【】サークルクラッシャー☆白上フブキ【】
戌亥本家地下の座敷牢にて、寝転がりながらジョジョ第六部を読み耽る星街の元に、オトモガルクに跨った戌亥が息急き切って駆けつける。
「星街い!!大変や」
「なんだよ戌亥……。すいちゃん、見ての通りめっちゃ忙しいんだけど?」
「白上が、またオタサーを崩壊させてもうた。今年に入ってもう十六個目や」
「白上が……!?」
「こんばんきつねの手口は簡単。オタサーにリア凸し、三人以上のモブ男に軽いボディタッチ、スキンシップを仕掛ける。ちょっとお、なにそれ〜!!程度のノリや。ほんで、仲が深まってきたタイミングでこう切り出すんや。実わ白上い、欲しいゲームがあってえ〜……。ってな」
「まさかっ!!」
「せや。これで、サークル内のモブ男たちに競争を嗾けるんや。誰が一番、女王狐に相応しい貢ぎ能力を備えた雄豚なのかしらん……?ってな」
「なんて恐ろしい女狐なんや……。白上フブキい……!!」
「しかも、唆された金欠オタクたちが、一斉にポケカを転売し始めるっちゅう悪循環も生み出しとる。なんでも、その汚れた金の一部を尾丸興業が神椿教団に横流しして、教団内部のロボ子党工作員が、大空警察署職員と結託して教団の金を桐生組に流しとるらしくてな。その金で桐生組がENのカリオペ商事から密輸入した銃器を、宝鐘海賊団の密航船に乗せて、マネロンの温床であるボリビアの渋谷ハル別邸まで運んどるっちゅう噂や。それにブチギレた鈴木が、かみと奪還班を連れて茨城県庁に直談判。相談内容を茨ひよりが馳河にリークし、今年からロッキンは千葉市での開催に相成った、っちゅう訳や」
「風が吹けばなんとやら……。ってか?」
「夏色まつりを筆頭とするVtuber総監部は、馳河に死刑を宣告。戌亥分家と星街本家はこれに異を唱えた為、赤井はあと懐妊の件は揉み消されることになったんや」
「怪我の功名……。不幸中の幸い、ってとこだな。戌亥とこ」
「安心ばっかりもしてられへん。桐生組から武器を譲り受けた湊あくあが、半グレVtuberを狩る為に完全武装で秋葉原を彷徨いとる。更に、巌流島で修行を積んどった百鬼本家の令嬢、百鬼あやめがとうとう本島に上陸しおった。一目、様子を見てきたけどな……。八つに割れた腹筋と、左目の刀傷、それからあの闘気。あれなら、零點伍期生の実力にも引けを取らんかも知れへんで」
「朗報じゃねえか。一人より二人……。増えたら安心、心配ないやあ!!↑↑」
「あんた……。そんなとこで寝転んどっても、夏油パパは迎えにこおへんで?」
「だあって、ぼおうくは、ほうし、だあからあー……」
「せやった。こいつ、迎えに行く王子様やった」
「てか……。わためえなんだけどさあ、どうやっても連絡つかないんだよね。戌亥なんか知ってる?」
「角巻が……?ちょい待ち、今日も普通に配信しとった筈やけど……」
確認する為にスマホでYouTubeを開いた戌亥は、余りの衝撃にそのまま端末を取り落としてしまう。
「どうしたの!?」
「ほ……。星街、見てみい!!角巻わためが……。リスナーの解体ショーを生配信しとる!!」
「!?」
『こんばんドドド〜!!』
『いえ〜い』
『みんな、見ってるう〜?』
『わためえは、みんなを武道館に連れて行く為に……。ぎりぎり☆悪い羊さんになろうと思うんだ』
『ねえ、すいちゃん。わためえのこと……』
『視ているな!?』
「ふぁ!?」
唐突に名指しされ、辺りに監視の目がないか慌てて確認する星街。
「どういうこと……!?」
「落ち着け星街……。精神攻撃や。角巻はあんたのSAN値が削れた瞬間を狙おうとしとる」
『すいちゃんはねえ〜……。実はとっても悪い人なんだけど、頑張ってイイ人のフリをしてるんだよねえ〜』
「な……。なんだとお〜!?」
「落ち着け!!星街、動揺したらあかん。その時点で角巻の術中、敗北のゴングが鳴るもんだと思うときっ」
『だから、わためえは逆に、頑張って悪い人になっちゃおうかな〜……。みんなも、いつもと違ったわためえ、見てみたいよねえ?』
画面中央、パイプ椅子に縛り付けられた人影から、角巻は強引に麻袋を引き剥がす。
『ちゃま……!!』
「はあちゃま!?」
「なんちゅうこっちゃ……。角巻は、あろうことか赤井を手にかけようとしとる」
「糞っ、追うぞ戌亥!!」
「あかん!!」
「なんで!?」
「それこそが角巻の目的やとしたらどうする!?ここは赤井を信じてやれや……。あの女は、そう簡単にくたばるタマやあらへんやろうがっ」
「……!!」
『はあちゃま、苦しかったら言ってね?』
『ははっ……。ま、まあ!?わためえに殺されるなら本望だけどっ!?』
『そっかあ。よお〜し!!それじゃあ、痛くないように一思いにやるねえ』
『待って!?冗談、冗談だから!!ほら、はあちゃまってドッキリとか好きだし、ツンデレっていうか、天邪鬼っていうか……。あ、ああっ、あああああああああああああ!!』
そこで、配信は途切れている。
「……!!」
「星街……」
(あかん、ここまで追い詰められとる星街は初めて見る。これ以上の戦線維持は……)
拳を握り締め、ただ俯くしかない星街の元に、遅れ馳せながら「あの」女が現れる。
「あんたは、まさか……!?」
「し……。ししろん!!」
「わためえのことなら……。私がなんとかしますよ、すいせい先輩」




