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第24話 ご令嬢は令嬢らしくない斜めな考え方をする

 夏に向かっている筈の気候に相応(ふさわ)しくなく、毎日、日に何度も謎の悪寒や寒気を感じているエンディスでございます。


 謎の悪寒の発生源は、生まれた国の父である公爵様である父親あたりか、余計な事をするのが得意な陛下か、はた迷惑な失言大王のレオ王子あたりが私の噂をしているのかしら?

 この3人なら、また余計な事をしそうだと思い出したのでしょうか?嫌だわ。


あの最初の手紙がレオ王子から来た後は、私ったら、もうレオ王子からの手紙は来ないって思い込んで、油断していたのよね。


 王城で開かれた夜会の翌日にも、私が養女になったべ・ネラン侯爵家宛に、レオ王子から私への婚約をして欲しいと言う内容が書いてある手紙が届いたの。居場所を教えていなかったのによ!


 それからは、7日に一度ぐらいの頻度(ひんど)で、私に向けたであろう、レオ王子からの手紙が届いていたのよ。

 国を出る時にさえ、どこに行くのか、居場所をどこにするのかも、それら一切を教えていなかったのにも関わらず!きっと王家の影を使って調べたのね!最低!


 最初の方の手紙の内容は、再婚約して欲しいって、反省しているからって書いてあっただけだったの。そのぐらいだったレオ王子からの手紙が、段々と、婚約しないのは何故なんだって、ジワジワと私を責めるような手紙の内容に変化して、いかにも私を責める内容になってきていて、ただ怖かった…。


 だから、新しく来た手紙を読むたびに、私の背中がぞわぞわしてきていて、知らないうちに泣いていたわ。


 はぁ、これ以上、余分な事をするのは止めておいて欲しかったわ。今までの事もこれからの事も、接触しないでいて欲しいだけなのに。余計な手出しは、ぜーんぶ!ご遠慮したいわ!


 私の精神安定の為にも。是非!


 べ・ネラン侯爵家でも、最初の手紙が来はじめた頃は、私にこんな手紙が届いて面倒で大変でしょうとか、気の毒だって言ってくれていたんだけど、私が、昨日、届いたばかりのレオ王子からの手紙を読みながら、泣いて震えちゃったんで、大ごとになってしまったわ。


 どうしたんだ!って。


 仕方なく、家族へ、今まで届いていたレオ王子の手紙を、何通もあったけれどね、全部の手紙を家族に読んでもらったの。


 それで、レオ王子からの手紙を読んだ家族の皆が、レオ王子からの手紙を「恐怖の手紙」って呼び始めたし、私に届く手紙を選別すると言い出したわ。


 夜会に参加する私は、成人扱いされるの。実際の年齢が成人年齢になっていなくてもね。


 そうすると、夜会や茶会へのお誘いの手紙を受け取るのは本人になるし、返事も本人かその代理人となるんだけれど、生憎と、不在なんですわ。


 私の代理人兼専属執事であったアンソニー様は、生国のロンデリンで、私達や元王妃のライラ様、リオン元殿下の移動した足跡(そくせき)を出来るだけ消してもらうという仕事をしてもらっている最中なんです。


 だから、私宛の手紙が私へ直接届いてしまっていたが故、レオ王子の手紙が私へ届いていたし、その手紙の中身の酷さにも、家族が気付かなかったし、私も恥だと思って、隠していたのだから。


 家族の懇願と私の精神の為に、これから私へ届く手紙の一切を屋敷の執事の一人が、私の手紙を精査して渡すという話になったけれど。


 今朝は、今朝でね、元王妃のライラ様へ、侯爵家宛に届いた手紙が問題だった…。

 ライラ様の前の夫だった陛下からのライラ様との復縁を願う内容の手紙が届いたんですって!


 そのせいで、何よりも当事者のライラ様が慌てていらしたわ。再婚を出来る限り早めなくっちゃ!って。

「親子で侯爵家に迷惑をかけるとは最低な馬鹿どもだわ!」ってライラ様が呟いていたのは、私は聞き流したけれどね。


 それと、私は私で、あの王城で行われた夜会の後、この国の王様が決めたと言われ、()()()()()()王子達の婚約者候補にされてしまったのですわ。


 その為、このトランドル国の王子達との交流をするのに、私が王城へ通う事になりましたとさ。とほほ…。


 せっかく、あのレオ王子から逃れられたと思ったら、隣国のトランドルへ来ても、生まれた国でしていた事と、やってる事が変わりありません。乙女ゲームの神様ったら、酷いわ!…。


 そんな中、王子達が話す内容から、砂漠の国エファルファから皇帝の代理として皇太子がこのトランドルへ、貿易の契約の更新と共に、細々とした内容を含んだ契約の締結をしにやって来るのだと私も聞かされましたの。


 はっ!これは!このままではマズいわ!


 王子達の婚約者候補として、国賓を案内する役目を王子達から押し付けられそうになったのよ!マズいマズイ!


 私に押し付けられそうだったのを、「私はまだ正式な婚約者でないのですわ!候補だからお役目を引き受けられませんの!」と、しっかり断りましたとも!


 断っていなければ、この役目を受けたイコール婚約を了承したと受け取られて、王子のうちの誰か一人の正式な婚約者にされてしまう所だったわ。ふぅ。


 この国の王子の正式な婚約者にされてしまったら、レオ王子が来て、実力行使で私を手に入れようとするだろうし、しばらくは、のらりくらりと婚約をしないように、(かわ)しておかなくては!


 と言う理由で、私自体、あんまり、その手の話題に乗り気ではありませんでした。


 そして、砂漠の国からやって来ると言う皇太子にも、貿易にも、あんまり興味はなかったので、退屈だなーって思っていたからか、あくびが出そうになっているのを誤魔化していただけでしたのよ。


 この時の私は、自分が巻き込まれたくなくても、レオ王子以外のトラブルが向こうからやって来るとは思っていなかったんだもの!のんびりとしたいとか、皇太子が美味しい物をお土産に持ってきてないかな~?なんて気楽に考えていたんだもの。


 その根拠?


 ええと、レオ王子やオレンが出てくる乙女ゲームには、私が知らない新しい隠しキャラがいたけれど、南国や砂漠の民のような風貌のキャラは出てなかったから。


 ゲーム自体の続編や新しいゲームが出るって噂もなかったから。って答えるわ。


 私が婚約破棄をされた時点で、ゲームとは離れた内容に現実が変化して、今のようになったと思ってるんだもの。もうゲームとは違うって思ってもいい筈でしょう。


 砂漠の国って言うのも、ゲームではチラリとも出てこなかったから、関係ないって思ったのもあるの。


 婚約者候補の王子達が砂漠の国の話と貿易についてを延長して話す中、その話題に乗らないようにしつつ、仕方なく、ただ仕方なく、常識で知っている程度の話を聞いて、相槌を打っているだけでしたわ。


 役目から逃げられた安堵で、適当に王子達の相手をして、お茶を濁していたのですけど。


 その際の話の中で、トランドルの独身の貴族女性達と王女達をまだ独身でいるその皇太子に紹介し、自国の貿易の条件を有利にする為だけに、誰か一人を人身御供にして婚姻でこの国の者と(めあ)わせ、トランドルが優位を維持出来る貿易をするつもりでいるのだとか聞かされて、胸糞悪くなってきましたわ。


 この国もか!!と。


 日本も結構、男尊女卑だったけど、この世界も男尊女卑の傾向が強いのよ!!と思っていたけれど、ここまで、女性を便利な道具や駒扱いをされているのを見聞きしていると、ムカムカしますわ!

 それに、私、結婚自体に夢が持てなくなってきましたわよっ!どうしてくれるのっ!


 表面上は、王子達の話す話題に相槌を打ちつつ、表情は内心の不快感を一つも見せないように、少しだけ微笑みながら、内心では非常ーに、ムカついてましたっともっ!最低!最低!最低!と。


 あー、私が王子の中の一人と婚約したら、お祝いを述べると言った理由で、(トランドルだと隣国だから)レオ王子が簡単に来れるわよ、ね、そうすると、友好さをアピールするための理由だと言って、レオ王子が頻繁に来そうだし、せっかく、平凡に過ごしている今の生活よりも、レオ王子と顔を合わせる機会が多くなるかもしれないわ。


 レオ王子からの粘着質な手紙を読んだ限りでは、婚約をもう一度して欲しいって、何度もしつこく言って来てるし、諦めるまでの時間が掛かるって思ったのは、あの手紙のしつこさを思い出すと実感出来たから、どんな手で来るかも不明で、安心出来ないし。


 この国の王子との婚約を無事に逃れても、私が隣国にいるだけで、陛下の言いなりに王妃を迎えたレオ王子が後になって、私に側妃になれと言って来る可能性や未来がないとは言い切れないしなぁー。どうしましょうか。


 レオ王子が手紙の中身で見せた粘着質は危ない気も、悪寒もしたし、あの元王妃様に嫌われても諦めない陛下の血をひいているから、私の事も諦めるまで時間がすごーく掛かりそうで、私の結婚適齢期内で諦めてくれるかも分からない。


 もしレオ王子が、私と既成事実を作ってしまえばいいって開き直って私の所へ来られたら、私の身が危険だわ。好きでもない相手に触られるのも、絶対、イヤっだわ!!


 それが怖くて不安って言い表わすなら、私の今一番の不安と悩みなのよ、ね。


 いっその事、砂漠の国エファルファの皇太子様と知り合って、誰か砂漠の国の貴族を紹介してもらおうかしら?


 私も心機一転すれば、生理的嫌悪感を感じない人を紹介されたら、その人を結婚相手にしても大丈夫かもしれないわ!


 私が結婚する相手は、もう、この国の男性でなくてもいいんだもの。レオ王子よりマシだっていうだけで、すぐに結婚相手を決めたら、後々、後悔しそうですし。ふーむ。


 私はもう、前と違って、乙女ゲームにも左右されないし、自由なんですもの。


 お母様の実家で侯爵令嬢と言う地位を手に入れられましたし、レオ王子からされた婚約破棄もなかった事になったみたいですし、今度こそ、私の方から結婚相手を選んでみせるんだわ!


 なーんて、考え事をしていても、王子達の話をちゃんと耳で聞いていますわよ。


 この世界での他国の情報を手に入れようとしても、貴族男性よりも貴族女性だと情報を手に入れにくく、詳しく聞ける機会が男性に比べて極端に少ないんですの。


 皇太子様と知り合って、砂漠の国の貴族を紹介してもらうっていう野望を叶える為にも、結婚相手と知り合う大事な切っ掛けを作る為にも、小さい事でも話を聞き逃さないようにしないとね。

 王子の婚約者だと言う名の案内する役目を逃げたからこそ、その上で、新たに皇太子と知り合う方法を探すべきだわ。


 王子達の話を聞いて知れる事を聞き逃さないわよ。情報は大事なの。


 国内の噂とかゴシップなら、貴族男性よりも、貴族女性の方が得意だけれど、レオ王子が追って来れない所まで逃げないと、何故だか、安心出来ない気がするのよ、ね。


 本当に、隣国にいたんじゃ、夜会に来たレオ王子に追い掛け回されそうだし、逃げられないように既成事実を作られそうで、怖いんだわ、私!…。ぎゃーーーーーー!!!!背筋がぞわぞわする!!


 どうすればいいのかしら?…んもぅ!まだ話が終わんないの?!早く私を侯爵家に返して欲しいわ。


 ここの王子達って、おしゃべりなのね。まだ話してるわ。


 はぁ、早く帰りたい。部屋に帰ったら、真っ先に窮屈なドレスを脱いで、ベッドの上でゴロゴロしたいわぁ。 

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