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機巧戦車大戦〜人巧人間は明日の夢をみる〜  作者: 桐生スケキヨとYOM
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第四話「心なき敵、胸弾ける覚悟 第八回」

機巧戦車大戦tips【〇〇四 〇八 計算能力】

ICOたちは高い計算能力を持っており、複雑な計算も速く的確に行うことができる。

作中当時のスーパーコンピューターを越える計算能力を持っているが、ICOの計算の特徴は状況変化をリアルタイムに反映した再計算であり、これにより戦車の軌道や弾道などを的確に計算することができる。

たまにミスることもあるが、これはリアルタイム性を優先していることによる変化への適応の遅れが原因とされているが、それを補うためにも、人間が一緒にいることが重要になるのである。

【第四話 心なき敵、胸弾ける覚悟 第八回】


「搭乗ICOアイ=リリアム。光波炉同調。起動シークエンス開始」


 『オートランダー』に乗り込むと、リリアムが起動を開始する。作戦開始までは少し時間があるため、俺はまだヘルメットは被らなかった。


「拡張装備確認……『オートランダー』本体の更新を確認。操作系同期を開始します」

「なにが更新されたんだ?」

「アテナ司令が言っていた、射出後に着陸する時の姿勢制御スラスターですわ」

「あぁ、それか。俺の方で操作できるのか?」

「することもできますが、基本的にはこちらにお任せしてくださると助かります」

「なんだ、俺じゃ信用できないってのか?」

「そうではありませんわ。地面との速度、角度、細かい計算が必要になるのでこういうのは大尉の直感的操作より、ICOの得意分野です」

「あぁ、なるほどな」

「適材適所で行きましょう」

「その通りだ。リリアムは賢い」

「恐れ入ります。光波炉出力、一次リミッターの制限を解除」


 アイリスやカーミルと搭乗した時とは違う単語が聞こえた。


「リミッター解除?」

「わたしの光波炉は他のICOより高出力が可能なんです。他の光波炉では制限になる値を突破しての稼働になるので、一次リミッターを解除するのですわ」

「それは……リリアムだけなのか?」

「ICOは一時的に出力を向上させることはできますが、時間制限などの制限があるんです。ですが、わたしの場合は常時、他のICOを上回る出力ができます

「それはリリアムに負担はないのか?」


 俺はうしろのリリアムを見てそう言った。すると、リリアムは意外そうに驚いた。だが、すぐにふふっと笑う。


「心配していただかなくても」

「負担になるようなことは避けたい。負担になれば万全では戦えなくなるからな」

「それなら、ご心配には及びません。わたしの光波炉の出力が高いのは、この胸があるからです」


 と、リリアムは冷却スーツに半分覆われた自分の胸を下から持ち上げる。


「む、胸?」

「わたしは他のICOより胸が大きくなれたので、巨乳冷却の効率が上がり、光波炉の出力を強化することができたんです」

「そんなに効果あるのか、きょ、巨乳冷却って」

「ありますね。光波炉の実装を支える技術です。わたしの個人装備『リリアムシールド』はパッシブ型なので、常時起動している状態になります。このシールドを維持しつつ、主砲の威力を減衰させないためには、わたしの光波炉が必須になるのですわ」

「そういうことってわけか……」


 俺が思っている以上に、巨乳冷却という機能は有用のようだった。『オートランダー』の攻撃も防御も、支えているのはリリアムたちICOの持つ光波炉であり、その光波炉を支えるのが巨乳冷却というわけだ。


「『リリアムシールド』エネルギー回路接続。待機状態へ移行。全状態確認……全状態異常なし。大尉、チーフから通信です」

「チーフ? あぁ、マッシュか。つないでくれ」

「つなぎます」

『聞こえるか大尉』

「このままこっちの声は聞こえるのか?」

「はい、聞こえます」

「聞こえてるぞ」


 素人みたいなやり取りを聞いたせいか、マッシュが笑う。


『そうか。もう『オートランダー』はいつでも出せるようになってる』

「ありがたい」

『整備班からの提案でな、機関砲に予備弾倉を付けておいたんだ』

「おぉ、それは助かる。結構使う頻度が多い装備なんだ」

『これまでの出撃状況を見るにかなり使っているようだったからな。毎回ほぼ空っぽで帰るから、もう少し弾数を増やしてもいいんじゃないかってことでな。多少の重量増加はあるが、そこはリリアムがカバーしてくれる』

「リリアムが?」


 なんでリリアムがと思いリリアムを見ると、彼女は得意気に笑みを浮かべていた。


「増えた重量によるバランスの補正や砲塔旋回精度などの調整もICOの得意とするところですわ。大尉にはこれまでと変わらない操縦感を提供できますわ」

「そういうことか」

『わははは、さすがはICOだな。細かいことは任せておくといいぞ大尉』

「さっきも似たようなことを言われたよ。よく考えてみれば『オートランダー』ほどの機動力と射撃精度があるのは相当に精密な戦車ってことだよな」

『あぁ、その通りだ。そいつは繊細なんだ。けど、そう気を遣ってデリケートに扱わなくてもいい。頑丈さも十分以上にある。繊細ではあるが、そいつほどタフな仕事に向いている戦車もないぞ』

「いいね、気に入ってるよ」

『大尉は十分にそいつの性能を活かしている。だから心配はしていない。リリアムと一緒に、みんなを助けて戻って来い』


 マッシュもまた、この場所を守る人だった。


「わかった。約束する」

『うむ』


 そう言い、通信が切れる音がした。


「心配かけられませんね」

「そうだな」

「艦橋より通信ですわ。アイリスのようです」

「つないでくれ」

「どうぞ」

「アイリス、どうした?」

『修理ドックへの『オートランダー』射出をサポートさせてもらいます。射出と着地までの軌道計算はわたしとリリアムで二重に確認していきますので、安心してください』


 アイリスの声は聞いてわかるくらいに張り切っていた。


「あぁ、頼んだ。ふたりで計算するくらいなんだ、厳重なんだな」

「『オートランダー』と大尉、そしてわたしを失うわけにはいきませんので。それと、アテナ司令は射出すると簡単に言いましたが、実際にはかなり危険度が高いですわ」

「そうなのか!?」

『ふふふ』


 通信の向こうでアイリスが笑った。


「笑うことか!?」

『ふふふ、すみません。アテナ司令が普通に考えたら危険なこの射出プランを選んだのは、射出から着地までを計算するわたしたちの能力の高さを信頼してくれてのことです。わたしもリリアムも一生懸命やるので任せてください』

「そ、そうか、なら安心だな」

「ですが大尉、万能戦車の『オートランダー』も宇宙空間での使用は想定されていないので、大尉の思っている以上に行き当たりばったりですわ」

「だ、大丈夫なのか……?」


 リリアムが澄まして言う言葉に、不安が募る。その瞬間、アイリスの言葉が飛ぶ。


『もうリリアム! 大尉を不安にさせるようなこと言わないの!』

「ふふふ、ごめんなさい。ちょっと意地悪をしたくなりまして」

『もう、みんな緊張感を持ってよ』


 通信にカーミルが割り込んできた。


「カーミルもサポートしてくれるのか?」

『うちは直接的なサポートとは違うんだけど、救出するICOのアヤとの通信を試してみるよ。アヤってうちらにはない特技があって、もしかしたらアルヴァトラに封鎖されているシャトルからでも外に連絡をできるかもしれないんだ。うちはその信号を監視するんだ』


 なるほど、アヤというICOはなにか特別なことができるらしい。


「アヤの特技、というよりは趣味のようなものですわ。ですが、状況がわかればアヤは確実にわたしたちにメッセージを送るはずです」


 リリアムもアヤのことを信頼しているらしかった。そう言えば、ICO同士はお互いを信頼し合っているように思えた。

 だからこそ、ルチルとアヤというふたりのICOがアルヴァトラに捕らわれている今は不安だろう。


『アテナより『オートランダー』、射出タイミングが近い。用意はどうだ?』


 アテナ司令からの通信が入る。


「俺だ、問題ない」

「リリアムです。準備は整っています」

『射出タイミングはリリアム主導で行う。軌道計算はアイリス、姿勢制御はリリアムに任せる。それでいいか大尉?』

「変に俺が手を出さない方が安全なんだろう?」


 少し皮肉っぽいことを言ってしまったのは、俺の中にくすぶっていた『戦車乗り』というプライドがあったからだと思った。まだそんなものがあったのだと、少しくすぐったい気持ちになった。


『理解してくれて助かる。大尉を信頼していないということではないことは誤解しないで欲しい』

「俺もリリアムやアイリスから聞いたよ。得意なことは任せるのがいい」

『あぁ、そうしよう。修理ドックのデータが見つかったので地形データを送る。リリアム、大尉に見せてやってくれ』

「わかりました。大尉、ヘルメットをつけてもらっていいですか? そちらの方がデータをよく見られると思いますわ」

「わかった。ちょっと待ってくれ」


 ヘルメットを被ると、首の裏あたりで搭乗スーツの襟と接続される。視界は狭くなるが、それは一瞬のことで、すぐに透過して車内が見られるようになった。


「いいぞ」

「データ展開します」


 視界には修理ドックの外観が見えた。円筒状で中空構造の、よくある修理ドックだ。しかし、ひとつ気になる。


「かなり大きそうだな」


 手前に見えたガントリークレーンのサイズから見て、この修理ドックの全体はかなり大きそうだった。


『気が付いたか。さすがだな大尉。この修理ドックは火星圏外の運搬船や探査船用のものだったらしく、超大型船も対応できるものになっているとのことだ』

「じゃあ詰めてる人数も?」

『いや、それが数年前から超大型船の運行軌道が変わり、今はこのドックはほとんど人はいないらしい。いることはいるが、数十人に満たないだろう。保守点検要員が交代で来るくらいだそうだ』

「金のかかった設備だろうに、もったいない使い方をするな」

『調べてみたところ、軌道を変えて運用する予定だそうだ。が、今はまだその作業に入っていない、作業員も警備員もほとんどいない今の状態だからこそ、アルヴァトラの標的にされたのだろう」

「なるほどな」


 アテナ司令の推論は説得力があった。アルヴァトラ側も、無駄な交戦は避けたいらしい。AIらしい、効率的な判断をしている。


「リリアム、内部の映像も見られるか?」

「もちろんです。進入予定箇所から、シャトルが押さえられていると思われる作業区画までをお見せします」

「頼む」


 映像が拡大される。修理ドックは内部を密閉するような隔壁はなく、開放されているのが普通だ。このドックもそうなっており、進入は簡単そうだった。


「そうか、内部はこれか」

「そうですね。遠心力による擬似重力が働いているため、全方位が警戒域になります」


 内部は広い空間になっているが、天井も近い。リリアムが言うように擬似重力があるため、この天井は床でもある。敵戦車が走れるということだ。そして作業用機械も点在していて遮蔽物が多い。


「敵が身を隠す場所も豊富か」

「この場合、隠密潜入が推奨されますわ」

「教本通りならな」


 ヘルメットを外し、俺はリリアムを見た。自分でもわかった、俺は笑みを浮かべている。


「大尉、なにかいい作戦を思いついたのですか?」

「いいかはわからない。けどな、相手もこっちが隠密潜入をしてくるだろうと思っているはずだ。だから、その反対をやってやる。『リリアムシールド』の堅牢さに物を言わせた強行突破で、シャトルを一気に解放する。シャトルがドックから離れるのを確認したら、遮蔽物を使ったゲリラ戦に移行して、敵のベースポッドを破壊する。相手の対応の、常に裏をとるんだ」

「なるほど」


 聞いたリリアムも笑みを返す。

 

「アテナ司令としてはどうだ?」

『いいだろう。現場の作戦は大尉に任せるつもりだ。だが、わたしからも言わせてもらえば、それはいい作戦だ。シャトルがいる位置がわかれば、リリアムが最短ルートをナビしてくれる』

「ドックに進入してセンサーを使えばシャトルの位置はわかるはずです」

「いいな。その手順でいこう。こちらの狙いに気付いてシャトルになにかされる前にシャトルを解放するのが狙いだ。多少の抵抗は無視して突っ走る」


 『リリアムシールド』を前提としているが、これはここまでのICOたちの能力が自分の想定を上回ってきたことから、リリアムを自然と頼ってしまっていた。


「なんだかすまない」

「え? なにがですか?」

「今回の作戦はリリアムの能力にかなり依存している」

「それは、前にもお答えしましたが、役立てて光栄に思っていますわ。でも、浮かれているわけではありません。いい意味で、緊張しています」


 リリアムの表情は落ち着いて見える。が、言葉通りに緊張もしているのだろう。知識や訓練での経験はあるが、実戦となるとその緊張感は桁違いとなる。


「だから――頼りにしています、大尉」


 そんなリリアムから意外な言葉が飛び出し、俺は驚いた。

 驚いたが、頷いた。


「そ、そうだな」


 リリアムに頼ることになるが、全部を任せるわけではない。


「一緒にやり遂げるぞ。俺も精一杯やる」

「期待しています」


 頷くリリアムを見たあと、船ががたんと揺れた。


『カタパルトハッチ開放。射出予定ポイントへ到達します。以降の艦橋からのオペレーションをアイリスに引き継ぎます』

『アイリス引き継ぎました。『オートランダー』はカタパルトへ進み固定をお願いします』

「こちら『オートランダー』、了解した」


 ヘルメットを被ると、ヘルメット内のモニターにはすでにカタパルトまでのナビが表示されていた。灯火管制により船内の照明はないが、ヘルメット内に投影される映像が暗視機能で船内の様子は視認することができた。

 ナビの誘導に従い『オートランダー』を移動させる。すると、車体が固定された。


「車体固定を確認。カタパルト射出タイミングを受け取りますわ」

『了解しました。『オートランダー』射出タイミング再計算。『ローズリンク』速度を反映し、軌道も再計算します。最新版データを送ります』

「ありがとうアイリス。わたしの再計算したものと一致していますわ。このタイミングと軌道で行きましょう。大尉、射出は四十五秒後です」

「わかった。――任せるぞ」

「緊張しますが、興奮してきました」

「いいな、実戦に興奮はつきものだ」


 眼前奥に小さく青と赤の光の点滅が見えた。おそらく、それが修理ドックの光だ。


『射出カウントを開始します。大尉、リリアム、どうが無事に――ルチルとアヤと、みんなを頼みます』

「任せてくれ」

「任されましたわ」

『五……四……三……二……一……今!』

「射出!」


 リリアムの声と同時に『オートランダー』が加速する。強烈なGが俺の体をシートに押しつける。一瞬息が止まったが、次の瞬間周囲は宇宙になっていた。『オートランダー』は『ローズリンク』を離れ、修理ドックに向かうまでの宙空にいる。

 目の前の青と赤の光が近づく。すると、修理ドックの全貌が見えてきた。急速に近づく。思っていたよりかなり大きい。


『進入角に誤差発生。修理ドックの自転に同期し、再計算します。リリアム』

「計算終了。誤差修正開始します」


 外部に新設されたスラスターからのプシュっという音が数回聞こえる。かなりの速度が出ているようだが、これで軌道修正ができるのか?

 思わず尋ねたくなるが、リリアムはおそらく高度な計算をしている。余計なことを言ってミスをされたら終わりだ、黙っているしかない。


『進入角安定。相対速度固定のため減速に移行してください』

「逆噴射開始」

「この距離から減速するのか!?」


 黙っていようと思ったが、思わず声が出る。


「これでもぎりぎりです。大尉、『オートランダー』の最大速度に近い速度で着地するので、着地後の操縦はお任せしますわ」

「簡単に言ってくれるな。着地は何秒後だ?」

「あと二十秒ですわ」

「心の準備をする時間もないな」


 操縦桿を握る。目の前にはもう修理ドックが大きく迫っていた。着陸できそうな軌道ではなく、このまま真ん中を突っ切るような軌道だった。


『疑似重力圏内に進入。車体軌道の変化を検出しました。計算軌道より誤差軽微。リリアム、最終軌道修正をお願いします。これより、無線封鎖に入ります。がんばって』

「最終軌道修正に入ります。ありがとうアイリス。いい経験ができそうですわ」


 再びスラスターの噴射音が聞こえたかと思うと、『オートランダー』が大きく軌道を変える。今度は床にたたき付けられるのではないかという軌道になる。


「これ大丈夫なのか!?」

「小数点以下七位まで狂いはありません。ただ――」

「ただ?」

「修理ドックの疑似重力が思ったより大きいですわね」

「つまり?」

「大尉の方で最終的な着地姿勢を修正してください。直感で」

「おい、計算はICOの得意分野じゃなかったのか!?」

「やはり、現場は大尉の判断が必要ですわ。お任せしても?」


 リリアムは落ち着いている。この軌道計算はアイリスと二重で行われている。これは計算ミスでもなんでもなく、最初からこのつもりで計算していたのだ。

 最後の一手は俺の判断に任せる――アイリスとリリアムは俺に活躍の場を与えた、ということではなく、最初から最後の判断は現場判断になり、俺に委ねることになると知っていたのだ。言わなかった理由は、あとで聞いてやるとしよう。


「やってやる。見てろ」


 床が迫る。スラスター制御は経験がなかったが、『アイリスウイング』の時に少し触れたおかげで『なんとなく』感覚はわかっていた。


「着地まで五秒」

「リリアム、『オートランダー』は敏感でデリケートだ。だけどな、その中にも粗暴さがある」

「大尉?」

「戦車と人間はな、ちょっとくらいラフな方が面白いこともできるってもんだ!」

「大尉!?」


 砲塔を百八十度旋回させ後向きにし、地面に前のめりの姿勢を取る。


「ぶつかりますわ!」

「これでいい!」


 次の瞬間、『オートランダー』に衝撃が起こる。車体ステータスに『強震動』と表示された。俺はそのまま加速スロットルを開放する。

 着地した『オートランダー』は前のめりに少しの距離を走った。スロットルをかすかに絞る。かすかな減速が起こり、履帯後部が降りて履帯全部が床に着地する。砲塔を前向きに戻し、着陸完了だ。


「な、上手くいったろ?」

「……お、お見事です……」


 リリアムの顔は見えなかったが、呆れているようだった。


「ブレーキを使ったら履帯にダメージが行く。転倒する可能性もあった。だから設置面積を減らして着地して、そこから徐々に設置面積を増やして抵抗をかけたんだ」

「……さすがです。ICOでは思いつけませんわ」

「危険すぎてか?」

「独特すぎて、と言っておきます」


 褒めてくれているのか、呆れているのか。


「センサー起動。――大尉は少々粗暴な人が好みなのですか?」

「デリケートすぎると俺みたいな粗暴な人間とはそりが合わないんだよ」

「ふふふ、機密情報を聞いてしまいました。覚えておきますわ」


 褒めてくれているのか、呆れているのか。でも、リリアムの声は弾んで聞こえた。


「センサーはどうだ? シャトルを検索してルートを出してくれ」

「シャトル位置を把握しました。ナビ表示します」

「このまま最高速度で行く。ご機嫌なドライブになるぞ」

「進路上に複数の熱源を探知。数六。上下左右に展開しています。ご機嫌なドライブになりそうですわね」


 敵の反応が早い。アルヴァトラはある程度、こちらの単機突入を予測していたのかもしれない。リリアムは上下左右に展開しているとも言った。もうそろそろ『オートランダー』のデータを解析して、対応をされていてもおかしくはない。


「突破する。行くぞ」

「どこまでもご一緒しますわ」

 

 『オートランダー』は最高速度を出しながら、修理ドック内を走る。

 荒れた様子はなかったのが逆に申し訳ない。ここは数秒後に、戦場になる。


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