第27話 あたしはまだヒロインよ。あたしがヒロインのままで悪かったわね!
エンディスがオレンの事を考えていた同じ時間、オレイヌもエンディスの事を思い出して色々と考えていた。
この空の下、エンディも、あたしの事を考えていてくれてるかなー?
あたしがエンディと出会って友人にならなければ、あの粘着王子と結婚していたんだよねー。多分。
あたしにとってはそれこそバッドエンドみたいなものじゃん!あんなのと結婚しなくて済んで良かったー!
でも、物語の強制力がなくって良かったわー!助かったー!
『…ジ…ジッ…あ…は初め…やり直し…希望…すか?』
え?!空耳?!まさか!ここで強制力が?!嘘っ?!どこから声が聞こえてくるの?!
『…なた…じめ…やり…を…します…?希望…なら、今ここで叫んで…さい。』
や、やだ!希望しない!なんで?!どうして?!「希望しない!!嫌よっ!!」はぁはぁ。
『ヒロ…は…しない…悪…令嬢…も尋ねま…ょう。』
嘘!エンディに聞いてもあたしと同じよっ!やめてっ!!
『規則…ので…ないのは…違反に…ます。』
規則違反?!なにそれ?!誰が決めてるのよっ!?やめてっ?!
『…ジ…通信終了…ジッ…』
あああああ!
バタンッ!どうしたオレイヌ!
あたしの部屋に飛び込んできた兄の顔を見て、すうっと気が遠くなった。
あたしが気が付いたのは、暗かった空が明るくなっている事と自分のベッドの上に自分が横になっていた事だけだった。
あたしのベッドの端っこの上には、兄上が突っ伏して眠っているのが目に入った。
心配した兄様が、あたしについていてくれたんだって理解したのと、外が明るくなっていたし、お腹がぐぅぐぅ騒がしく、空腹を訴えている事だけがここにある事実だって思った。
あたしが起きたのに気付いた兄様の話をあたしの為に用意された食事を食べながら、あの日の夜の事を聞くと、兄様が答えてくれた。
あの夜、あたしが叫んだ声が聞こえて部屋が近かった兄様が駆けつけたそうだ。呼びかけても返事がないので、あたしの部屋に入った兄様が倒れそうになったあたしをとっさに抱きとめたと。
そこから高熱を出したあたしは2日間、目を覚まさなかったそうで、その間にあたしを隣国へ連れて行きたいと訪ねてきた第1王子様にあたしの状態を見てもらって、同行出来ない状態なのだと断わったそうだ。
2日間も飲み食いしてなきゃ、そりゃもの凄くお腹がすくわよねー。うんうん。
兄様の話は続いていたので、そのまま聞いていた。
王子様はあたしの状態を見て、無理だと理解したそうで、そのまま、隣国へ向かったと聞いて、あたしはビックリした。用意された食事を食べ切った所で、果実水を飲んでいたあたしは、果実水を噴き出すかと思ったわ!
食器の乗ったワゴンを連れて、兄様が「もう熱も下がってるし、大丈夫そうだね。ゆっくり安静にして、おやすみ。」と、あたしの部屋を出て行ったので、色々と考える事にした。
あたしが熱を出さなければ、隣国へ無理やり連れていかれただろうし、同行する間に王子様と恋を強制的にさせられて、もしかして、あの乙女ゲームと言う名の物語が続いたかもしれないと言う可能性に。
あたしがやり直しを断ったから、強制的に王子様が連れていけないようにされたのかもしれないと言う事にも気付いた。
だから、あの夜に強制力と言う得体のしれないモノがあたしのところにやって来たのは、本当の事だと思ったし、あたしの次にエンディの所へ行ったのは確実だろうと思った。
これがこの世界の真実で、あたし達を見ているモノがいるのだと理解もした。
やっばい!何これ?!怖っ!
あたしもエンディも自分の意思で動いて、生きてはいるけれど、それらを強制的に変更出来る、ううん、介入して変更するほどの力を持ったモノがいるのだと理解した。
あたしの次にエンディの所へ行ったのだろうけど、エンディも同じ結論に行きつくかは分からない。だから、エンディに手紙を書こう。どこに滞在しているのかも目途が立っているから、そこ宛に手紙を書こう。
エンディが隣国にいるのがもどかしいけれど、あたしもエンディも自分の人生を生きるにはこうなったって事だし、必要なんだから、不便なのは仕方ないよねー。
急いで書いた手紙を兄様に速達で届くように頼んでから、もう一度眠った。高熱が出ていたからか、だるくて堪らないわー。ふぅー。




