第12話 あたしがヒロインよ5
あたしが攻略できていなかったレオ王子にもただの友人として近くにいたら、レオ王子からエンディについての悩みを聞いて、相談され、エンディの事を話すのにも、時間は掛からなかった。
レオ王子は、エンディの事を好ましく思っているんだと感じたんだっけ。
でもね、レオ王子様、あなたの失言が多過ぎて、エンディにはとっくに愛想を尽かされていますし、ゲームのせいで一切の好意も持ってもらえていないんですよー!と本当の事は、言えなかったんだよー!
レオ王子がどんな男性でもさ、この国の王子だからねー!国一番の権力には逆らえないじゃんかー!
せいぜい、「はぁ、そうですか。」「すごいですね。」「さすが王子ですね。」「物知りですね。」「女性の事を学ばれているから、センスのいいドレスや宝石を選べるんですか。王子でも頑張られているんですね。」と、気のない相槌を打つだけの日々でした。
そんな日々に変化が訪れたのは、春を近くに感じるようになった、冬の終わりが見えている日でした。
それがどうしてか、いつの間にか、あたしはレオ王子に「好ましいな、そなたのような女性は。」と言われていた。どうしてーーーー?!いつの間にーーーー?!
エンディに悩みながらその事を言うと、信じられないような事を言われたのだったー!
「オレンって、男性の扱いが上手いのね。
前世では「サ行で男を褒める言葉」とかあった気がするわ。
ええと、さ・し・す・せ・そのサ行の言葉だけで、男性をその気にさせるテクニックだったかしら?
さすが・知らなかった、物知りですね・すごい・センスがいい・そうなんですか、の言葉だけで会話を進めていくんだったかしら?
ええと、男性を褒めて、その気にさせるのに有効な言葉だと記憶にあるわ。
さすがよね、オレンは。前世の知識がなくても、男性を夢中にさせるなんて、すごいわ!
私には出来そうもない事をやってしまうなんて、オレンは自然に動いても、ヒロインのようにモテていたのね。」
あぁ、あ、あたし、そんなつもりは、なかったよ?まさかのレオ王子がそんな言葉だけであたしを好ましく思うなんて想像もしてなかったーーーー!!
や、王妃は、あたしも遠慮したいかなーー?!あは・は…。
どうしようーーーーーーー?!?!?!
あたしが混乱して、悩んでいる間に、王家とエンディのいる公爵家との私的な茶会が、王妃様発案で開かれました。
何故か、その日、レオ王子に呼び出されたあたしは、レオ王子と側近候補のご令息様達に王城の中を引きずられて、その茶会の場に乱入させられてしまいましたーーーーーー!!!!
その場でエンディが婚約破棄をレオ王子から言われた所で、あたしは気を失ってしまったのでしょう。
婚約破棄を告げるレオ王子の言葉を聞いた以降の記憶があたしにはありませんーーーーー。
気付いたら、貴族の入る牢の中のようで、その中のベッドの上で横になっていました。
そこでもう一度、悪い夢を見ているのだと思って、寝直した筈。
再び起きた時には、エンディのうちである公爵家のお屋敷の客室にあたしは滞在しているのだと、あたしの看病をして側についていた侍女さんから、親切に教えてもらいましたー。
それと、婚約破棄を告げられた日から3日経っている事と、レオ王子にエンディ以外に好きな者が出来た事で、契約通りに婚約無効の手続きに入っているが、その手続きを阻止する反対派がいるのだそうです。
その為、あたしもエンディも、宙ぶらりんな中途半端な状態であるのだと聞かされましたー。
「エンディスお嬢様からは、オレイヌ様が大切なご友人であった事も、レオ王子の一方的な想いで茶会に連れていかれた事も、この屋敷にいる者達全てに説明がされています。
ご安心くださいませ。
ダットン男爵家の皆様も、公爵家の他の客室で滞在されています。ですので、ご家族も無事でいらっしゃいますわ。」
「ありがとうございます。父や母、兄には、私が目を覚ました事を告げてください。エンディにも大丈夫だと伝えてくれればいいです。」
「わかりました。ご家族の皆様方には無事に目を覚まされたとお伝えいたします。
お嬢様とはお話し出来るようになったら、気を失っておられた間の経緯を話したいとおっしゃっていましたので、オレイヌ様が軽食をお取りになって、湯浴みをされてから、お会い出来るようにいたします。」
そう言って、侍女さんが部屋から出て行きました。
あー、エンディとはもうすぐ、離れ離れになっちゃうのかー。寂しいなー。
でも、隠しキャラともあたし、出会えるかもしれないなー、なんて考えてたんだけどねー。
軽食を食べて湯浴みを済ませたあたしの所へ、エンディがやって来ましたー。
そんで、あたしが気を失っていた間の説明がエンディからされましたとさ。
あたしは貴族牢に入れられたそうだけど、エンディと王妃様、護衛達の証言で、あたしはただの友人で会った事が証明されたんだって。
ただ、あたしは巻き込まれただけの友人だったと言う事になり、公爵家で身柄を預かる事になったそうです。
その際、レオ王子が暴走しないようにと、ダットン男爵家の家族もあたしと一緒に、公爵家に避難してもらったのだとエンディが言いました。
あたしが「ありがとう。家族の事まで気が回らなかったわ。」と言うと、エンディが微笑んで、「オレンが学園にいる間の世話をするって約束したでしょ?」って、事も無げに言ってくれたのを見て、涙が出てきてしまった。
ごめんね、エンディ。
あたしは隠しキャラに会いたいだけで、貴女の協力をしただけなの!それなのに、あたしの家族も守ってくれたなんて!
内緒にしていた事をここで告げれば、貴女はあたしを許してくれるでしょうけれど、あたしの心が軽くなるだけで、エンディの方では、あたしに隠し事をされた、裏切られていたって気持ちになるんだって、分かっているから!
今、ここでも内緒にしていた事を打ち明けられないのっ!本当にごめん!
でもね、あたしは貴女が友人だと誇らしげに出来るように、内緒にしていた事を絶対にこれからも打ち明けないから!だから、あたしは貴女に感謝の言葉を伝えるだけ!
「本当にありがとう。エンディは最高の友達ね!」って。
エンディも「オレンは最高の友人だったわ。貴女の幸せを遠くから祈っているわ。」って、全開の笑顔で告げてくれたんだー。
そのエンディも、あたしが翌朝起きて、公爵家の中が騒がしいなと思って、エンディの行方を聞かれた昼過ぎ時には、もう公爵家を出て行ってしまった後だったんだー。
そっか。
あたしの目が覚めるまで、心配して、家から出るのを遅らせてくれたんだ。
なんて、素敵な友人だろう。
あたしが傷付かないように、「公爵家では、オレイヌ・ダットン男爵令嬢と、その家族をこれからも庇護する。」と言う、この公爵家ご当主様の署名入りの契約書をあたしの目につく近くへ用意していってくれたんだー。
どこまで、あたしの事を気遣うのかしら?
最高かよっ!こんな一生ものの友人と、前世の頼りない片思いを天秤にかけていた自分自身に嫌気がさした。
それでも、自分を大事にしないと言う選択は出来ない。
エンディがあたしを大事にしてくれたから、この国で素敵な淑女になる為に、残りの学園生活を頑張らなければね!エンディに顔向けできないし、どこかでエンディと再会した時に、胸を張れないわ!
でもね、玉の輿に乗る機会を逃すのは、勿体ないから、次からは、よーーーく考えるようにするわよー。
次話から、エンディスの話に戻ります。




