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1話 噂の怪力
あるところエレイン・アルバードという美しい令嬢がいました。
紺色の髪とエメラルドの瞳、一見男受けする容姿端麗の娘だ。
身分も容貌も申し分ない彼女なのだが、誰にも言えない弱点があった。
「悪いな、エレイン。今日も頼んでいいか?」
同じ紺色の髪をした兄サーベルが申し訳なさそうに言う。
「兄様の頼みだもの。断れないわ」
エレインはにっこりと笑った。
兄のサーべルは国に仕える騎士で時折、エレインは依頼任務の手伝いをしている。
というのも、彼女は”怪力令嬢”として有名だからだ。
ある時はその怪力が原因で壁や物を破壊し、時には魔物を素手で倒したりと、他にも山ほど話がたくさんある。
縁談を受けるたび「淑女らしくない」と言われ、良からぬ噂が広まりますます縁談に恵まれず、頭を悩ませていた。
だからいっそのこと、このまま父と兄、三人で仲良く幸せに過ごしてもかまわないと。
「それじゃ、行きましょう。兄様」
カラードレスの裾をふわりとひるがえし、軽やかに立ちあがり今日もエレインの優雅な一日が始まるのだった。




