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インフィニティ・ギア  作者: 雨乃時雨
プロローグ~第一部
10/122

第8話 転校生は訳アリ?

「ふはぁ~…あ”ー、ねっむ…」

「九条君眠そうだね、寝不足?」


SHRが始まる前、いつもよりちょっと遅く教室について自分の机であくびをしていると、隣にいた鷹野さんをはじめとしたクラスメイトたちに話しかけられた。


「あぁ…単純に昨日のクラス代表対抗戦の映像データを漁ってて、どれも参考になる動きと戦い方で見入ってて」

「気づいたら深夜だったとか?」

「正解」


あの後、自分の部屋に帰り予習復習をしたのち映像データを見ていたんだ。

俺からすればどれも参考になるデータばかりでずっと見入っていた。おかげさまで勉強になったしね。

俺の昨日の睡眠時間には目を瞑るが。


「九条君って意外と勤勉なの?」

「勤勉、というよりこの学園に居るからこその努力だよ。AGが使えるだけの男なんて思われたくないし」

「うっ」


…何か遠くからフレヤがダメージを受けた声が聞こえた気がしたけど。


「へぇ、でも私たちからしたら結構九条君って出来る方だと思うよ?」

「そうそう、前の御影先生の抜き打ちテストも時も上の方だったしね~」

「でもまあ努力は惜しまないよ」


上を目指せるなら上を目指す、勉強もAGも。


「あ、そういえば話は変わるんだけど聞いた?転校生の話」

「転校生?」

「そうそう、ここのクラスに転校生が来るらしいよ。しかも二人」

「この時期にか?もう入学式があってからかれこれひと月経とうとしてるのに」


何というかちょっと珍しいなとは思う。俺も転校したことはあるから分かるけど俺は夏休み後に転校したんだよな。

…てか転校の時期に珍しいも無いか。


「…ワンチャン、男来ないかな」

「それは無いと思うよ」

「だよねぇ」


ほぼあり得ない願望は持つだけ無駄か、ぐすん。


「はーい皆さんホームルームの時間ですので席についてくださいー!」

「おっと、席に座ったほうがいいかもな」

「だね」


教室の扉が開き、柊木先生が入ってきた。

今、時計を見ると針は丁度始まりの時刻をさしていた…こういう人と話しているときとか楽しい時間って何でこんなにも時間が早く経つんだろうな。

神様の陰謀説を俺は勧めるぞ、根拠はないけど。


「さて今回のホームルームですが、まずはこのクラスに新しいクラスメイトが増えます!」

「おー!」


なんかさ、今思ったけど女の子の噂事情って言うの?何処からそんな情報が来るんだ?

中学校でもそうだったけど既出不明の情報とかを知ってたりする人もいたし…。


(変なことして噂になったりしたら大変だな…気をつけよ)


一応、心構えをした。


「それでは入ってきてください」


空いている扉から二人の女子生徒が入ってきた。

まぁ…淡い期待をしただけで無駄だったな、ワンチャン男子来いって思ったけど。

そうして教卓に二人で立って俺たちの方へ顔を向けた。


「では先にレベッカさんから自己紹介をお願いします」

「はい」


ビジョンシステムでモニターが浮かび上がり最初の人の自己紹介が始まる。


「皆さん初めまして、イタリア出身の『レベッカ・ブルーノ』です。よろしくお願いします」


そうしてお辞儀したブロンズ色のショートウルフヘアーの少女、この人がレベッカ・ブルーノさん。

てか顔を上げた後、小さく微笑んだんだけどすっごい綺麗な笑顔だった。優しそうな愛嬌がある…そんな感じ。

あと右耳の耳輪辺りにについているのは、何だアクセサリーか?俺が気にすることもないけどね。


「次にアナスタシアさんお願いします」

「…ロシア出身、『アナスタシア・アガポフ』だ」


…しーんと静かになる。何というかデジャブを感じるな?

シルバーカラーの髪色でロングヘアーの人がアナスタシア・アガポフさん。

レベッカさんとは違いちょっとお堅い感じだ。


「え、えっと…この二人が新しくクラスメイトになりました。皆さん仲良く教えてあげてくださいね」

「はーい!」


すっごい小学校の雰囲気あるけど…仲良くするのは当たり前だしな。

そんなこんなで新しいクラスメイトが2人増えた訳で、SHRは直ぐに終わり次の授業が始まるまで時間が多少残っている。ちなみにブルーノさんは俺の後ろの席で、アナスタシアさんは少し遠めの席に座っている。


(まぁ…俺の方から話しかけてみるか)


話しかけられるのを待つのもアレだしなと思い後ろに振り向こうとしたが。


「君が九条君?」

「え?」


俺の後ろからレベッカさんから声をかけられる。先手を取られただと…!?

てか俺の名前知ってるんだな。


「あ、あぁ」

「初めまして改めてだけど、レベッカブルーノです。よろしくね」

「よろしく…」

「どうしたの?」

「いや、ちょっと驚いただけ俺も声をかけようかなって思ったけど先手を取られたし」

「あ、そうだったの?これが日本で言うところの先手必勝だね」


意外と、というよりレベッカさん含め日本語上手いな。

やっぱり転校してきたとはいえエリートなんだなと改めて思う。


「てか知ってたんだな俺の事」

「…もちろんだよ、だって世界で唯一ギアを活性化できる男性だから」

「あー、確かに」


時々ネットニュースを見ると、俺のことが取り上げられていたりする。イレギュラーだしね。

ただニュースの記事の中には心にもない事をチャットしているやつもいたりはするけどそれは即刻消えた。

やっぱり今の社会は技術の発展がすごい。AIが自動判別してネットの誹謗中傷のチャットは即刻削除されたりチャットした人のアカウントを強制的に使用不可にしたりと…色々凄い。


「そりゃ知ってて当然か」

「でも他の事は分からないし、機会があったら教えてほしいな」

「もちろん、でも俺もレベッカさんの事を知りたいから色々教えてくれ」

「うん!」


明るいな。俺には眩しすぎる。

てかさ、ここの学園の人たち全体的に綺麗すぎない?レベッカさんを例とすると顔も綺麗で中身は細かくは知らないけど滅茶苦茶笑顔が綺麗。

何というかすっごいモテそうだ。

…なんか滅茶苦茶四方八方から視線を向けられているが、多分気のせいだろう。


(よし、このままいくとレベッカさんと仲良くなれそうだ。さてアナスタシアさんは)


そう思ってアナスタシアさんの座る席へ目をやる、一瞬目が合ったが。


「…」


ふんと鼻を鳴らして目を反らされてしまった。


(おっと…男が嫌なタイプか?)


初めて会った時のフレヤを思い出す。男の事が嫌いだったからな、もしかしたらアナスタシアさんも同じかもしれない。

これは、今は声をかけるのはやめておこう。


「はい、転校生の紹介も終わりましたのでSHRを始めます。まず今日の連絡ですがーーー」


レベッカさん、アナスタシアさんの紹介は終わりいつも通りのSHRが始まった。

連絡事項は特に変更はなくいつも通りの時間で進むようだ、むしろ変更とかあるのか?まぁ入学してからやっとひと月経つくらいだからな、今後あるかもしれない。


「ではこれにてSHR終わりま」

「すまん緊急の連絡だ、失礼する」


柊木先生がSHRを終わらせようとしたところで教室の扉があき御影先生が入ってきた。

緊急の連絡…?


「唐突の話で申し訳ないが今から二週間後に『学年別三者乱戦(トライ・ロワイヤル)』を開催することが決定した、柊木先生にも事務連絡が来るはずだ」

「は、はい」

「元々その日には全学年のタッグマッチという二人一組でチームを組み、トーナメント式で戦う試合があったのだが、急遽変更され三人でのバトルロワイアルになった」


バトルロワイアル…よくありがちな奴だな。

でもAG三機のバトルロワイアルなんて聞いたことないな、今回が初なのか?


「抽選で決められた三人で戦いあう、勿論学年問わずだ」

「学年問わずと言うことは上の先輩たちとも戦う可能性があるという事ですか?」

「そうだ」


鷹野さんが質問したが…そうか学年問わずってことは上の人と戦う可能性も十分にあるのか。

てか上の学年で思い出したけどIGD学園四年生までいるってことを最近知った。

三年までは実技や訓練、四年からは本格的な訓練や勉学を学ぶみたい。ようは一~三年で全ての基礎を、四年で応用と言うわけだ。

つまり?三人で戦いあって生き残った一人が上に上がっていくというわけか。


(これさ…試合の内容によってはカオスになりそう)

「試合の抽選は後日行う、それと今日の五、六限目の訓練ではAGの操縦がある。心しておくように」

そういって御影先生は教室から去っていった。


(トライ・ロワイヤル…)


今までの戦いとは打って違う戦闘、ロワイヤル形式の戦い。とにかく特訓だ、戦えなきゃ意味がない。いつも以上の特訓、そして学びを得ないと。

そんないつもと変わったSHRが終わり普通に授業が始まった。


ーーー


「ん”ー!!」


ぐーっと背筋を伸ばして身体を解す。

それから何事も無く授業は終わり、昼食の時間になった。

いやぁ腹が減った、特に糖分が欲しい。昨日の夜更かし…もとい勉強のせいで頭をフル活用しすぎて身体が糖分を求めている。もし食堂で食べれるならチョコレートとか欲しいな〜。

あぁでも手作りならケーキとかシュークリーム…いや待てよ、和菓子もあるんじゃないか?


(あぁ、夢が広がリング…なんてね)


一人で頭の中で甘い物があればいいなと妄想?を広げていると。


「九条君」

「ん?」

「よかったらこれ」


後ろからレベッカさんに話しかけられて、何かを渡される。


「これは?」

「チョコレート、確か疲労回復とかに良いって聞いたことあるし良ければ」

「い、良いのか!?」

「う、うん」

「じゃあ遠慮なく…」


包みを開けて板チョコレートを1/3くらいに割ってそれに齧り付く。

ぱきっと良い音がなり口の中でクリーミーな味とこれぞチョコレートみたいな触感を感じる。

丁度欲しかったからとてつもなく美味い…。


「うめぇ…」

「そ、そこまで喜ぶの?」

「俺は甘い物が好きだからな、特に頭を使った今は特に」

「甘い物が好きなんだね、何か理由とか?」

「そうだなー、まぁ甘い物って食べたら幸せな気持ちになるだろ?」

「分かるかも」

「あと甘い物に限らず食べることが大好きだ…流石にバクバクは食わないけど、ほら太ったりさ糖尿病とか」


あーあ、俺の身体だけが糖尿病とか太らなければいいんだけどねと呟き、もう一口チョコレートを頬張る。

すると


「…」

「?」


レベッカさんの表情が一瞬曇ったのが見えた。

何故?()()()()()()って部分で曇った気がするが…。


「春斗さん」

「んお?」


後ろからフレヤに声をかけられ、返事をする。

てか口の中にチョコレートがあったままだった…失敬失敬。


「ちょっと待って…うし、どうした?」

「昼食ですし二人でディナーは如何ですか?前は三人でしたし」

「そうだな…行くか。すまんレベッカさん食堂行ってくる、それとチョコレートありがとう」

「え!?あぁ、いってらしゃい」


一応レベッカさんに告げてからフレヤと共に教室を出て食堂に向かった。

その道中、俺はさっきのレベッカさんの表情が忘れられなかった。


(一瞬だけ見せたあの暗い顔…)


本当に一瞬だけ見えたあの暗い表情、何かを抱えているもしくは悩んでいるときのような顔。

悩み事がありそうだ、何なら個人ではどうしようもないくらいの。


「春斗さん?」

「ん?どうした」

「何か考え事ですの?とても思いつめているように見えましたが…」

「いや何でもない、気にしないでくれ」


とりあえず今は考えるのは止めよう、人と過ごしているのにため息何てつくのもアレだしな。


「なぁフレヤ、さっき御影先生の言ったトライロワイヤルっていうか三人の混戦とかやったことある?」

「いえ…初めてですわ」

「だよね…授業の休憩時間で色々調べたりもしたがそれといった情報も無くて困った」


フレヤも知らないとなると本当に無いんだな。

てか実際な、AGの戦闘は対テロや対AGと言った勢力対勢力の戦い。第三者が乱入してこない限りはほぼ一対一、あっても一対二。

あと大体こういう乱入ってお互いが疲弊し、壊滅しているときに乱入してくるものだろう。とあるゲームで知った、漁夫の利ってやつ。

だからこそ、このバトルロワイヤルみたいな戦い自体おかしいのだろう。でも学園側が起きないとは言い切れない『ロワイヤル形式の戦闘をやる』なんて言い始めるか?

うーん分からん、とりあえずは訓練しつつ技術を学ぼう。話はそこからだな。


「いつもかつ丼ばかりだったからなー、今日は何にしようか」

「私はカルボナーラで、ここのシェフ達はアレクサンダー家の使用人たちのレベルの腕でつい食べてしまいます」


おおイギリス貴族様のお墨付き。てか使用人だってよ、普段じゃ聞きようもない言葉だ。

使用人って言うと俗にいうアレか、執事とかメイドとかか?実際にも使用人はいるんだなと心の中で思う。

…何か洋食食べたくなってきた、でも俺が知っている物も少ないしな。


「お?」


何か無いかと探していたら、ふと俺でも知っている名前があった。


(フィッシュアンドチップス…は知ってる)


イギリスの産業革命の時に食文化として定着したやつだよな、白身魚フライみたいな。


「春斗さんは?」

「何か洋食食べたくなったからフィッシュアンドチップスで」

「え?」

「え?」


プロジェクターを押したと同時にフレヤから声が漏れた。


「ふぃ、フィッシュアンドチップスを…!?」

「あ、あぁ…気になったしな、不味いのか?」

「今は分かりませんが…あぁでもどうでしょう」

「今は?」


ちょっと気になったのでイギリスの食文化について調べてみた。


(ふむふむ…過去の労働法がねぇ)


イギリスの料理はマズイっていうイメージがある理由はイギリスの過去の労働環境のせいらしい。料理が美味しいというよりも安く、栄養価があり満腹になることに重点を置いていたらしく、物によっては薄味で味がなかったり、食材を過剰に過熱されていて付け合わせの野菜すらも歯ごたえが無いらしい。

でもその産業革命からかなりの月日も流れたし、美味いだろ多分。


「フレヤは嫌いなのか?」

「嫌いというより探求心で…」

「探求心?」


聞いた話によるとフレヤがまだ子供のころ使用人達に『過去のフィッシュアンドチップスを食べてみたい』とお願いしたのが原因とのこと。元々フィッシュアンドチップスを食べたことの無かったフレヤは気になり、どうせなら過去のものを食べてみたいと考え食べたところ…顔をしかめたらしい。

過去のフィッシュアンドチップスは安く腹持ちも良いとのことで食文化の定番にはなったが下味はつけず、臭みを取らないまま魚を上げたものが普及してしまった…つまり?

フレヤは下味はついておらず、臭みの取れていない白身魚フライを口に入れたとのこと。


「あの時からフィッシュアンドチップスが怖くて」

「そ、そうか…フレヤが…くくっ」

「わ、笑わないでくださいまし!」

「確かに面白いけど嫌いになった動機が可愛いなって思った」

「か、可愛っ!?」


そんなわけでトレーに乗ったフィッシュアンドチップスと共にフレヤと近くの二人席に座った。


「さてと、頂くか」


…これどうやって食うんだ?紙に包まれているフライドポテトとフィッシュアンドチップス。

ハンバーガーみたいに齧り付いていいのか?それと備え付けられたナイフとフォークは?てかこの塩とビネガー?はどうすればいいんだ…。


「なぁフレヤ」

「はい?」

「フィッシュアンドチップスってどうやって食えばいいんだ?」

「紙で包まれているタイプならそのまま、もしなければフォーク等を使って食べますわ。あと塩とビネガーもお忘れなく」

「ふむふむ」


そのまま齧り付いていいのか、意外と大きいしフォークとナイフとか使って切ってから食べるもんだと思ってた。

じゃあこのままいくか、塩とビネガーをかけて紙で包んで…


「頂きます」


齧り付く。


「!」


サクッとカリッとした食感、中から広がる魚の旨味そして塩とビネガーのアクセント。

しかもこれはバターか?ほんの少しまろやかな味がある…。

元々言われてた魚の臭みも無いし、薄味でもない。


「ほぉ…これは」


一度フィッシュアンドチップスをおいてフライドポテトにケチャップをつけて頂く。

うんうん…こちらもいいな、カリッとしててまぶしてある塩の味もいい。ケチャップとの相性も抜群だ。


「美味い、サクッとした食感もいいし味のアクセントも良いな」


てか思ったけどまた揚げ物だな俺。かつ丼いっぱい食べてフィッシュアンドチップスを食ってるしな、胃もたれしそう…。

夕食はちょっと野菜多めに食べるか。


「そ、そうなんですの?」

「食べるか?」


と言ってナイフとフォークで一口サイズに切り


「はい、あーん」


フレヤに向ける。


「えっ!?」

「食べないのか?」

「あっ、い、いえ食べますわ」


恐る恐るフレヤはフォークについたフィッシュアンドチップスに口を近づけ食べた。


「どうだ?」

「確かに美味しいですわ、あの過去の物とは見違えるほどの」

「…それ言われると過去のフィッシュアンドチップス気になるんだけど」

「やめておいた方がいいですわ」

「お、おう」


フレヤが真顔でマジなトーンで言ってきたのでやめておこう、怖い。

俺からすると他国のご飯だがフレヤからすると祖国のご飯だしな、説得力が違う。

そうして俺はフィッシュアンドチップスというイギリスの味を噛み締めながら次の訓練も頑張ろうと心の中で思った。

誤字脱字、語彙力がほぼ皆無に等しいのでミス等がありましたらご報告お願いします


感想も待っていますので気軽にどうぞ!


超絶不定期更新ですがご了承ください…

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