか!


 あのゲームの中の悪役令嬢の結末がさ、元々、声を吹き替える仕事でシナリオを渡して貰えて読んでいたからさ、どれもこれも結末が酷過ぎるって思ってたんだー。

 あそこまで酷くしなくてもいいんじゃないのって思えていたから、エンディをあたしなりに守れたらさ、あたしも自己満足出来そうじゃん?


 その上で、ヒロインも悪役令嬢も幸せになれたら、ゲームよりもハッピーじゃんか。うん!その路線であたしは進んで行こうかな?


 講堂での話も終わって、教室へ移動したんだ。


 前世の中高の教室みたいな狭い感じじゃなくて、大学の大人数が入る広くて、授業を聞く生徒を収納出来るようにさ、生徒の座る席には段差があって、ずらっと階段式の席と机でね、教室内に声が聞こえるようにマイクがあったんだ。

 この教室が、あたし達新入生専用の教室だったよ。


 エンディが言うには、この教室は上位の成績の者だけで、それ以外は、あとの2クラスに分けられているんだと教えてくれました。


 そっか。全部で、3クラスあるんだねー。と言ったあたしにね、頭の悪い貴族が誰なのかを覚えておいて、将来、上手く使い回す為のクラス分けだって噂があるんだともエンディがぼそっと言ってた…。貴族って怖ーい!


 教室ではこの教室専任の教師、要するに、担任の先生の紹介と明日以降の授業の話をされたので、そこで解散となりました。


 あたしは、さくっと寮に帰って、昼寝でもしようかと思ってたんだけど、エンディがね、お昼を一緒にどうでしょう?お話をいっぱいしたいの。って誘ってきたんでー、行きますっ!(しゅたっ!!)


 美少女のお誘いを断るのは勿体ないですもん!公爵家のお嬢様だから、お昼も良い物が出そうだし!デザートもお茶も楽しみ!!るるん♪


 あたし、エンディの家の名前、明日になったら覚えていられないかもしれないなー。エンディの本名も覚えてなかったからなー。これも、ぶっちゃけておこうっと!どうせ、これから洗いざらい話す事になるんだろうし。ま、いいっかー。

誤字脱字報告を初めて受けました!ありがとうございます。助かりました。


応援の感想をありがとうございました。嬉しいです。

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