第一話 ~最強家族~
僕はノア。
アルディア王国侯爵家の子だ。
先日十二歳になった。
家族のみんなもメイドさんたちも沢山祝ってくれた。
「あら、おはようノア。何をしていたの?」
「母さん!おはようございます。今日はこれから父さんと剣の稽古です」
「そう、頑張ってね」
母さんの手が僕の頭を撫でてくれる。
僕はこれがものすごく好きなんだ。
母さん、名前はエリシア。
女神ルミナスを顕現させた聖女にして、聖剣の巫女。数多の神聖魔法を操って、死んだ人を生き返らせる事すら出来るらしい。
神の裁きを実施することもあるとか…何者?
綺麗で可愛くて、僕の大好きな母さんだ。
「ノア!今日こそお父さんを打ち負かしちゃいなさい!」
もう一人の母さん。
セノン母さん。
背が高くてカッコイイ。セノン母さんも僕は大好きだ。
厳しい時もあるけど、「大好きだよ」って言うと真っ赤になってワタワタするんだ。すごく可愛い母さんだ。
でも凄い人で、エルフの大魔導師。
この世界の魔導は全部使えるらしい。
それに完全消滅魔法に神聖魔法まで使える。
空間転移や時間干渉まで……何者?
100歳を超えてるらしいけど、エリシア母さんより若く見える。世の中って不思議だ。
「行ってきます!」
そして、僕はまず、ご飯を食べるためにダイニングへ向かった。
「兄様〜!!」
横からの衝撃に倒れそうになったけど、なんとか踏みとどまった。
横から飛びついてきて、僕の胸元に顔をグリグリしているのが…
「っぷは!おはようございます!兄様!」
顔を上げて満面の笑みを見せる少女。
白銀の髪に、同じ色の瞳。
少し先が尖った耳に端正な顔立ち。
どんな美人も霞んでしまうほど可愛い僕の妹だ。
リノア。
父さんとセノン母さんとの娘で10歳。
ハーフエルフでポテンシャルがクソ高い。
まだ10歳なのに、セノン母さんが完成させた「アルカナ・インフィニタ」を習得したらしい………何者?
因みに、突っ込んできた後にカーテシーで挨拶してもさっきの事はなくならないよ?
「今日こそ、父様をコテンパンにしてくださいね!」
一緒に朝ご飯を食べながら、今日の模擬戦の事を話していると、口元にパンくずを付けながらリノアが言ったんだ。
なんか最近、言うことがセノン母さんに似てきている気がする。
「行ってくるよ」
そう言って中庭に向かう。
「来たか、ノア。さぁ、始めよう」
伝説の聖剣を携えて振り向く父さん。
魔王ゼノスを倒した勇者。
黄金の瞳に身に纏う黄金のオーラが半端ない。
この力は「太陽」と言うらしい。太陽ってアレだよね?空で煌々と光って世界を照らしている恒星…………マジで何者?
「父さん………大丈夫?」
振り向いた父さんの左右の頬には真っ赤な掌の跡がついていた。
メイドさんにちょっかいを出そうとして、母さんたちにこっ酷く叱られたっぽい。
「…だ、大丈夫だ……」
父さん、カッコイイのに台無しだよ




